
『ブルーロック』本誌300話を迎えた今、凪誠士郎が天才たる所以について語る|他人に興味もない、夢も持たない、めんどくさがりやの天才に“光を”くれたのは御影玲王だった……
玲王との世界一のために変わろうとする凪
チームZとの試合で悔しさを知った凪は、あの試合で一番凄かった潔とサッカーがしたいと言い出します。そのために3人1組でチームを組む二次選考2ndステージで、玲王と決別する道を選択。
玲王が見せてくれた世界一の夢が潔に負けた瞬間に一度終わったと感じた凪は、もう一度夢見るために変わりたいと思っていたのです。玲王といるのは好き。めんどくさくなくて、居心地が良くて、楽しい。玲王は「そのままでいい」と言ってくれたけれど、変わって強くなってまた巡り逢いたい。けれどそれはすべて凪の心の中で発せられた言葉。玲王には届かず2人はすれ違い始めます。
潔と蜂楽と組んだ凪はチートモンスター・糸師凛と対戦し、さらにサッカーの楽しさを味わいます。勝ちたい、強くなりたいと思う自分がいたことを“青い監獄”に来て初めて知った凪。それは玲王に出逢ったから知れたこと。変わっていく自分にワクワクする凪は、その気持ちを玲王に話したいと思うのでした。この時の玲王の気持ちも知らずに——。
凪と玲王を見守るファンなら誰しも思った「声に出せよ!」。でも口下手なところも凪の魅力のひとつなんですよね。
玲王のいない場所で、ひとりで戦える人間になる
潔は試合ごとに自分を壊して生まれ変わっていく適応能力の持ち主。潔という“光”に魅せられ、ついていけるエゴイストだけが生き残っていきます。凪も覚醒した潔と化学反応を起こし目に見えるようにレベルアップ。
4thステージまで勝ち上がり、迎えた凛たちとの再戦。凪に再び熱い気持ちが戻ってきていたところで、相手チームの蜂楽が潔に“光”を感じて覚醒。そして潔は凛たちに引っ張りあげられ次のステージに進んでいきます。このフィールドでの“熱”の中心は潔だった……。凪は悔しさと、自分の弱さを胸に、潔へのリベンジを誓います。
自分たちがもっと強くなるためには“弱点の克服”が必要。弱点がわからない凪は、敵チームの柊に「天才故の無知」とサッカーを知らなすぎると指摘されます。こんなとき潔と玲王ならどうするか——潔は想像を超える他人を信じ、玲王は想定できない凪を信じてくれていた。でもこれからは「俺が凪(おれ)を信じてやる」と心に決め、ひとりで戦えることを才能のゴリ押しで証明します。
今の凪をかき立てるものは「潔に勝ちたい」という気持ち。その気持ちの裏で、ひとりで戦うと決めた今もなお、“青い監獄”で玲王にまた逢えたら、隣で一緒にサッカーがしたいと思っているのでした。
天才が優しさを覚え、夢を語り、夢が叶わない苦しさを知る
再び勝ちあがってきた4thステージ。初めて敵の動きを読み自分の頭で考えてプレーした凪は先制弾を決めます。自分は天才かもと思った凪は、今まで玲王や潔が言ってくれていた『天才』という言葉の意味を確かめるために闘志を燃やしますが、千切の膝が限界に近づいてしまいます。それでも無理して走り出そうとする千切に、「追うな」と声をかける凪。玲王と離れてから千切と同じチームになり、共に行動をすることが増えた2人。周囲に無頓着だった凪も、今では仲間を気に掛ける優しさが持てるように。
秘策を用意していたものの相手チームの強さに今の戦い方では通用しない現実を知った凪は、“夢”で勝とうと言い出します。それぞれの持つ“夢”に生きようと。玲王のせいで夢が語れる人間になった凪は、自分の熱が周りに伝わりみんなも変わっていく——“夢”を持つことの凄さを実感します。
それと同時に夢を視た人にしかわからない叶わないことの苦しさを知り、凪との夢が消えていく玲王に非道いことを言ったと自覚するのです。玲王に謝りたい、そのためにはココで勝たなきゃ逢う資格はない。失うモノと夢を懸けて戦うから熱くなれると知った『天才』は、フィールド上での主人公感を持ってゴールを決めるのです。
