
ルパン一味VS好敵手を描く「LUPIN THE IIIRD」の集大成。こんなルパン三世を描きたかった――『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』監督・小池健さんインタビュー
「峰不二子という女」が作り上げたハードボイルドなルパン像
──シリーズの締めくくりとなる劇場版を制作するにあたって、難しかったことや苦戦したことはありますか?
小池:尺も長いですし、ルパン一味それぞれに見せ場を作りたいと思っていたので、アクションシーンもふんだんに盛り込みました。その結果、どうしても制作カロリーが多くなってしまって……(苦笑)。昨今はCG技術も進化していますから、画面作りでチャレンジしたシーンもあります。
──ルパン三世役の栗田貫一さんは「小池監督はCGをオーダーする際の絵を細かく描かれるらしい」とおっしゃっていました。
小池:僕は元々絵描きなので、なるべくイメージを具体的に伝えたいんです。ただ、色がついている訳でもないし、アクションはコンテ上で描かれていない部分もあるので、「こんなニュアンスが欲しい」という点はかなり細かく打合せしました。
──監督は「LUPIN THE IIIRD」シリーズを手掛ける前に、『LUPIN the Third ~峰不二子という女~』のキャラクターデザインと作画監督も担当されていますよね。長年シリーズに携わっていることもあって、栗田さんからの信頼の厚さを感じました。
小池:そう言っていただけると嬉しいです。「峰不二子という女」で、栗田さんがハードボイルドで渋めなルパン像を作ってくださって。それを踏襲する形で「LUPIN THE IIIRD」シリーズができました。そういう意味で、栗田さんが作り上げてくださったモノは大きいですし、栗田さんがいたからこそ、このシリーズができたと思っています。ですから、僕の栗田さんへの信頼のほうが大きいです(笑)。
大好きな『ルパン三世』を11年間も作れたのは幸せなこと
──ムオムやサリファだけでなく、これまでの「LUPIN THE IIIRD」シリーズに登場したヴィランたちも登場していて、最終決戦に相応しい豪華さですよね。
小池:有り難いことに「次元大介の墓標」で登場したヤエル奥崎や「血煙の石川五エ門」のホークは、ファンからの人気が高かったんです。これまでの作品を観てくださったファンの方にとっては、ヴィラン同士で共闘するような展開はアツいんじゃないかなと。そういう思いで、彼らを再登場させました。
──島本須美さんや高山みなみさんらこれまでのシリーズ作品に登場した声優さんもカメオ出演されていて。
小池:非常に豪華ですよね。実は特別ゲストとして、栗田さんのご息女にも出演していただいたんです。栗田さんのアフレコの時に見学にいらして、ブースの外でお父さんの仕事ぶりをご覧になっていて。その時に出演をお願いした訳ではないんですけど、ダメ元でお願いしてみたら快く引き受けてくださいました。
──あえて伺いますが、次回作の構想などはあったりしますか?
小池:ないですよ!(笑) 「LUPIN THE IIIRD」が完結するまでにも、11年かかっていますから、僕の『ルパン三世』はこれで完結したと思っています。「こんな感じのものを作りたいな」というざっくりした思いつきはありますけどね。
ただ、他にも『ルパン三世』を作りたいクリエイターはたくさんいると思うので、僕はその方たちの作品を待ちたいと思います。大好きな『ルパン三世』を11年間も作れたのは幸せなことですし、栗田さんたちはこれからもルパンを続けていくので、いちファンとして楽しみにしています。
──最後に、ファンへのメッセージをお願いします。
小池:今回は「LUPIN THE IIIRD」シリーズの完結編なので、「こんなルパンを描きたい」という願望をたっぷり詰め込みました。ルパン一味がルパンのことをどう思っているのか、また彼自身が自分の哲学を語るシーンもあるので、『ルパン三世』の醍醐味を存分に味わってください。
[インタビュー/永井和幸]
作品情報
あらすじ
そこに広がっていたのは、朽ちた兵器や核ミサイルが山のように積まれ、かつて兵器として使われ、捨てられた“ゴミ人間”たちが徘徊する、世界の終わりのような風景だった。霧に覆われたその島には、24時間以内に死をもたらす毒が充満し、逃げ場はない。
島の支配者・ムオムは不老不死を掲げ、世界を選別と排除で支配しようとしていた。銃も刀も通じない“死なない敵”を前に、ルパンは過去と誇り、そして盗人としての矜持を賭けた知略の戦いに挑む。
果たして、ルパンは24時間以内にすべてを盗み出し、生きて島を脱出できるのか──。
キャスト
原作:モンキー・パンチ (C)TMS
































