映画
『アマチュア』中井和哉が語る、“スパイアクション”の枠を超えた人間ドラマの魅力【インタビュー】

“スパイアクション”の枠を超えた、優しさと共感――『アマチュア』日本語吹替版 チャーリー役・中井和哉さんインタビュー|玄田哲章さんに励ましてもらえるのは“吹替版の特権”!?

2025年4月11日(金)より映画『アマチュア』が全国公開となる。

スパイ映画史上最も地味な主人公・CIA分析官チャーリーは、妻の命を奪った国際テロ組織への復讐を決意。CIAすらも予測不可能な方法で、テロリストたちを追い詰めていく。その裏に隠された驚くべき陰謀、冷静な頭脳と暴走する狂気の間で繰り広げられる復讐劇の結末とは?

本作でラミ・マレックさん演じるチャーリーの日本語吹替を担当したのは、中井和哉さん。その他の吹替キャストにも、玄田哲章さん(ローレンス・フィッシュバーン)、坂本真綾さん(レイチェル・ブロズナハン)など、豪華な面々が集結している。

吹替キャストにも要注目な本作。アニメイトタイムズでは、中井さんにインタビューを実施し、役作りのこだわりや作品の見どころについてお話を伺った。

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スパイ映画史上最も地味な主人公、殺しは“アマチュア”のCIA分析官チャーリー。妻の命を奪った国際テロ組織へのたった一人での復讐を決意する。CIAすらも予測できない方法で、テロリストたちを追い詰めていく。だが、その裏には驚くべき陰謀が隠されていた―。無謀で予測不能な復讐劇の驚くべき結末とは⁉冷静な頭脳か、暴走する狂気か―この“アマチュア”にあなたも騙される。作品名アマチュア放送形態実写映画スケジュール2025年4月11日(金)キャストチャーリー:ラミ・マレック(中井和哉)ヘンダーソン:ローレンス・フィッシュバーン(玄田哲章)サラ・ヘラー:レイチェル・ブロズナハン(坂本真綾)インクワライン:カトリーナ・バルフ(恒松あゆみ)ザ・ベア:-(咲野俊介)ムーア:ホルト・マッキャラニー(楠見尚己)オブライエン:-(山像かおり)ケイレブ:-(竹田雅則)シラー:-(村治学)エリッシュ:-(森宮隆)ブラジッチ:-(前堂友昭)フランク:-(木村香央里)パーク:-(伊瀬茉莉也)CIA職員:-(石毛翔弥)スタッフ監督:ジェームズ・ホーズ製作:ハッチ・パーカー ダン・ウィルソン ラミ・マレック ジョエル・B・マイケルズ J・J・フック原作:ロバート・リトル公開開始年&...

復讐の先に描かれる、温かな気持ち

ーー“スパイアクション”と聞いていたのですが、実際に観てみると優しさも感じる作品だなと。

チャーリー役・中井和哉さん(以下、中井):確かに。僕も、台本だけでは実際の映像がイメージできなかったんですよ。でも、蓋を開けてみると絵面がとても上品で美しいんです。アクションシーンや派手な爆発もあるけど、それだけじゃない。スパイアクション映画のカタルシスとは、ちょっと違うというか……観終わった後に、温かい気持ちになるんです。

この“意外にも優しい”というのが、台本を読んだときには想像しづらかった部分で、そこが観終わって「とても良かった!」と思った部分でした。

ーーアクションはもちろん、人間ドラマや感情の動きを押したくなりますよね。

中井:予告編を観ると分かるように、本作は“復讐劇”なんです。それだけ聞くと「復讐の後に何が残るの?」と思っちゃいますよね。でも、実際はチャーリー自身が“自分を取り戻す”までを描いた作品でもあります。最終的には観ている僕らも「良かったね!」と思える結末で、それがこの映画の一番の魅力なのかなと。

ーーその中でも、中井さんが特に心を動かされたシーンはありますか?

中井:チャーリーが奥さんを亡くした後、ふいに奥さんの幻を見るシーンがすごく好きです。大事な人を失って悲しみのどん底にいる、本人も混乱もしている状況なのに、微笑むような表情をするんです。

ある意味で「そういうものなのかもしれないな」と。人の感情って「悲しい」とか「怒ってる!」とか、一色だけの単純なものではないですよね。そういった感情の複雑さを感じられるシーンじゃないでしょうか。

中井:あとは、スカイプールのシーンも印象に残っています。あそこのやり取りがとにかく人間味に溢れているんですよ。

ーーチャーリーが敵の居場所を吐かせようと迫る場面ですね。

中井:アクション映画ではよくあるシチュエーションですけど、チャーリーは緊迫感と同時に少しおどおどしているんです。

普通なら“復讐の鬼”というか、冷徹な主人公として描かれるシーンなのに、チャーリーは逆で「そりゃ怖いよな」と素直に共感できるところがある。共感という部分では象徴的なシーンだと感じたので、「面白いな」と思いながら演じた記憶があります。

ーースパイアクション映画の主人公としては、珍しいほど共感できる人物ですよね。

中井:そうなんですよ。チャーリーは一番大切な奥さんを亡くしてしまう訳ですが、それに対する悲しみや喪失感は痛いほど分かる。周囲の人間関係を見ても、ちょっと苦手な同僚がいたり、逆に軽くマウントをとり合うくらい気の置けない仲間がいたり……どこか身近に感じられる部分が多いですよね。

普通の人が大事にしているものといったら、まずは“日常”じゃないですか。これまでのスパイアクションものだと「非日常を楽しむ」とか「華麗な立ち回りに憧れる」ことが多いけれど、この作品はチャーリーの気持ちにすっと寄り添ってしまう感覚があります。

「もし自分だったら」という日常の延長線上で観られるからこそ、チャーリーの怒りや悲しみも理解しやすい。誰かの言葉でちょっと揺らぐところなんかも、「分かる!」と感じる方は多いんじゃないかなと。

ーー吹替版を観させていただきましたが、坂本真綾さんや玄田哲章さんなど、キャスト陣のお芝居も素晴らしかったです。中井さんから見た、吹替ならではの魅力はどんなところでしょう?

中井:世界中の人がこの映画を観るでしょうけど、“坂本さん(サラ)”を失ってしまったという喪失感だったり、“玄田さん(ヘンダーソン)”に励ましてもらえる安心感は“吹替版の特権”ですよね。「玄田さんなら、なんとかしてくれるかもしれない!」って(笑)。そういう意味でも、オトクな吹替版だと思います。

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