
『神崎エルザ starring ReoNa ✕ ReoNa Special Live "AVATAR 2024"』+『ReoNa ONE-MAN Concert "Birth 2024"』ライヴ・フィルム上映+リリースに寄せてインタビュー|音で、声で、映像で“あの日”の追体験を――
今考える“守っていきたいこと、新しく踏み出しても良いこと”
──“Birth”のセットリストは悩まれたのではないでしょうか。
ReoNa:聴いてほしい曲は本当にたくさんあるけれど、全曲をやるわけにはいかないので、そこから厳選する作業は、きっとこの先どんなライブでも続くんだろうなって思っています。
毎回チームのみんなで悩みながら決めているのですが、今回の“Birth”では、あえて“文脈を無視して歌いたい曲”を選ぼうという枠も作ったんです。そのときに真っ先に浮かんだのが「原作者」でした。何も考えずに、でも本能的に“今この曲を歌いたい”って思えた曲です。
──私個人としては、「いかり」「原作者」の流れがとても好きで。その次につながるのが「トウシンダイ」でした。「トウシンダイ」の主人公も、この場につれてきてもらって喜んでいるでしょうね。
ReoNa:「トウシンダイ」が生まれた頃は、こうして“Birth”という未来にたどり着いて、一緒にステージに立てるとは……18歳当時の私は思いもしなくて。きっとあの頃の自分が見たら驚くだろうなって思います。“Birth”はまさに「絶望年表」のように、ReoNaという存在がどうやって生まれて、どうやってここまで歩いてきたのか、その歴史のようなものも詰まっているんじゃないかなと思っています。何かが生まれ落ちた日であり、生まれていく場所でもあるのが、“Birth”なのかなと。
──「絶望年表」が更新されていく場所でもあるのかもしれないですね。あの楽曲のライブ演出自体もとても印象的で、何度でも見返したくなるような強さがありました。
ReoNa:「絶望年表」は自分の弾いたギターにミュージシャンがただただ、寄り添ってくれる楽曲ですけども……それに寄り添ってくれるミュージシャンの温かさが本当に伝わる映像になっています。一方で、「生命線」ではとんでもないレーザー演出が炸裂している。そのコントラストも含めて、1曲1曲に違う風景があって。
──「生命線」「Let It Die」などの演出に、現場の積み重ねが色濃く反映されているように感じました。
ReoNa:「生命線」のレーザーは、私と一緒に「ReoNa ONE-MAN Concert Tour 2023 “HUMAN”」から歩んできてくれた照明スタッフの方が、“これ、かっこいいでしょ”って、集大成のような気持ちで照らしてくれているように感じました。あと、「ガジュマル」の演出も個人的にとても気に入っていて。照明が“ガジュマルの木”になっているんです。ああ、ニクイことをしてくれるなあ、って思う瞬間がたくさんありました。
それと、今おっしゃってくださった「Let It Die」は、ライブで歌いがいのある曲なんです。だから、この“Birth”の2曲目でお届けできたことというのは、1曲以上の意味があるように感じています。アルバムの中に収録されている1曲ですけど、そのずっとずっと前からライブで歩んできた曲で、二度として同じ「Let It Die」ってなくて、リハと本番すら違う。その日の温度、声、音で出来ていく。「ライブだとこうなるんだ」と思ってくださったら嬉しいなと思っています。
──その一方で、「シャル・ウィ・ダンス?」からの怒涛の流れは、映像で見がいがあるものですよね。
ReoNa:私の本番の記憶が薄くなっているブロックですね……(笑)。皆さんに自由に踊っていただきました。ReoNaのライブはすごく静かな曲も多いので、だからこそ解放されるようなパートだったと思います。
──少し話は逸れますが、ReoNaさんのライブ自体、静かに見守っている方が多いですよね。自然とそういったスタイルが定着していった印象があります。
ReoNa:“立って盛り上がりたい人は立っていいし、座ってじっくり聴きたい人は座っていていい”というのが、私のライブのスタート地点なんです。ライブハウスで
やっていた頃は、スタンディングで2時間近く、静かな曲ばかり聴いてもらっていた時期もありました。基本的には自由に楽しんでもらいたい、って思っているんですが、でもそれって実はすごく難しくて。たとえば、目の前の人が立ったら、自分も立たないと見えなくなってしまう。今はセットリストの“ドライブ感”を意識して構成しているところがあります。
──セットリストにあえて緩急をつけることで、それぞれの聴き方で楽しめる流れにされているということですね。
ReoNa:“自由に楽しんでもらいたい”。言うことは簡単だけど、一人ひとりに自由に楽しんでもらうためにはどうすれば良いのか……そこは今も悩み中ですね。
──ライブ”と“コンサート”、あるいは“フェス”やふあんくらぶ限定ライブなど、規模も形も演出も多様化してはいるものの、「一対一で寄り添いたい」という基本の気持ちは変わってないからこそ、悩むところなんだと思います。
ReoNa:そこはずっと変わらないですね。踊りたい人もいれば、踊りたくない人もいるかもしれないし、ペンライトが光っていたら気になる方もいるかもしれない。もしかしたら全員の気持ちに寄り添うことは難しいかもしれないんですけど……やっぱり、それでも寄り添いたいなって思います。
──変わらず大切にしている想いがある一方で、周囲の声や変化も柔軟に取り入れて、ライブを進化させていっているところがReoNaさんのライブのすごいところですよね。
ReoNa:いろいろな出会いがあって、いま一緒にライブに取り組んでいる方々の「こうしたら良いんじゃない」という意見も今回はたくさん取り入れさせていただいたんです。変えずにずっと守っていきたいこと、続けていきたいことと、新しく踏み出してみてもいいのかもしれないこと。そのバランスを探りながら、一つひとつのライブをつくっています。
──さきほどエンディングのクレジットのお話がありました。そのいろいろな出会いがあってこその、あの人数で。ぜひ最後まで、余すことなく噛み締めてほしいですね。























































