音楽
MyGO!!!!! 羊宮妃那×小日向美香×林鼓子 鼎談|7th SG「往欄印」に刻まれたバンドの今

心のはしを辿って、君に会いに行く──ZEPP TOURを象徴する新曲「往欄印」が示す互いへの道しるべ。MyGO!!!!!の羊宮妃那さん(Vo.高松燈役)、小日向美香さん(Ba.長崎そよ役)、林鼓子さん(Dr.椎名立希役)インタビュー

二度目となるZEPP TOUR 2025「心のはしを辿って」で全国を駆け巡り、2025年8月7日(木)の北海道公演を目前に控えたMyGO!!!!!が、7枚目となるSingle「往欄印」を8月6日(水)にリリースする。

タイトル曲「往欄印」は、同ツアーで初披露となった楽曲であり、本ツアーを象徴するようなパンク/ハードコアナンバー。さらにカップリングには、TVアニメ『カードファイト!! ヴァンガード Divinez デラックス決勝編』のエンディングテーマ「残痕字」を収録している。

今回は、ZEPP TOURの大阪公演を終えて間もないタイミングに、Vo.高松燈役・羊宮妃那さん、Ba.長崎そよ役・小日向美香さん、Dr.椎名立希役・林鼓子さんの3人を直撃。2025年の上半期を振り返りながら、本ツアーの手応え、新曲に込めた想い、そして今のMyGO!!!!!について、じっくりと語ってもらった。

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「一生、バンドしてくれる?」高1の春の終わり。羽丘女子学園では誰も彼もがバンドをしており、遅れて入学した愛音も早くクラスに馴染めるよう、急いでバンドメンバーを探す。そんな中、「羽丘の不思議ちゃん」である燈がまだバンドを組んでいないと知り、愛音はなんとなく声をかけるが・・・・・・。傷だらけで不格好な、私たちの音楽(叫び)。迷子でもいい、迷子でも進め。作品名BanGDream!It'sMyGO!!!!!放送形態TVアニメシリーズBanGDream!スケジュール2023年6月29日(木)~2023年9月14日(木)TOKYOMX・AT-Xほか話数全13話キャスト高松燈:羊宮妃那千早愛音:立石凛要楽奈:青木陽菜長崎そよ:小日向美香椎名立希:林鼓子高松燈の父親:宮田俊哉(Kis-My-Ft2)スタッフ原作:ブシロード監督:柿本広大シリーズ構成・脚本:綾奈ゆにこ脚本:綾奈ゆにこ 後藤みどり 小川ひとみ 和場明子 春日たにキャラクター原案:ひと和 植田和幸キャラクターデザイン:CraftEggアニメーションキャラクターデザイン:茶之原拓也 八森優香 ShinJosephCGスーパーバイザー:奥川尚弥モデリングディレクター:武内泰久 寺林寛リギングディレクター:矢代奈津子 柏木亨色彩設計:北川順子撮影監督:奥村大輔...

ツアーを巡るなかで芽生えた想い

──ZEPP TOUR 2025「心のはしを辿って」の手応えをどう感じられていますか?

椎名立希役・林鼓子さん(以下、林):やはりZEPPはバンドにとってひとつの憧れの場所なので、今年も立たせていただけて本当に嬉しいです。それと、お客さんの熱量が去年よりもさらに上がっているのを感じていて。前回は冬から春にかけての季節だったということもあるのですが(MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」)、今回はとにかくアツい!(笑)

気温もそうですが、お客さんの声や反応のボリュームもすごくて。一言でまとめるなら、簡単な言葉にはなりますが「楽しい!」って気持ちです。

長崎そよ役・小日向美香さん(以下、小日向):本当にそうですね。私たち自身も去年のZEPP TOURより、パフォーマンスや演奏を心から楽しめている実感があって。それはメンバーの表情からも伝わってきますし、お客さんの団結力もすごく上がっていて。特にコールの声が昨年の倍ぐらい大きくて……「皆さんと一緒にMyGO!!!!!が進んできたんだな」って、改めて実感できるツアーだなって。

──特にコールの声が大きかったと感じた曲というと?

