
『アクアリウムは踊らない』制作者・橙々さん×ルル役・佐藤聡美さんインタビュー|一見頼りなさそうで、一番頼り甲斐があるルル。キティとのコンビは制作初期にはなかった構想だった!?
コンシューマー版でルルの表情差分が増えたのは、佐藤さんの演技がきっかけ
──ルルというキャラクターは、どのように生まれたのでしょうか。
橙々:スーズと同じく、ルルについても私が『アクおど』を作り始める前、他の仲間たちと作っていたゲーム用に生まれたキャラクターです。
『アクおど』用に少しアレンジしているのですが、元のゲームの時から「ほわほわした感じのキャラクター」というイメージで、スーズの幼馴染という設定も既にありました。レトロやクリスは初期案から結構変わっていたりするのですが、ルルに関してはほとんどそのままなんです。
──橙々さんが、佐藤さんの演じるルルの声を最初に聞いたときの印象をお聞かせください。
橙々:想像以上というか、「これこれ!」みたいな感じで、私が直すポイントが一切なかったです(笑)。
ただ、さっきも言った通り、ルルはどんな時も動じなくて、表情もあまり変わらないキャラクターとしてイメージしていたので、ゲーム内の表情差分が一番少ないんです。ブレないキャラクター性を表現したくて、あえてそうしていたのですが、佐藤さんの演技を聞いて、「こんなに表情豊かだったんだ」と分かったというか。ルルの本質は「表情が変わらない」ところではなくて、「芯がしっかりしている」ことなんだと気づくことができました。
それもあって今回のコンシューマー版では、もっとしっかり笑ったニコニコ顔があった方がいいなと思って、ルルの表情差分を追加しています。とくに新規シナリオでは、ルルの感情表現が豊かになっているのを体感いただけると思います。
佐藤: 私も楽しみですし、これを見たファンの方も、どんな表情になっているのかワクワクですよね。
──ルルは特にキティとの絡みが多かったと思いますが、ルルとキティの関係性についてはどのようなことを感じられましたか?
佐藤:キティちゃんと出会った時、たぶんルルは直感で「この子はいい子なんだな」ということが分かったのかなと思っていて。やり取りについても「この子と仲良くなりたい」という気持ちを意識していました。
スーちゃんとの掛け合いとは、また少し感覚が違っていて……スーちゃんと一緒にいるときは、もっと落ち着いた空気感で、その奥には“大きな愛”のようなものがあるんです。一方で、キティちゃんといるときは、新学期が始まったときのようなワクワク感を意識して、お芝居していました。
あとはキティちゃん役の釘宮(理恵)さんとは、レギュラーで長くご一緒させてもらった経験もあったので、「こういう風にお芝居されるかな?」と演技のニュアンスを想像して、ニヤニヤしたりもしていました(笑)。
──やはりよく知っている方が相方だと、お芝居のイメージもしやすいんですね。
佐藤:そうですね。ゲームの収録は基本一人で行うのですが、長くご一緒させていただいている方がお相手だと、二人の会話が想像しやすいのはあります。
ただ実際には、私が想像しているものよりも100億倍くらい素晴らしいものが出てくるんです。以前にドラマCDでお声を聞いた時も、私の想像を遥かに越えていて、やっぱりすごいなぁと思いましたし、さらにそれを踏まえて「次があったらこんな風に演じたい」という想いが湧いて来たりもしましたね。
──ルルとキティの掛け合いは、ゲームでは後半に入ってから描かれますが、ストーリーの構想としては最初から決まっていたのでしょうか?
橙々:その部分は、結構後になってから決めました(笑)。そもそもの話、初期の構想ではキティを実装するかどうか迷っていたところがあって……弟のニコとの関係性をしっかり固めたのも後になってからだったんです。
ルルとキティについては、作っていく内に「この二人が一緒にいたら、とてもかわいい感じになりそうだ」と思いました。ルルは、ほぼスーズとしか絡みがなかったので、他の子と接することで、違ったルルの一面を見せられるのかなとも考え、実装を決めたという経緯があります。
佐藤:そうだったんだ……!
橙々:実際、あそこのパートは評判も良くて、追加して良かったなと思っています。さらに今回ボイスが入ったことで、より癒やしの空間になったと思います(笑)。
私自身も完成したものを見るのが楽しみです!














































