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『ワンダンス』珈琲×YOUTEE×YU-KI×Shigekixインタビュー

TVアニメ『ワンダンス』原作者・珈琲先生、モーションキャプチャを担当する伊折役のYOUTEEさん、壁谷役のYU-KIさん、Shigekixさんにインタビュー|ブレイキン、そしてコミュニケーションとしてのダンスについて語る

悔しいことが「好き」である事実を突きつける

ーーさきほどShigekixさんが、珈琲先生がダンスから離れた時期があったことが良かったんじゃないか、というお話をされていました。珈琲先生の実感としてはいかがですか。

珈琲:まさにそうですね。ダンスを一度辞めて俯瞰で見られたからこそ、当時19歳のときに先生から言われていたことが、10年経ってようやく理解できたということもありました。例えば「自分、全然音を聴けてなかったんだな」とか。改めて自分の昔のダンスを見て、「ああ、これは言われるわ……」って。でもその気づきがあったからこそ、「ダンスを知らない人を引き込むにはどうすればいいんだろう?」と考えられるようになったんです。一度離れるというのは、人生の選択肢としてアリだなと。ただ、これは自分の場合だけで、皆さんはダンスを辞めていた時期ってあるんですか。

一同:ないですね。

珈琲:やっぱりトップを目指す人って、基本的には辞めないんですね。

Shigekix:僕たちは始めたのが早かったので、多分3人とも「ダンス辞めて何しよう?」みたいな(笑)。そういう状態になると思います。

ーーすごく素朴でナンセンスな質問ではありますが、「辞めたいな」と思ったことってありますか?

YOUTEE:僕は中学生のときに少しだけ思ったことがあります。部活や友達と遊ぶ姿を見て、なんとなく「自分も遊びたい」って一瞬思いましたけど……。でも振り返れば、辞めなかったのはよかったです。

珈琲:そのときはどうやって続ける決心をしたんですか?

YOUTEE:自制心と、自分の中の責任感ですね。周りに「続けろ」と言われた訳ではなかったので、自分で決めたことをやり抜こうと。

珈琲:それ、すごくいいですね。

YU-KI:僕は、辞めたいと思ったことはないです。

Shigekix:僕も正直、ないですね。ただ、魂を込めて準備してバトルに挑んだのに結果が出なかったとき、「うわ、やってらんない」って気持ちにはなるんですよ。「ええ?」みたいな(苦笑)。でも、その瞬間「どれだけ自分がダンスを好きか」に気づくんですよね。真剣であればあるほど、めっちゃ悔しい。子どもの時は、悔しすぎて、このまま嫌になったらどうしようって思っていたんですけど、それって好きな証拠なんです。なんならその帰り道には練習場所に向かっていたりして(笑)。本当にそういう時期があっても、完全に「辞めたい」と思ったことはないですね。

自分らしく表現して欲しい

ーーところで、YOUTEEさん、YU-KIさんモーションキャプチャーに参加された際、珈琲先生から何かリクエストなどはあったのでしょうか?

珈琲:いや、全くなかったです。僕が内心で思っていたのは、とにかく現場で“自分のダンスを出してほしい”ということでした。「キャラクターはこういう動きするだろうな」とかは考えずに、ちょっとアクシデント的な、即興的なものをどんどん出してほしいと。

YU-KI:実際、「自由に踊ってください」と言われました。本当に自由に踊らせてもらいましたね。

珈琲:ありがたいです。例えば、帽子が落ちたりして、それをうまく拾って次の動きにつなげたり……ってあるじゃないですか。機材が壊れても、それすら使って遊ぶくらいでいいと思っていて。やっぱり、アニメでバトルを描くにあたって、決まりきった振付ばかりしていたらバトルっぽくない。だから即興性を多く取り入れてほしかったんです。

YOUTEE:僕たちのダンスを知っている人からしたら、一瞬で「これYOUTEEだ!」って分かると思います。結構本気でバトルしました。なんかこう……“伊折が僕”みたいに感じているんです。伊折もブレイキンから始めてハウスダンスをしているんですけど、僕自身もブレイキンから始めて、いろいろなジャンルをやって、今はブレイキンとハウスを同時進行しています。最初は少しプレッシャーもありましたけど、伊折が自分に近い役ということもあって、好きに踊らせていただきました。

ーー作品だけでなく、キャラクターにも共感する部分があったんですね。

YOUTEE:ありますね。キャラクターごとに抱えているものが違っていて、バトルが得意な人もいれば、コンテストが得意な人もいる。それぞれの得意・不得意があるからこそ、感情移入しやすいし、それがリアルに描かれていると思います。

珈琲:伊折くんは“バトルメイン”の人で、ショーとかはあまり好きじゃないっていう設定なんですよね。そこにも共感したということでしょうか?

YOUTEE:そうです。

珈琲:そんなこと言って大丈夫ですか?(笑)

YOUTEE:大丈夫です(笑)。ダンスって、文化的にはもともとバトルから始まっているんです。もちろん今はショーも好きですけど、スタートがバトルだったので、やっぱりそのルーツには思い入れがあります。

ーーYU-KIさんは壁谷役として演じるうえで、プレッシャーのようなものはありましたか?

YU-KI:いや、そこはあまり考えてなかったです。意識したことと言えば、原作を読んだときに「壁谷って結構尖っているな」という印象があったので、バトルシーンでもその尖り、オラオラを考えつつ動きました。ムーブはもう、自分のままって感じです。

珈琲:ちなみに壁谷くんのムーブって、B-BOYから見てどうですか?

YU-KI:アニメならではだと思うところもありつつ、逆に「これやってみたい!」と思わせるようなムーブやつなぎがあるんですよね。絵として見てもすごいと思いました。

YOUTEE:YU-KIは全部できますよ。片手で回ってピタッと止まるみたいなムーブも。

Shigekix:2人のスタイルが全然違うというのも、良いポイントじゃないでしょうか。映像を見れば、本当に一目で「誰が誰か」分かるんじゃないかなと。良いダンサーほど、モーションキャプチャーやシルエットになったとしても、「あ、この動き方はあの人だな」って分かるんですよ。そのくらい身体の仕草に個性が宿っている。だから、今回の2人の参加はすごく楽しみです。間違いないと思います。

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