
おっとりしているように見えるけど、妹を守ろうとする芯の強いお姉ちゃん──アニメ『ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される』リレーインタビュー第5回 アナスタジア役・田中美海さん
アナスタジアとマリーの関係性
──アナスタジアは両親に愛されているようで実際はそうでもなかったと、第9話で示唆されました。
田中:結局は両親に都合よく、人形のように扱われていたんです。ひどい両親ですよね……。ただ、毎回思ったのがグレゴールさんとエルヴィラさんのお芝居のすごさ。お母さんのヒステリックさやお父さんの傍若無人さが強調されていて、ふたりのセリフがあるたびにつらい家庭環境だと伝わってくるんです。これはお芝居の力だなと感じました。
──第9話では、御者のヤーコブから第1話の真相が明かされましたね。
田中:これも本当にひどい話です……。ヤーコブのしたことは絶対に許されませんが、いろいろなことが重なった結果でもあると思うんです。たとえば、もっといい馬車に乗っていれば展開は違っていたかもしれないですし、ただただ歯車が噛み合ってしまった結果、あの悲劇が起こった。そう思うと、作品全体に漂うカルマのようなものを感じます。
── 一方で、第8話では幼いアナスタジアがマリーに『ずたぼろ赤猫ものがたり』を読み聞かせするかわいらしいシーンもありました。
田中:このシーンはすごく楽しかったです! 『ずたぼろ赤猫ものがたり』の朗読がアーサーにつながっていくので、実は少しべらんめえ口調を意識して演じました。オーディションの際にも「アーサーはもっと男の子っぽく、アナスタジアとはまったく違う声でお願いします」と指示をいただいたんです。別人のようなギャップを意識したのですが、その経験が朗読にも反映されたと思います。
──田中さんの朗読も素敵でした。
田中:そう言っていただけてうれしいです! マリーがイプサンドロスの物語や文化に興味を持つきっかけにもなったと思うので、とにかく楽しく読み聞かせをしようと思いました。収録が終わったあと、スタッフの方に「上手だね」と声をかけていただけたのがうれしかったです。
──でも、マリーはアナスタジアから引き離され、勉強を叩き込まれるんですよね。
田中:まだまだ幼くて、お姉ちゃんと一緒にいたい年齢なのに、語学の勉強をさせられるんです。3、4歳ですよ!? 読み書きができるだけで天才と褒められるくらいの年齢なんだから、「そこまで厳しくしないであげて~!」と胸が苦しくなりました。
──マリーのセリフでは、「姉がいろいろと世話を焼いてくれていた」とも語られました。
田中:マリーの身長がこれ以上伸びないように食事制限をさせられていたときも、アナスタジアはこっそりビスケットを持っていくんです。厳しく監視されていたはずなのに、それでもマリーを守りたいという気持ちがあったんでしょうね。お互いがいるから頑張れたんだと思います。
── 一方で、アナスタジアのことが大好きだからこそ、マリーは後ろめたさで押し潰されそうになっている様子もありました。
田中:アナスタジアに助けられてきた実感もあるでしょうし、容姿の違いからずっと比較されてきたんだと思います。子どもの頃に言われたことはずっと心に残るので、「お姉様には絶対敵わない……」というトラウマみたいなものが、マリーの根底にあったと思うんです。そのせいでキュロスの愛を信じきれなくなっている。
アナスタジアは大好きな存在であると同時に、トラウマの象徴でもあるというのが、私としてはすごくもどかしかったです。「そんなことないんだよ」と声をかけてあげたくなりました。
──実際に幸せを感じれば感じるほど、ここは本当はアナスタジアの居場所だったのではないかと、毎回苦しんでいました。
田中:第8話で、マリーが幻聴のように「代わりなさい、代われ!」という声を聞くシーンは、本当につらかったです。マリーの悪夢として割り切って演じましたが、私も胸が痛みました。
田中さんが思うマリーやキュロスの印象
──マリーの印象についてはいかがですか?
田中:私も落ち込むことが結構あるので、マリーが自分を卑下してしまう気持ちはよくわかります。しかも、モノローグを通じてその心情が丁寧に描かれていくので、共感する場面がたくさんあるんです。それがマリーの人間らしい部分だなと感じますし、応援したくなるところです。
──そのマリーも少しずつ明るさを取り戻してきました。
田中:マリーとキュロスがデートをする第8話は、アナスタジアとしては久しぶりのアフレコだったんです。目を輝かせながら楽しんでいる姿が本当に幸せそうで、すごくかわいかったです。「そうそう、本来は笑顔の似合う子なんだよ」と、少し涙ぐんでしまいました。
キュロスと口づけをするシーンも美しかったですね。スタジオでも感動の声が上がっていました。そのあとは、アナスタジアが嫁いだ日の真相が明かされ、さらにマリーがグラナド家を出て行って……。怒涛の展開に毎回心がざわざわしていました。
──キュロスについてはどんな印象をお持ちですか?
