音楽
寺島拓篤「more than W」発売記念インタビュー【前編】

“文学的”な歌詞が生まれる源は、マンガ、アニメ、ゲームで得た知識。作品の魅力を表現した“会心の一行”とは? 『異世界黙示録マイノグーラ』ED主題歌「more than W」発売記念・寺島拓篤さんインタビュー【前編】

 

作品の世界観を詰め込んだTAKEさんの手腕に脱帽。“FLOW世代”だからこそ、喜びもひとしお

──2コーラス目から寺島さんが伝えたいものがより鮮明に見えてきたように思います。2サビ後の「いつから尽きないものになった 言葉にできないほどの感情」や「後悔の鼓動とWe never hope for... hope for...この夜の向こう 進もう」にはかすかな希望を感じました。でも、ラスサビ最後の「no matter how much We, no matter how much We cry 終わることない 哀と成り果てようとも」で、やっぱり悲劇なのかと。

寺島:めちゃめちゃ暗いですよね(笑)。本当に暗いままの曲だと、どんより沈んでしまうかもしれませんが、サビは曲調もメジャー進行なので、これくらい暗い言葉でもいいかなと。割と今回の言葉遊びはシンプルで、「アイ」という言葉ひとつとっても「愛」と「哀」などいろいろな意味がありますが、この作品では切っても切れない、「二つ一緒」というのがテーマの1つになっているので、今回に関して言えば「愛情」と「哀しみ」は切り離せないというところを書いてしまおうと思ったんです。

書き始めた最初の頃にこのフレーズを思いつきましたが、仕上げはやっぱり「哀しみが待っていたとしても先に進む意味や価値があるよ。この世界には」という余韻を残しているつもりです。「暗いけれど、暗くなりすぎずに行けているかな?どうかな?」というところは聴いてくださる皆さんの判断にお任せします。

──アウトロなしで終わるところも意味ありげだなと感じました。

寺島:そうなんですよね。なので、聴いて「楽しかった!良かった!」では終わらない何か、感情や想いなどが皆さんの中で渦巻くのではないかという心配もあります(笑)。

──この曲はゴシックなオケとコーラスから始まりますが、OP主題歌の「Majestic Catastrophe」(佐々木李子さん歌唱)も同様の雰囲気がありました。ここはすり合わせをされたのですか?

寺島:曲を作っている時、「OP主題歌はどのように進行しているんですか?」と何度も尋ねましたが、皆さんと同じように完成したPVを見て初めて「こんな曲なんだ」と知りました(笑)。曲を聴いて「わっ!?すごい近い!」と感じましたね。イントロの感じもそうですし、メロディーラインも近いものがあるなと思うくらい重なっていて。

そんなOP主題歌とED主題歌でアニメの本編をサンドしているので、なかなか世界観が濃いめだなと。アニメをご覧になってくださっている皆さんは、最初から最後までどっぷり浸れるのではないでしょうか?

──ゴシックなイントロで始まりながらも、サウンド自体はエモ(メロディアスなパンクロック)なのに、不思議と合うんですよね。

寺島:そうなんですよね。最初にデモを聴いた時にクワイア(聖歌隊の合唱)みたいな声が入っていて、「こんなの今までの自分の曲にはなかったな」と思いましたが、聴き進めていくうちに、「この1曲という短い時間の中に、作品の持つ世界観をなぜこれほどギュッと詰め込むことができるんだろう?」と思うほど、構成がすごく巧みで感心させられました。さすが、これまで数々の名曲を手掛けてきたFLOWのTAKEさんだなと。僕が『異世界黙示録マイノグーラ』から感じたダークな雰囲気の部分と、ライトでフットワークが軽い部分がうまくミックスされていて、本当に驚きました。

 

 

──「more than W」のサビメロの、メロディアスでせつないけど熱い部分と、2サビ後にはコール&レスポンスするポイントがあって。

寺島:「more than W」が使われているアニメのPV第2弾を見ても、サビの部分にバトルシーンがあてこまれていて。攻めの方向に持っていけるところでもちゃんとハマるようになっているので、作品ともちゃんと合致しているのがすごいですよね。

──ちなみに、レコーディングにTAKEさんはいらっしゃったんですか?

