
「野球もアニメも、ファンの方々にとっては単なる娯楽ではない」これからのベルーナドームは「大切なものを支える場所」へ──埼玉西武ライオンズ×アニメイトタイムズ特別インタビュー・球団広報担当社員に聞くアニメと野球の近似性
選手を推してもらうために「どのような受け皿を準備しておくべきか」
──アニメイベントやライブなども多く開催されるベルーナドームですが、そうしたイベントがある日も、広報部の皆さまが全体を管理されているのでしょうか。
ライオンズ広報:野球興行以外のイベントの場合は、「ドームセールスグループ」という別のグループが担当します。
──「ドームセールスグループ」?
ライオンズ広報:年間の野球興行の試合数は限られていますが、ベルーナドームは株式会社西武ライオンズが管理運営をしておりますので、野球の試合がない日をどのように活用するかを並行して考えています。それを考えるのがドームセールスグループの役割で、野球興行日以外でのコンサートや各種イベントの誘致を行っています。
──なるほど。では、事業広報の皆さまが主に動かれるのは、やはり野球興行・自主興行に関連する業務が中心になる、ということですね。
ライオンズ広報:そうですね。例えば(2025年)7月12・13日に行われた「ライオンズ夏祭り」はライオンズが主催するものですし、今年の1月に開催したゴルフの打ちっぱなしイベント(「LIONS GOLF EXPERIENCE STADIUM 9」)も自主興行でしたので、そうしたイベントの広報活動は私たちが担当します。
──野球興行における「アニメコラボ」のお仕事をご担当される際、事業広報としてどのような業務が発生するのでしょうか。
ライオンズ広報:アニメイベントに限らずにはなりますが、コラボイベントを実施するという企画が持ち上がると、まず「どのようなコミュニケーションをするか」を考えます。
具体的には、メディアに向けてどのように情報発信を行うか、SNSでどのように取り上げるのが効果的か、広告物やウェブサイトでどのように紹介すべきか……といった点を検討します。また、それに合わせて情報解禁日も重要になりますので、いつ発表すべきかといったタイミングも、先ほど申し上げたイベント担当チームと連携して考えていきます。
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──なるほど。
ライオンズ広報:私たちはイベントなどを「どのように発信すればより広く知ってもらえて、来場いただけるか」を考える部署なんです。イベントのプロデューサーが別にいるとすれば、私たちはその裏側で、ファンの方々、あるいはファン以外の方々に情報を届けるためのコミュニケーションを設計しています。
──最も重要で、核となる部分ですね。あらゆる層のファンへ広く情報を届けるために、特に工夫されていることや、やりがいを感じる点、または「これは難しかった」というご経験について教えてください。
ライオンズ広報:野球ファンの方もアニメファンの方も、今や情報収集の主なツールはSNSになっていると思います。そうした方々が集まるコミュニティに対し、いかに適切なタイミングで情報を発信できるかを考えるのが、非常に大事だと考えています。
もうひとつは、「推し活」がキーワードになっているなと思っています。野球ファンの「推し活」の形も変わってきており、選手としての姿だけを追うのではなく、SNSを中心に、より身近な素顔やオフの様子といった情報に触れることで応援する、という形にシフトしているのではないかと考えています。ライオンズとしても、今年の2月にTikTokアカウントを立ち上げるなど、コミュニケーションのプラットフォームを少しずつ増やしている段階です。
──世の中の流れや流行に対してアンテナを張って、追いかけていくお仕事ですね。
ライオンズ広報:例えば、SNSやWeb上で話題になっていることを、マスメディアの方々にもうまく取り上げていただく連携ができると、さらに大きな話題作りができると考えていますが……なかなか実現がうまくいかない場合も往々にしてあるので、工夫が求められるなと思っています。
──ライオンズ公式YouTubeチャンネルのショート動画でも投稿されていますが、選手の皆さんが宿舎でご飯を食べている様子などは、ファンとして非常に嬉しいなと感じていました。
ライオンズ広報:ありがとうございます(笑)。あくまでも傾向ではありますが、特に女性ファンはオフショットを求めていて、選手のパーソナリティを知ることで、より応援してくださるという傾向が、独自の調査結果から読み取れました。
選手としての姿だけでなく、ユニフォーム姿以外の彼らも見ていただくことで、よりパーソナルな一面を知ってもらいたいと考えています。
ライオンズ広報:先日、山田(陽翔)投手と西川(愛也)選手にインタビューをしていただきましたが、あの企画も彼らの私生活の部分に焦点を当てていただいています。また、まだ一部の選手だけですが、公式サイトの選手名鑑でファインプレー集やメディア掲載情報に加えて、彼らの素顔まで知っていただけるような、情報発信のプラットフォーム作りを精力的に行っています。
「選手を推してもらうためには、どのような受け皿を準備しておくべきか」という発想に基づいています。
──ちなみに宿舎での食事動画ですが、あの撮影もSNSチームがご担当されているのですか?
ライオンズ広報:そうですね! 広報が選手と交渉して撮影させてもらっています。
──選手一人ひとりと交渉されるのですね。
ライオンズ広報:選手のコンディションやタイミング、練習スケジュールなども考慮しながら交渉・撮影をしています。
「恥ずかしいので、カメラは……」という恥ずかしがりの選手もいるのですが、協力してくれているんですよ。
(C)SEIBU Lions


















