小日向:やっぱり「砂寸奏」(さすらい)ですね。去年のツアーで初披露だったんですが、その成長っぷりがとんでもなくて。

林:うんうん。もう歌えるようになってますもんね。

小日向:そうそう。去年のツアーの表題だったということもあって、今年もセットリストに入れることにしたんですけど、去年と比べて育ってきたなってすごく感じました。今年のツアーでさらにパワーアップしている気がします。その「砂寸奏」と同じように、「往欄印」(おうらい)もこれからどんどん育っていったらいいなって思っています。

──「往欄印」については後ほどまたゆっくりお話を伺わせてください。羊宮さんはどうでしょうか。

高松燈役・羊宮妃那さん(以下、羊宮):ツアーの感想で言うと……今(インタビュー現在は)ちょうど東京公演と大阪公演を終えた折り返し地点なので、これから燈ちゃんとして今年のツアーをどう成長させていけるかを模索している最中です。

応援してくださっている皆さんの反応を一つひとつ受け取りながら、「次はこうしてみようかな」と取り入れていけたらいいなと思って練習したり、ライブ中のその場だからこそ作れる音や想いにも集中したいと思っているので、まだまだ気が抜けない日々ですね。

──今、羊宮さんから「今年」という言葉がありましたが、2025年の上半期を振り返ってみるといかがでしょうか。

小日向:もう濃すぎて(笑)。

林:本当に(笑)。年始からTVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』の放送もありましたし、MyGO!!!!!×Ave Mujica 合同ライブ「わかれ道の、その先へ」もありましたから。1年前くらいの出来事に感じるほど濃密でした。

小日向:(YouTubeチャンネルの)『THE FIRST TAKE』の公開も上半期なんですよね。

林:そうそう。この3人は(MyGO!!!!!とCRYCHIC で)2回出演させてもらって。そういった機会や、TVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』を通して、MyGO!!!!!だけではない顔というか……キャラクター性も深まったと思うし、私たち自身もそれぞれが演じる役への理解がぐっと高まった半年だったなと。表現の幅も広がったように実感しています。

また、『バンドリ!』シリーズとしても『THE FIRST TAKE』は、本当に新しい挑戦でしたし。『バンドリ!』というコンテンツでは、キャストが本当に演奏をしたりキャラクターに声を当てたりしているんだと、改めてたくさんの人に知ってもらえたきっかけになったと思います。

──反響もすごかったですよね。

林:本当にすごかったです。作品を知らなかった方や、他の現場で共演した方にも「見たよ!」って声をかけていただいて。「本当に叩いてるんだね」「本当にドラムやってたんだね」とか(笑)。

小日向:私はちょうどその時、舞台に出演していた期間だったんですけど、共演者の方から「『THE FIRST TAKE』見るのが好きで、最新回を開いたら、美香ちゃんいたんだけど!びっくりした!」って言っていただいて。そこから作品の話にもつながって、改めて『THE FIRST TAKE』というものが、全国、いや全世界の皆さんにとって、楽しみにしている特別なコンテンツのひとつなんだなって実感しました。そこに出演できたことが本当に嬉しかったです。

──確かに『BanG Dream!』自体も大きなコンテンツですが、YouTube内でも『THE FIRST TAKE』はまた特別な位置づけですよね。

小日向:本当に。そこから自分の活動を知っていただくきっかけにもなりました。

羊宮:確かに、私も現場で久しぶりにお会いする方々から「1発撮りの見たよ」って言っていただくことが増えて。「『THE FIRST TAKE』のことですね?」っていう会話をしたりしています。

──羊宮さんの中で、上半期のなかでも特に印象深かった出来事というとどうでしょう?

羊宮:やはり合同ライブ「わかれ道の、その先へ」です。いろいろな燈ちゃんと手を取り合える時でもあり、「またね」と言える時でもあるなって感じていました。新しい「燈ちゃん」として、次のステージへ進もうと強く思えたライブで、自分にとってのひとつの集大成というか。本当に大きな一歩だったなと感じています。

──あの日のライブを今振り返ると、どんな印象が残っていますか?

