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春アニメ『謎解きはディナーのあとで』原作愛あふれる梶裕貴が語る演じ方の葛藤

“淡々×毒舌”のバランスに苦悩? 春アニメ『謎解きはディナーのあとで』原作愛あふれる梶裕貴さんが語る演じ方の葛藤/インタビュー

 

何パターンも録ったという、影山の毒舌

──掛け合いはほぼ麗子ということですが、花澤さんとの掛け合いはいかがでしたか?

梶:影山が麗子に対して毒を吐く、あるいはおちょくると、麗子を演じる花澤さんがとてもいいリアクションをしてくれるので、僕もその楽しさがちょっとわかった気がします(笑)。とっ散らかるというか、体裁を気にせず爆発する感じが、毎回あって。

影山の毒舌セリフに関しては、監督の要望を受けて、妥協せずベストを探し求めていく感じだったので、場合によっては10パターンくらい録ったりするんです。すると、当然そのたびに、そのセリフを受ける麗子もいるわけですが……そのすべてが見事に面白いリアクションで(笑)。

 

 
影山に振り回されすぎて、腹が立ちすぎて、もう言葉が出てこない!みたいなこともあったりして、そういうのがリアルで素敵だなと感じましたね。まさに、キャッチボール。いつでも、ちゃんと麗子でいてくれました。

──梶さんは、アドリブなどはあったのでしょうか?

梶:そもそもアドリブを求められていたのは、風祭警部くらいだった気がします。影山のキャラクター的にも求められていなかったと思いますし(笑)。ただ、吐息や笑みなどの部分では、「このパターンもあり得るな」と自分なりに考えながら攻めていました。同じセリフでも、受ける息、笑みの音のニュアンスで、だいぶ受け取られ方も変わってくると思うので。

──アフレコで、苦労をしたエピソードはありますか?

梶:喋りだしたら、ずっと喋り続けることですかね(笑)。ページをめくってめくっても、セリフが続く。これは「声優あるある」なんですが、水泳の息継ぎと同じで、セリフを発する時も、息を吐き切るからこそ次の息が入ってくるものなんです。

 

 
ところが影山を演じる際は、声のトーンを下げているのに加え、声量を抑えて淡々と喋っているので、どうにもこうにも息を吐ききれないんですよ。ということは、そのぶん強く吸うことができないので、次への助走がないまま、セリフを発し続けていかなければならないということなんです。

簡単に言うと、息が苦しいんです(笑)。酸欠になってくると、滑舌も甘くなってきてしまいますしね。そのあたりが身体的にしんどかったです。

仮に、大きく息を吸い込んだノイズが入ったとしても、プロの音響さんが編集で切ってくれるとは思うのですが、影山のキャラクター性を考えると、その大きな呼吸の余韻がセリフの前後に載ってしまうことが許せなかったんです。あくまで個人的に、ですけどね。あとはシンプルに、執事ならではの丁寧な言い回しの難しさもありました。

 

 

──その技術的な難しさについては、花澤さんもインタビューで話されていました。今回タイトルに「謎解き」とありますが、梶さんは、脱出ゲームや謎解きゲームは好きですか?

梶:大好きです。不思議と作品コラボで声優として参加させていただく機会が多く、そのご縁でよく遊びに行ったりしていました。個人的にも、脱出ゲームの本を購入してプレイしたり。

それでいうと、僕自身がSCRAPさんとコラボして、実際に謎解きゲーム本を作ったこともあるくらい(笑)。書籍やオンラインで、ひとり、もしくは数人で遊べる手軽さも魅力的ですし、現地に赴いての壮大な仕掛けや没入感もたまりません!

──花澤さんは、参加したけど役に立てなかったとおっしゃっていましたが。

梶:人に相性があるように、謎にも相性がありますよね。僕が解けなかった謎を友達があっさり解いてしまうこともあるので、得意か不得意か、一概には言えない気がしています。あとは経験値もあると思います。脱出ゲームのセオリーとして、数問前の解答を覚えておくとか、渡された紙の端と裏は絶対チェックするとか(笑)。やればやるほど謎解きのコツも掴めるんじゃないのかなと思いますよ。

 

 
本作はタイトルがタイトルなだけに、ぜひ謎解きゲームを作ってほしいですね。そして、そのリポート取材を企画してもらえれば、僕らも確実に遊びに行けるので、どうにか実現していただきたいです(笑)。

──最後に、TVアニメ『謎解きはディナーのあとで』を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

梶:ついにTVアニメ『謎解きはディナーのあとで』の放送がスタートいたしました! 本作はオムニバス形式で構成されておりますので、アニメや読書に馴染みのない方や、ミステリー初心者の方なども、難しく考えずに楽しんでいただけるのではないかと思います。どなたでも、どの話数からでもウェルカムです。

もしかすると原作ファンの方の中には、原作とアニメとの違いに戸惑われている方もいらっしゃるかもしれませんが、キャラクターたちの本質や、生まれる会話の間など、作品の持つ根っこの部分での面白さは損なわれておりませんので、どうぞご安心ください。その上で、アニメだからこそ表現できる面白さ、その魅力をお楽しみくださいませ。

まだまだ原作が続いている本作。かなり気が早いですが、いつか続きもやれたらと願っておりますので(笑)、引き続き作品の応援をよろしくお願いします!

 
[文&写真・塚越淳一]

 

作品概要

謎解きはディナーのあとで

あらすじ

国立署の新米刑事、宝生麗子は世界的に有名な「宝生グループ」のお嬢様。「風祭モータース」の御曹司である風祭警部の下で、数々の事件に奮闘中。大豪邸に帰ると、地味なパンツスーツからドレスに着替えてディナーを楽しむ麗子だが、難解な事件にぶちあたるたびに、その一部始終を相談する相手は“執事兼運転手”の影山。

「お嬢様の目は節穴でございますか?」――暴言すれすれの毒舌で麗子の推理力のなさを指摘しつつも、影山は鮮やかに事件の謎を解き明かしていく。

キャスト

宝生麗子:花澤香菜
影山:梶裕貴
風祭京一郎:宮野真守

(C)東川篤哉/小学館/「謎解きはディナーのあとで」製作委員会

 

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