
『こえかぶ 朗読で楽しむ歌舞伎〜梅と松と桜〜篇』稽古レポート&梅王丸役の野島健児さん、松王丸役の浪川大輔さん、桜丸役の仲村宗悟さんの座談会インタビューの模様をお届け!
公演では「声の衣裳チェンジ」に注目!
──稽古を拝見させていただきましたが、皆さんが年齢や性別などが異なる7役から9役をそれぞれのシーンや境遇にあった演じ分けをされているのはすごいなと思いました。加えて、三兄弟以外にも各シーンに重要な役がいて、シーンも目まぐるしく変わって。
仲村:僕らは一瞬たりとも気が抜けないですね。
浪川:「何を考えているんだろう?」と思うくらい休む間もなくて(笑)。
宣伝担当:もしかしてクレームですか?(笑)
浪川:いや……もう目を見ることができません。
野島:こんな風に声優イジりもすごくて(笑)。
浪川:でも声優冥利に尽きますよね。
仲村:挑戦させていただいています。
野島:朗読を聴いてくださる方にわかりやすくするため、衣裳を替えるみたいに声色はたくさん使って、声の衣裳チェンジを頑張らせていただいています。
仲村:野島さんは自分と自分の掛け合いも結構多いですからね。
野島:そこもひどいイジりだなと(笑)。
浪川:少し考えればバラバラにすることもできたのに、あれはあえてですよね。
仲村:素敵な演出ですね。
野島:何で僕ばかりでみんなはないの!? それがおかしい!
浪川:その代わりに我々は小学生もやりますから。でも一番好きなのはおばあちゃんですけど。
野島:そうですね。やりがいがあります。でももうそろそろ「梅王丸」をちゃんと発音出来るようにならないと。
浪川:僕ら「梅王丸」をちゃんと言えないので、本番までには間に合わせます(笑)。
仲村:「菅丞相(かんしょうじょう)」と「梅王」丸ですから(笑)。
──皆さん、シーンごとにその都度ディレクションが入ると真剣に耳を傾けたり、質問をされているのが印象的でした。
仲村:「ここはこういうシーンで、こういう感じになります」と内容自体をかみくだいて伝えてくださるような演出をされていたので、とてもわかりやすく伝えてくださいました。
野島:物語自体も芯になっている部分が繊細なお話なので、心の機微みたいなものを細かく丁寧に教えていただきました。こちらもその大枠の喜怒哀楽は楽しく演じさせていただきました。
浪川:時代と共に人の立場や価値観が変わってくるので、それをどう伝えて、時代に合った生き方を受け入れてもらえるわかりやすさは必要だと思うので、そこは丁寧にされていたのかなと思います。
仲村:約300年前の題材ということもあって、「現代ではこんな考えに至らないだろう?」という部分もありますが、観ていただく方にはその感覚でいいと思っていて。時代が進めばまた違ういろいろな考え方が出てくるでしょうし、自分の感覚に素直に観てほしいなと思います。
浪川:仲村くんは稽古の最初に「この時、松王丸はどういう気持ちなんですか?」と僕の役まで質問してて。
仲村:『こえかぶ』を演じるにあたって、この演目(六月歌舞伎座大歌舞伎における「寺子屋)について」を音声ガイドで聴きながら拝見しましたが一週間くらいひきずってしまって。
野島:わかる。僕もめっちゃひきずった。
浪川:とても繊細!
一同:(爆笑)。
仲村:浪川さんと違って僕らは繊細なので(笑)。拝見した時にそれぞれどんな気持ちで行動したのか知りたくなって、質問させていただきました。
浪川:僕も知ることができてよかったです。
役者としての腕の見せどころ
──チラシに「三兄弟の号泣必至の人間ドラマ」とあるように胸を打つドラマ、人間模様のお話でした。また歌舞伎では顔の表情やセリフに言い方、大きな動きなどで、感情を表わすことができますが、朗読で同じように伝えようとするのは大変だと思います。
浪川:とても大変です。今の時代での動きは皆さん想像しやすいと思いますし、絵がなくても皆さんに想像してもらえるようにするのが声優の仕事だと思いますが、時代的な背景まで見せなければいけないので非常に難しくて。
そこをどこまで表現できるのかが今回の勝負のひとつかなと。例えば「首」ひとつとっても状況や意味をうまく伝えることができたらいいなと思っています。
仲村:そこが役者としての腕の見せどころで、仕える主君のためなら我が子も差し出すし、自分の命もいとわない、そんな考え方には僕らは到底たどり着きません。でも役としてこの作品の世界に入った時にはしっかり没頭して、皆さんにも「その時代にはそんな常識があったんだ!?」というところまでお観せしたいなと思っています。



















