ひとりで戦っていても、同じ方向を向いていれば強くいられる
二次選考を終えTOP6に選ばれた凪。U-20日本代表との試合が決まり、TOP6を中心にレギュラーを決めるための適性試験が行われます。玲王が凪のいるチームを選んだことで、久しぶりに同じチームで戦うことになった2人。
玲王に謝りたいと思っていた凪ですが、歯車がズレた2人はギクシャクしたまま。試合後になんとか凪が声をかけ、この試合で玲王が生み出した『複写変化(カメレオン)』という武器を「お前らしくて面白い」と褒めます。「でもまだ足りねぇだろ。お前の求めるサッカーには」と言う玲王。一見ギスギスした会話にも聞こえますが、この先お互いもっと強くなってまた一緒に戦おうという気持ちが込められているように感じました。
玲王のことは考えたくないと思いながらも、この時玲王だったら…と気づけば玲王のことを考えながら戦ってきた凪。別々の道を歩んでいても、2人はいつだって同じ方向を向いていて、一段と強い想いでサッカーと向き合っているのです。
大舞台でゴールを決め、凪誠士郎の名前を轟かす
U-20日本代表戦当日を迎え、フィールドに向かう凪に「魅せてみろ、天才」と声をかける玲王。惜しくもベンチスタートになった玲王ですが、凪に「待ってろ」と伝えます。玲王が今でも自分と同じフィールドに立ちたいと思ってくれていたことに嬉しさをにじませながら「うん」と返事をする凪。玲王から受け取った手袋をはめて試合に臨んだ凪は、玲王の期待どおりスーパーゴールで日本中に凪誠士郎の名前を轟かせます。
そしてついに後半10分、交代枠でフィールドに立った玲王は変幻守備(カメレオンディフェンス)で活躍。凪が魅せたプレーをコピーし、凪のもとへとボールを送ります。
何度も語ってしまうほど私はこのシーンが大好きで、「誰よりも自分が凪を見てきたんだ」という玲王の想いが表れているプレーに胸アツになるのですが、ボールを受けた凪も「ナイス、カメレオン。あっちぃのいただき」と熱くなり、玲王に応えるように走り出します。ここにきて2人の連携から始まる攻撃が見られるのは、感慨深いものがあります。
試合は“青い監獄”11傑の勝利! 白宝高校やチームZのときのように2人が飛びついて喜ぶことはありませんでしたが、拳を合わせる姿が見られて嬉しいと感じたのは私だけではないはずです。
潔に勝つために、また2人で夢を見る
“青い監獄”は第二段階に入り、イングランドの「マンシャインC」でサッカーを学ぶことを選んだ凪。指導者のクリス・プリンスにどんなフットボールを望んでいるか聞かれ、「潔に勝ちたい、今はそれだけ」と答えます。凪のデータを分析したクリスが伝えた結果は、筋肉のしなやかさは驚異的に優秀、でも創造性能力はゼロ。
今までは誰かからイメージをもらって瞬間的に天才的な反応をしてきた、でもそれでは潔には勝てないと言われます。今の凪に必要なのは能動的なフットボール。そこからアギも加わり凪の教育が始まります。
凪の教育が上手くいけば“世界一の天才”が誕生する。そう信じて置いて行かれないようにひとりで戦う意識を強く持っていた玲王に、創造性がよくわからずサッカーが面白くないと感じるようになった凪は、潔に勝つために力を貸してほしいと頼みます。「今の自分には玲王が必要。それが凪(おれ)の夢」だと。
そして今度は凪の夢に玲王を乗せて世界一へと走り出す2人。共闘し始めた途端に凪は覚醒し、五連式回天空砲蹴撃(リボルバー・フェイク・ボレー)という再現性皆無なゴールを決めます。試合は負けてしまいますが、潔には勝った凪。そしてここで満足感を覚えてしまった凪は——。
























