羊宮:まずメンバーがすごくないですか……? sumimiとAve Mujicaと、そして私たちMyGO!!!!!とCRYCHICって。

──すごいですよね。

羊宮:見返すと、自分でもドラマを見ているような感覚になるんです。「ステージに立っている自分」ではなく、本当にただただ、「燈ちゃんたちの世界をそっと見ているような感覚」になりました。

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──小日向さん、林さんはあの日のステージをどう感じていますか?

小日向:“メディアミックス”というのでしょうか。声優さんが実際にバンドをできること、アニメの展開に合わせてリアルでもライブができるというのは、『バンドリ!』ならではの強みだと実感できました。

DAY1ではMyGO!!!!!結成までの流れをなぞる構成だったんですが、私、「詩超絆」のときに思いが込み上げてきて涙が溢れてしまって…。あの2日間は、本当に“バンドリ!にしかできないライブ”だったと思います。うまく言葉にできないけど……「伝説のライブだった」と言い切れる2日間でした。

改めて、このコンテンツに関わらせていただけていることへの感謝をずっと感じながらステージに立っていて。私たち自身もですが、お客さんも本当に感動してくれていたのが伝わってきました。「このライブに来られてよかった」って思ってくださった瞬間があったとすれば──それを一緒に作れたことが、私の人生にとっても素敵な思い出で、大きな宝物です。「この経験があるから、私は胸を張って死ねるな」って、本気で思えるぐらいで。

──大げさじゃなくて、本当にそう思っているということですよね。

小日向:そうなんです。ライブって、本当にその時にしか生まれない感情が溢れる場所だなって再確認しました。たとえば『BanG Dream! 12th☆LIVE』(2023年11月4日(土) DAY2 : MyGO!!!!!「ちいさな一瞬」東京ガーデンシアター)のときの「詩超絆」は、すでにMyGO!!!!!が結成された後なので、「泣かずに歌おう」と心に決めてステージに立っていたんです。だから、あのときは泣いていません。

でも今回の合同ライブでは、アニメの中で一度解散した流れがあって、そこからもう一度つなぎ直すような意味を込めた「詩超絆」だったんですね。だから、12th☆LIVEの時よりアニメの情景に寄り添って歌うことになって、自分の感情に正直になろうと思ったんです。そしたら涙が自然と溢れてきて……そこではアニメと同等の想いで臨めたように思います。自分の中で、さらに完成形の「詩超絆」を届けられたと思っています。

そしてDAY2はまた違っていて、そもそもの見せ方も変化したんです。全員でコーラスに入るという流れもありましたし、MyGO!!!!!として結成したあとの世界線のような気持ちで臨みました。そこでは私はずっと笑顔で、MyGO!!!!!としての音楽を楽しむそよちゃんとしてステージに立つことができて。本当に全然違う意識で臨んだ2日間でした。

CRYCHICでのライブも……どこから話せばいいかわからないくらい、特別な時間でした。CRYCHICのメンバーでステージに立てたことは、私にとってもそよちゃんにとっても、かけがえのない2日間だったと感じています。

──お話を聞いていると胸が熱くなります。

小日向:ありがとうございます。どのインタビューでも、パンフレットのコメントでも、「今までのすべてを捧げて、全力で臨みます」とだけお話してきましたが、本当にその言葉通りに臨めた2日間だったと思います。今までMyGO!!!!!として、そよちゃんとして、歩んできたすべてを、このライブにぶつけることができました。

──ライブが終わったあとに気持ちの変化はありましたか。

小日向:アニメの中でも、そよちゃんはMyGO!!!!!の一員として進み、CRYCHICとはきちんと決別できたというか……そういうそよちゃんになれたので。これからは、MyGO!!!!!のメンバーと一緒にいる時間、MyGO!!!!!の音楽を楽しむ時間を大切にしようって気持ちにシフトチェンジしていると思うんです。

だから私もZEPP TOURからは、何の迷いもなく、そよちゃんとしてステージに立とうって。「わかれ道の、その先へ」歩みを進められた気がしています。

──林さんはいかがですか?

