
「打ちのめされることはあるけれど」すべてのはたらく人へ贈る“お仕事アニメ”は「優しく元気をくれる作品」──アニメ『笑顔のたえない職場です。』双見奈々役・夏吉ゆうこさん×原作・くずしろさん対談インタビュー
「心に優しいお仕事アニメです」
──キャスト発表時に公開されたくずしろ先生と夏吉さんによるコラボイラストも話題になりました。
夏吉:お話をいただいて、まず「いいんですか……!?」と思いました。コラボということは先生の絵に自分の絵が並ぶということ……なぜ!?と(笑)。でもお声がけいただいて本当に嬉しかったです。
幼いころに「漫画家になりたい」と思ったこともあったので、こういう形で先生とご一緒できて感激でした。
──制作はどのように進んだのでしょうか?
夏吉:最初に先生がイラストイメージといいますか、ラフをくださって「周りを描くので真ん中に(夏吉さんのイラストを)お願いします」という流れだった……のですが、緊張しましたね。普段、先生のサインの横に自分のサインを書くときだって「自分が失敗したら先生が書いたものが台無しになる……!」と思うのに(笑)。普段の倍以上時間をかけて描きました。
作品側から「描きませんか」と誘っていただいた形になるので、好きで描いているもののお仕事モードも入っていて。絵を描くことが“お仕事”になっているという状況が嬉しかったですね。声優って贅沢な仕事だなと思いました(笑)。
くずしろ:本当に素敵なイラストを描いていただきました。ありがたいなぁと……!
夏吉:あのイラストを描くにあたって、コミックスの表紙の色使いを真似してみたりしたのですが、やはり真似できなくて、到達できないセンスに触れている感覚がありました。
──せっかくお二人ご一緒の機会ですので、夏吉さんから漫画家・くずしろ先生に聞いてみたいことを質問していただきたく思います。
夏吉:えー! いっぱいある……どうしよう……? そうだなぁ……これまでたくさんの漫画を生み出してこられたくずしろ先生ですが、「漫画家」という題材で作品を描こうとしたきっかけって何だったんですか?
くずしろ:「一度くらい描いてみてもいいかな」と思って……(笑)。自分がやっている職業だから描きがちだし、描きやすいという気持ちがあると思うんです。小説なら小説家が主人公だったり、ラノベならラノベ作家が主人公という作品がよくあると思っていて、身近な体験談だから「わかっている」。だから描きやすいんですね。その分“漫画家マンガ”をはすでにたくさんあって。
「わざわざ自分がやることかな?」とは思っていたのですが、一度くらい描いてみてもいいかもと思ったのがきっかけでした。でも私をそのまま描くのは違うので、ズラしながら描けたらと思っています。
夏吉:漫画家さんのお話だから、先生がご自身と重ねて描いていらっしゃるのかな?と思っていたのですが、双見とは別なんですね。
くずしろ:そうですね。どちらかというと私は梨田(ありさ CV:小林ゆう)です。梨田から愛嬌を抜いた感じといいますか(笑)。
夏吉:梨田さん……(笑)。
くずしろ:(笑)。正確に言うと梨田とも一緒ではなくて、梨田は私の言うことを「わかるぜ!」って理解してくれるんだと思います。一方、双見は「そういう考え方もあるんですね……!」みたいな返事をしそうかなと。
夏吉:キャラクター一人ひとりに共感できるんですよね。先生の体験してきたことが、少しずつみんなに埋め込まれているんですか?
くずしろ:そうですね。でも双見と佐藤(楓・CV:雨宮 天)のやり取りは完全にファンタジーです。もう夢、恋愛漫画。“ファイナルファンタジー”です。
一同:(笑)。
くずしろ:佐藤に「私が言われたかったセリフ」を言わせているときもあるので、描いていて恥ずかしくなる時もあって(笑)。それを双見に受け取らせています。
夏吉:先生の代わりにキャラクターが想いを受け取るって、すごくいい……!