寺島:ディレクションしていただいて、ノリノリな感じのレコーディングでした(笑)。TAKEさんが「いいね~!じゃあそのまま行こう!」という感じだったので、いつものスタッフとは違うテンション感に若干戸惑いつつ。今まで何度かフェスなどでご一緒して、お話ししたこともあったので、「TAKEさんはこんな感じの人なんだ」と心構えができていてよかったです(笑)。

──「more than W」のサウンドから、FLOWらしさをたっぷり感じました。

寺島:FLOWは時代的にメロコア(メロディック・ハードコアの略。メロディーや歌詞を聴かせるタイプのパンクロックサウンド)から入ってきたバンドだと思いますが、タイアップの作品に合わせてレンジ(音量や声域の幅)を変えていける器用さに加えて、ツインボーカルということもサウンドの幅広さを感じさせてくれるし、しかも年々、その幅が広がっていて。今回、僕はTAKEさんの曲にのせる歌詞を書かせていただいているので、そのすごさを更に感じました。

──FLOWの作るアニメタイアップ曲はどの曲もサビがキャッチーかつ印象的で、いつになっても頭に残りますが、この曲も同じで。

寺島:僕もそう思いました。なので仲間入りさせていただいたように感じられて、すごく嬉しかったんですよね。僕もFLOWの曲をアニメと共に聴いて育ってきた世代なので、こういう形でご一緒できて、しかも自分の名義でこの曲を歌えるのはすごいことだなと改めて思っています。

 

リリックビデオやジャケットもインパクト抜群。意外にもアナログな方法で撮影!?

──7月5日(土)に行われた「Original Entertainment Paradise -おれパラ- 2025 夏場所」(以下、「おれパラ2025 夏場所」)で披露されましたが、お客さんの反応はいかがでしたか?

寺島:反応は……わかりません(笑)。野外だったこともあって、いつもと雰囲気も違いましたし、暑くて。また直後に、このシングルのカップリング曲「夏の夜の夢」を披露する流れになっていたんですが、すごく難しい曲だったので、みんなのリアクションを見ている余裕がなくて。ただ歌ってみて、ライブでバンドのサウンドを直接受けながら歌うと、より自分の中のエモさが増す曲だなと感じたのと同時に、歌いこなすことの難しさも感じました。

込めるパワーやドラマティックな展開を自分の声と体でどう表現していくのかや、メロディーもちゃんと取るのが難しいラインなんだと改めて実感しました。これからもっといっぱい歌って、もっと自分のものにできたらいいなと思っている段階です。

──リリックビデオのコメント欄にも「おれパラ」で初めて聴いた方もいたようで、かなり好印象でしたし、「今までにない感じ」など好評の声も上がっていました。

寺島:今までより少し踏み込んだ感じがありますね。今までもドラマティックな展開の曲はありましたが、もっと深いところや暗いところに足を踏み入れているので、どうパフォーマンスしようかなと。「おれパラ」は先輩方と一緒に目まぐるしくステージを展開していくので、これほどドラマティックな曲をどこで歌おうかというのも難しかったです。自分のライブでもいずれ歌うと思いますが、どうセットリストに組み込んでいくのかは悩みどころです。

──でも、会場が盛り上がることは間違いありませんね。

寺島:サビはだいぶアガると思います。前半の暗さがタメになっていて、サビで爆発する感じはライブでは欠かせないものだと思うので、相当盛り上がるんじゃないかなと。

──リリックビデオも話題を呼んでいますが、ゴシックな雰囲気の写真のコラージュや動画が使われているほか、寺島さんの写真まで使われていて、おもしろいですね。

寺島:アレはどういう意図なんでしょうね?(笑)僕は毎回MVやジャケットなどは各セクションの担当の方にお任せしているスタンスなので、今回のリリックビデオを作っていただく上で、いろいろご提案いただきましたが、「いいと思います」としか言えなくて。僕も気になっているところです。

──初見時はかなりインパクトがあると思います。

寺島:そうですよね。ちゃんと楽曲に寄り添う雰囲気で作ってくださっているので、リリックビデオを見ることで、この曲の世界観がより広がると思います。見える景色やフィールド感とか。「異世界黙示録マイノグーラ」では『Eternal Nations』というゲームが舞台になっていますが、ゲームの世界でエリアが変わるとまったく雰囲気が変わるじゃないですか。そういった体験をこの曲でもしてもらえるんじゃないかなと思いました。