林:みか(小日向さん)も言っていましたけど、私たちは“メディアミックス”という形で、いわゆる2.5次元的な表現をさせてもらっているわけですけど、それが今回、本当に集大成というか、最高潮というか──まさに“真骨頂”ともいえるライブになったなと感じています。

アニメの物語やゲームの中にいるキャラクターとしてのMyGO!!!!!と、私たちがリアルで演奏しているMyGO!!!!!。今回のライブでは、その2つの世界観をつなぐ架け橋になれたと思いましたし、本当に理想的な形で実現できたんじゃないかなって。本当に感動的で、「やりきった!」っていう気持ちが強く残っていて、まさしく集大成と呼べるライブになったと思います。

CRYCHICの楽曲では、ハクウンボクの花が落ちてきたんですが、あの場面も本当に感動しました。「ああ、立希が見たかった景色って、きっとこれだったんだろうな」って。その瞬間、より(立希と)ひとつになったような感覚がありました。ちょっと、すっきりしたところもあったんですよ。

──ああ、でも確かに長い時間を共に過ごしてきたからこその感覚なんでしょうね。

林:そうですね。ずっと一緒にいたからこそ、自分自身と立希の気持ちがだんだん混ざってくるんですよ。だからこそ、CRYCHICという存在に対して、自分の中でもすごくわだかまりを感じていたところもあって。正直、MyGO!!!!!が「春日影」をやるとなったときも「それって本当にいいのかな……?」という迷いがあったんです。でも、ライブを通して気づいたことがあって。

アニメの中で、立希が「CRYCHICは普通のバンドだったんだ」って気づいて解放されたように、私自身もすごく似た気持ちになれたんですよね。神格化していた存在が、ちゃんと“等身大”に見えてきて。それでようやく、「CRYCHICでよかったな」「CRYCHICが終わって、MyGO!!!!!になって、この5人で進むって決めてよかったな」って、心から思えるようになりました。今はもうMyGO!!!!!が私の居場所なんだっていう気持ちです。

──TVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』の話題が挙がりましたが、林さんはどんな気持ちで見ていましたか?

林:毎週ハラハラしながら見ていました(笑)。アフレコのときも、台本が届いても「わからない!」「これは誰がどうなってるの……?」って混乱することも多くて。でも、その分すごく丁寧に解説していただきながら、「ここはこういう気持ちで」って、細かくディレクションを受けていたので、視聴者の皆さんにどう届くのかドキドキしていました。

でも、立希はTVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』の時には少し俯瞰して人のことを見られるようになっていたので、少し第三者的な視点でAve Mujicaのことを見ていた部分もありました。まだ何かありそうな終わり方だったので、ここからAve Mujicaがどう成長していくのか、すごく楽しみにしています。

──先ほど、羊宮さんから「新たな気持ちで」という話がありました。その気持ちの変化についてもう少し詳しく伺ってもいいでしょうか。

羊宮:なんて言うんでしょう。人って本質的に、いろんな一面を持っていると思うんです。たとえば、歌っているときに荒々しくなる燈ちゃんもいれば、悲しみに沈む燈ちゃんもいる。でも、それも全部「自分」なんですよ。どんな自分でも自分だよね、私だよね、っていうのが、TVアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』のEDテーマの「栞」だとも思うんです。

アニメやライブ、『ガルパ』(スマートフォン向けゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』)などを通して、さまざまな姿を見せてきた燈ちゃんですが──どの燈ちゃんも、きっとこのライブで手を繋げる、お立ち台に上がれるんじゃないかなって。なので、「ありがとう」「これからも一緒に、みんなでいい道を歩んでいこうね」と想いを込めたライブでした。もちろん曲ごとに演じ分けはあるんですけど、私の中のテーマは一貫してそこにあって。

だからこそ、今回のツアーは、新しい燈ちゃんが誕生するツアーになるんじゃないかなって思っています。何かがなくなるわけでもなく、交わると言えば交わるですし。でも新たな燈ちゃん、という感覚がありますね。

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