くずしろ:「あなたは受け取れる度量のある人だから受け取りなさい」「幸せになれよ!」と(笑)。
夏吉:おぉ……! 幸せになります!(笑)
くずしろ:夏吉さんに声を当てていただいた時点で、こいつ(双見)はもう幸せだと思うので、これ以上何かを与えるのは、と思わんでもないですね(笑)。でも主人公なので、いっぱい幸せになってもらえたらと思っています。
さっきも言いましたが、夏吉さんが演じることで足された双見の可愛げといいますか。例えば「…(三点リーダー)」がつくようなシーンがわかりやすいと思うのですが、これから放送されるお話で、双見の「原稿後半の記憶がない」というセリフがあるんです。原作だと「記憶がない……」という書き方なのですが、夏吉さんは「記憶がないッ!」と演じてくださいました。それを聞いて、こっちのほうが可愛いなと。
同じネガティブでも愛嬌を出すことができるんだな、気落ちしていても楽しげに見せることができるんだなと、夏吉さんの演技を見て幸せな発見をさせていただきました。
夏吉:掛け合いのボルテージの中で演じ方やセリフの言い方も変わることがあるのですが、そういう意味では原作から変えてしまったかも、と思う瞬間もあって……。でも、くずしろ先生がアフレコを見てくださっているから、ダメな場合は指摘してくださるか!といったような安心感もありました。チャレンジをしながらのアフレコでしたね。
くずしろ:「原作通りに」という言葉をよく聞きますが、原作には声が付いていないですからね。キャラクターを解釈して、声を当てて演技してくださったことが本当にありがたかったです。
「…」って、どんな演技をするのかと(笑)。アフレコを聞いていて、制作スタッフさんから「『…』の部分をください」のように要求されているところを見ると、(アニメは)声優さんの解釈や力量に頼る部分が大きいなと思います。
夏吉:先生がいらっしゃったからこそ、のびのび演じることができました……!
──それでは最後に、アニメをより深く楽しむために注目してほしいポイントを教えてください。
夏吉:「お仕事」という軸はブレずに、これからどんどん登場人物も増えて、双見が立つステージも上がっていきます。
お仕事アニメを見ていると「うっ……」となってしまうこともあるけれど、この作品は本当に優しい気持ちのまま、ひとつの職場の成長を見守ることができます。その様子を見て、一緒に成長を体感することもできて、心に優しいお仕事アニメです。「今、疲れてるな……」という人に見てほしいです。
声優の友達にも「元気が出るから見て!」っておすすめしています(笑)。どんなお仕事をしていても打ちのめされることはあるけれど、優しく元気をくれる作品ですので、心のお薬のように見ていただけたらと思います。
【インタビュー:西澤駿太郎 撮影:胃の上心臓 編集:太田友基】
『笑顔のたえない職場です。』連載バックナンバー
『笑顔のたえない職場です。』作品情報

放送情報
2025年10月6日(月)よりTOKYO MX、岩手めんこいテレビ、BS朝日、AT-Xにて放送開始!
TOKYO MX:10月6日より 毎週月曜 22時00分~
岩手めんこいテレビ:10月12日より 毎週日曜9時30分~
BS朝日:10月6日より 毎週月曜 23時24分~
AT-X:10月6日より 毎週月曜 21時30分~
【リピート放送】毎週水曜 9時30分~ 毎週金曜15時30分~
配信情報
DMM TV・Lemino・U-NEXT・アニメタイムズ・アニメ放題にて
10月6日より 毎週月曜日 22時30分~配信開始!
その他、各配信サイトでも順次配信!
※放送・配信日時は都合により変更になる場合がございます。
スタッフ
原作:『笑顔のたえない職場です。』くずしろ(講談社「コミックDAYS」連載)
監督:鈴木 薫
シリーズ構成:井上美緒
キャラクターデザイン:宮井加奈
音響監督:田中 亮
音楽:羽岡 佳 土井宏紀
音楽制作:ポニーキャニオン
オープニングテーマ:HoneyWorks feat.ハコニワリリィ 「絶対称賛!」
エンディングテーマ:Sizuk「Thankful」
アニメーション制作:Voil
キャスト
双見奈々:夏吉ゆうこ
佐藤 楓:雨宮 天
間 瑞希:伊藤美来
梨田ありさ:小林ゆう
角館塔子:松井恵理子
浅倉 栞:佐伯伊織
ねこのて:花井美春
間 柚希:早見沙織
滝沢 蓮:能登麻美子
早池峰 和:上坂すみれ
立浪和歌子:井上喜久子
イントロダクション
双見は駆け出しの少女漫画家。
クールな担当編集や、頼もしいアシスタントらの力を借りて、念願の将棋漫画『昴へ』の連載を、ようやくスタートさせることができたけど……
ストレスでお腹をやられて、1話から締切を延ばしてもらったり。
ネームが進まず、深夜まで机にかじりつく羽目になったり。
夜食で太っちゃったり、よからぬ妄想が止まらなかったり……
前途多難な漫画家ライフ、笑顔で謳歌できるのか──!?
■TVアニメ『笑顔のたえない職場です。』公式HP
■TVアニメ『笑顔のたえない職場です。』公式X
ハッシュタグ:「#えがたえ」






















