今回、まずPV第2弾で流れて、リリックビデオ→アニメ→曲の配信と段階を追っていますが、アニメのオンエア直後に配信されたフルサイズで聴いてくださった方は、「TVサイズよりも、もっとすごい展開だったんだ!?」と気付いていただけたと思います。

──確かに2コーラス目からのサウンドと歌詞が、より深みまで掘り下げていく感じがします。

寺島:歌詞の言葉選びもいろいろ練って、作ってハメてという感じでしたが、TAKEさんからは「文学的だね、てらしー」と言っていただきました。自分の中では言葉の使い方のセオリーなどを詳しく学んでこないままここまでやってきたので、いつも作詞する時は「おかしな使い方してないかな?」という不安もありました。

 

 

──初回限定盤は紙ジャケットかつビジュアルもおもしろいですね。

寺島:去年の9月にリリースした1st EP「ELEMENTS」で初めて紙ジャケで出したんですが、アレが評判良かったということ?

ディレクター:過去に何度かオンライントーク会をやった時、ファンの皆さんがジャケットを飾ってくれていたり、いろいろなアイテムを自分で加工したりしてくれているのが見えて。なので飾れるものを作りたいと思って、「ELEMENTS」で挑戦してみたところ、作品の一つとして楽しんでくださった方が多くて。

寺島:漫画家でありイラストレーターでもある三輪士郎先生の絵がとても魅力的だったこともあって、「イラストはやっぱり大きいほうがいいだろう」と。今回もその気持ちを引き継いで、僕の肖像を使ったジャケットでも紙ジャケを作ってもらいました。僕は自分を前面にドカンと出すタイプではないので、写真で出るのがいいのか悪いのかわかりませんが、「ファンの方はきっと喜んでくれるはず」という信頼を支えにやってみました(笑)。

デザインは今回初めて、Halloweenの吉田翔一さんにお願いしました。スタッフからいろいろなデザイナーさんを薦めていただく中で、吉田さんの作る雰囲気が今回合いそうだなと思ってお願いしたら、僕が想像していた以上にすごいものが上がってきて。最初に吉田さんご本人が被写体になったラフが届いた時はすごく衝撃的でした。吉田さんはゆるやかウェーブの入った髪型に少しヒゲを生やした、外国の香り漂うお兄さんなので、「これを俺がやるの!?」と違和感がありましたが、実際に現場で撮影してみたら「なるほどね。これが吉田さんが見ていた感覚なんだ。おもしろいな」と思ったし、写真を撮ってみても不気味さとひっかかりがあるジャケットになりました。

──寺島さんの腕4本で「W」を表現していますが、これはスローシャッターで撮影したのか、それとも後で合成したのでしょうか?

寺島:実は外側の両方の腕は僕のものではありません。極めてアナログな方法で、僕の後ろにスタッフの男性がピッタリ密着して撮影したんです。すごいですよね。

──えっ!? そうなんですか? それにしては4本がすごく近くないですか?

寺島:びたっとギリギリまでくっついて。これはバージョンが2つあって、僕が自分の胸の前で腕を組んでいるものと、僕が腕を開いて、後ろから抱きしめられながら胸の前で腕を組んでいるものがあります。撮影中は照れ臭い気分と申し訳ない気分が入り混じって(笑)。あと後ろの方の腕がきれいですし、腕の表情付けもうまいし。

──しかも寺島さんの腕にそっくりで。よく身近にいたものですね。

寺島:確かに(笑)。アナログならではのおもしろさですね。しかもジャケット用に調整する時も微調整のレベルでほぼはみ出していないし、顔もちゃんと隠れているし。ちなみに指輪を付けているのが僕の腕です。

──本当にすごいです! 今度ソロライブを行う時、会場にこのジャケットの顔入れパネルを設置してほしいくらい。

寺島:(爆笑)確かに。あと手ハメにするのもいいかも……でもやる人いないでしょ? 人前でやるのは結構勇気がいりますよ。

──パネルがあったら自分は必ずやります!

寺島:本当に?(笑)

ディレクター:人目なんて関係ありません! みんな仲間ですから。

寺島:でも撮影してSNSに上げてくれたらおもしろいかもしれないですね。実現できるのかはさておき(笑)。

 

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