
“儚さ”の中に“強さ”があるマリー、その芯の強さに共鳴した──アニメ『ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される』リレーインタビュー第1回 マリー役・本村玲奈さん
演技の方向性を定めたPV収録
――第1話のアフレコに入る前に、PV第1弾の収録があったと思います。キュロスとの出会いをピックアップした映像でしたが、こちらの感想はいかがでしたか?
本村:オーディションのあと、マリーとして初めて演じる機会だったので、スタッフの皆さんと相談しながら臨ませていただきました。オーディションと同じように私の素の声を大事にしつつも、PVのマリーはまだ“ずたぼろ”の真っただ中なので、感情に蓋をしているイメージを大事にしました。キュロスと会話するのも難しく、目を合わせることすら怖い。そんなマリーの緊張感も相まって、私自身も真空状態にいるような感覚になりました。
印象的だったのは、亀山さんから「最後に少しだけキュンとする瞬間を見せてほしい」とディレクションをいただいたことです。マリーには「私が幸せになれるはずがない」という思い込みがあるので、その“キュン”を表現するのが難しく、何度もリテイクを重ねました。そのときは、この先の本収録にちゃんと臨めるのか、心配になったのを覚えています。
――PV収録があったことで、第1話のアフレコも入りやすかったのでは?
本村:方向性が定まったのでありがたかったです。PVはアフレコ開始前に公開されていたので、自分でも何十回も再生して(笑)、作品の世界観を体に染み込ませました。ただ、第1話のアフレコ時には映像がほとんど完成していたのですが、口パクにぴったり合わせるのが難しくて……。そんなとき、キュロス役の濱野大輝さんとミオ役の日笠陽子さんが「ここは別録りだよ」「台本にはこうメモすると楽だよ」と横からフォローしてくださって、本当にありがたかったです。まさにキュロスとミオに支えてもらうマリーのような感覚です。
――確かに画ができていると、口パクに合わせるのが大変だと聞きます。
本村:口パクをあとから直すこともあるそうですが、なるべく合わせないといけないので、尺に収めるのが大変でした。
――PVでも描かれた、マリーとキュロスが出会うシーンはいかがでしたか?
本村:イプサンドロスへの興味を初めて人に語れて嬉しさが爆発するのですが、直後にアナスタジアと自分を比べて現実に突き落とされる……。その振り幅の大きさに息が詰まりそうになりました。喜びが大きいほど悲しみも深くなる。マリーのつらさがダイレクトに伝わってきて、きっと視聴者の皆さんも驚かれたのではないかなと思います。
――アナスタジアが亡くなったあと、マリーが母エルヴィラに叱責されるシーンも驚きました。
本村:私も衝撃を受けたシーンです。ただでさえ姉を亡くした直後なのに、「お前が死ねばよかった」と言われ追い打ちをかけられる。胸が苦しくなる台詞ですが、このような台詞があるからこそ、マリーが背負う痛みや作品の骨太さが伝わると思います。
――そこからのマリーはずっと感情を閉ざしていましたね。
本村:期待すればまた深く傷つくとわかっているので、何も感じないよう心を凍らせている状態です。セリフにも「現実には期待していない」とありますが、まさにそのとおりの心情なんだと思います。
キュロスの“潔さ”が大好き
――マリーは自己肯定感が極端に低いキャラクターですよね。
本村:マリーはもっと自分に自信を持ってもいいはずなのに、巡り巡ってくる幸せをなかなか受け入れられないんです。それは、せっかく手にした幸せがいつか取り上げられたとき、自分が耐えきれないとわかっているからだと思います。物語が進むにつれて、その弱さの原因が少しずつ掘り下げられていくので、ぜひ最後まで見守っていただきたいです。
―― 一方で、湯の番であるチュニカによってマリーの雰囲気が少し華やぎます。
本村:お風呂についたときに、自分が薪割りとお風呂掃除をすると勘違いしたところが面白かったです(笑)。ただ、このあとのドレス姿のシーンも含め、マリーは状況を把握しきれていないので、流されるだけの状態でした。まわりはマリーの美しさに見とれるけれど、マリー自体は戸惑ったまま。そんな状況だったのかなと思います。ただ、チュニカをはじめグラナド城のみんなはユーモアがあって、視聴者の皆さんもきっとホッとしたんじゃないでしょうか。
――そして、キュロスとの結婚を拒絶するという衝撃的な展開がありました。
本村:こんなに大きな声が出るんだと驚きましたし、マリー自身ここまで声を張り上げたのは初めてだったんじゃないでしょうか。でも、状況がめまぐるしく変わりすぎて、「無理ですっ!」と反応するしかなかったのかなと思います。それがあまりに唐突だったのが面白いポイントでした。この作品は、コミカルな瞬間や視聴者の予想を裏切るシーンが随所に盛り込まれていて、そこが大きな魅力です。キャラクターの表情の振り幅をたっぷり楽しんでいただきたいです。
――では、本村さんからご覧になったキュロスの印象についてもうかがえますか?