田中:マリーの言うとおり、瞳がエメラルドのように美しくて、実際に目の前にいたらその瞳に吸いこまれてしまうかもしれません。マリーの話を丁寧に聞いてくれるところも素敵ですし、よく照れるところもかわいくて。私は男性アニメキャラの“デレ顔”が大好物なので(笑)、「キュロス最高!」って毎回思っていました。
──しかも、ストレートに好意を示しますよね。
田中:顔がよすぎてキラキラしすぎているので、マリーが「まさか本気なはずないよね?」と疑ってしまうのもよくわかります。遠くから見守るだけで満足してしまうのかもしれません。
──アナスタジアやマリー、キュロス以外で気になるキャラクターはいますか?
田中:実はルイフォンが大好きなんです! 少し軽薄そうに見えますが、裏ではちゃんとキュロスたちのことを考えて行動しているところがかっこよくて。木村(良平)さんの真面目なときとおどけているときの声の使い分けも絶妙です。
──ところで、アナスタジアと田中さんご自身で似ている部分はありますか?
田中:妹がいるところは一緒ですね。意外に思われる方もいらっしゃるんですが、実は私も姉なんです! アナスタジアとマリーほどお互いを支え合うような関係ではありませんが、どこかで気に掛けている存在ではあります。
妹が大学生の頃は、親も安心ということで東京で3年半ぐらい一緒に暮らしていたんです。家事はほとんど妹がやってくれたので、すごく助かりました。趣味も合うので一緒に映画やコラボカフェにも行きましたし、妹もその時期はすごく楽しかったと言ってくれています。
──すみません、確かにあまり姉のイメージはなかったかもしれません! 役としても、お姉さん役というのは珍しいですよね。
田中:原作のとびらの先生からも、「成人のお姉さん役は珍しいですね」と言われました(笑)。確かにこれまでは妹役を演じることが多かったので、お姉ちゃん役ができたのはうれしかったです。
──では最後に、第11話以降の見どころを教えてください。
田中:第10話は、ラストでアナスタジアが捕まり、「いったい何をしにきたんだ!?」というところで終わりました。アナスタジアがマリーの前に現れた理由はなんなのか、シャデラン家がマリーを虐げていた理由は……と、謎が解き明かされていく面白さがたくさんあるので、人間関係や背景を考えながら見ていただくとより楽しめると思います!
作品情報
<放送情報>
2025年7月4日(金)から
MBS・TBS・CBC・BS-TBS“アニメイズム”枠ほかにて放送中!
MBS:7月4日から 毎週金曜日 深夜1時53分〜
TBS:7月4日から 毎週金曜日 深夜1時53分〜
CBC:7月4日から 毎週金曜日 深夜1時53分〜
BS-TBS:7月4日から 毎週金曜日 深夜2時30分~
※放送日時は変更になる場合があります。
<配信情報>
U-NEXT・アニメ放題・dアニメストアほか各種配信サービスにて配信中!
あらすじ
ずたぼろの服をまとい、両親から召使のように扱われている貧しい男爵家の次女・マリー。それでも素直で優しい心を持ち続け、彼女は家族に尽くしていた。
ある日、マリーのバースデーパーティが開かれる。ところが、主役はお姫さまのような姉のアナスタジア。会場の外で哀しそうに佇むマリーは、偶然にも大富豪のキュロス・グラナド伯爵に遭遇する。
お互いに惹かれ合い、マリーにひと目惚れしたグラナド伯爵だったが、ある勘違いからマリーではなく、アナスタジアに求婚してしまう!
急速に進んでいく、グラナド伯爵と姉との婚約。しかしアナスタジアが事故死してしまい、代わりにマリーが伯爵家へ嫁ぐことになり……!?
勘違いから始まる“ずたぼろ令嬢”のシンデレラストーリー、開幕!
キャスト
マリー:本村玲奈
キュロス:濱野大輝
アナスタジア:田中美海
ルイフォン:木村良平
ミオ:日笠陽子
リュー・リュー:大原さやか
トッポ:柿原徹也
トマス:小林竜之
チュニカ:相坂優歌













