本村:キュロスはとってもまっすぐで、「君は綺麗だ」「もっと話がしたい」とストレートに思いを伝えてくれます。普通なら照れてしまいそうですが、迷いがないんです。私はその潔さが大好きです。
キュロス役の濱野さんも同じくまっすぐで、頼もしい方です。新人の私が不慣れなこともあり、現場で緊張していると「わからないところある?」と声を掛けてくださって。掛け合いでもリードしてくださるので、まさにキュロスのような頼れる存在です。
――第2話以降はさらにキュロスとの掛け合いが増えていきそうです。
本村:とても楽しいです。キャスト陣のエネルギーがすさまじく、グラナド城のように賑やかで温かな現場なので、自然と掛け合いも弾みます。食卓を囲んで団らんするシーンも増えるので、このキャラクターたちとご飯を食べたいなと思っていただけたら嬉しいです。
――タイトルにある「溺愛」にも注目したいと思います。
本村:キュロスからマリーへの溺愛ぶりは本当にすごいです! 冒頭からエンディングまで、常にマリーのことを考え、愛情を注いでくれます。その優しさはグラナド城のみんなにも向けられていて、そこもまた家族としての"溺愛"なのかなと感じました。その温かさを感じながら、最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。
作品情報
<放送情報>
2025年7月4日(金)から
MBS・TBS・CBC・BS-TBS“アニメイズム”枠ほかにて放送中!
MBS:7月4日から 毎週金曜日 深夜1時53分〜
TBS:7月4日から 毎週金曜日 深夜1時53分〜
CBC:7月4日から 毎週金曜日 深夜1時53分〜
BS-TBS:7月4日から 毎週金曜日 深夜2時30分~
※放送日時は変更になる場合があります。
<配信情報>
U-NEXT・アニメ放題・dアニメストアほか各種配信サービスにて配信中!
あらすじ
ずたぼろの服をまとい、両親から召使のように扱われている貧しい男爵家の次女・マリー。それでも素直で優しい心を持ち続け、彼女は家族に尽くしていた。
ある日、マリーのバースデーパーティが開かれる。ところが、主役はお姫さまのような姉のアナスタジア。会場の外で哀しそうに佇むマリーは、偶然にも大富豪のキュロス・グラナド伯爵に遭遇する。
お互いに惹かれ合い、マリーにひと目惚れしたグラナド伯爵だったが、ある勘違いからマリーではなく、アナスタジアに求婚してしまう!
急速に進んでいく、グラナド伯爵と姉との婚約。しかしアナスタジアが事故死してしまい、代わりにマリーが伯爵家へ嫁ぐことになり……!?
勘違いから始まる“ずたぼろ令嬢”のシンデレラストーリー、開幕!
キャスト
マリー:本村玲奈
キュロス:濱野大輝
アナスタジア:田中美海
ルイフォン:木村良平
ミオ:日笠陽子
リュー・リュー:大原さやか
トッポ:柿原徹也
トマス:小林竜之
チュニカ:相坂優歌












































