
TVアニメ『暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが』エンディングテーマ「Like Gravity」BONNIE PINKさん×監督・羽原信義さん対談インタビュー|“繋がり”を強く感じる楽曲とアニメの制作秘話
赤井まつり先生原作のTVアニメ『暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが』、略して『ステつよ』が10月6日(月)深夜1:30よりテレビ東京、BSフジ、アニマックスほかにて放送中、またテレ東放送終了後よりdアニメストア・ABEMAにて独占配信中です。
本作は、クラスメイトと共に異世界に召喚された高校生・織田晶がチート級の能力を得て、エルフの少女・アメリアと真の“暗殺者”へと到るまでの物語。
このたびアニメイトタイムズでは、EDテーマ「Like Gravity」を担当するBONNIE PINKさんと、監督・羽原信義さんの対談インタビューを実施。アーティストとアニメ監督、両者のクリエイティブが重なり合い、『ステつよ』に大きな化学反応が生まれています。
「Like Gravity」はアメリア視点の楽曲に
──アニメ『ステつよ』のEDテーマ担当することが決まったときのお気持ちからお聞かせください。
BONNIE PINKさん(以下、BONNIE PINK):異世界転移系の作品がたくさん存在している中でもすごく人気の作品だとうかがっていたので、結構プレッシャーは感じていました。
実は私、何か題材があったほうが、曲が作りやすいんです。良い機会をいただけたので、全力で頑張らせてもらおうと思いました。
監督・羽原信義さん(以下、羽原):(EDテーマを担当するアーティストの)候補を何名かご提案いただきました。その中でBONNIE PINKさんの曲を聴かせていただいたのですが「Last Kiss」を聴いた瞬間に、アメリアが晶を想っているシーンがすぐ浮かんできたんです。
声と曲と、そして映像がマッチした感覚になったので、ぜひBONNIE PINKさんにとお願いしました。
BONNIE PINK:ありがとうございます。実は「Last Kiss」もアニメのテーマソングでした。(『GANTZ 〜the first stage〜のエンディングテーマに採用)ちょっと切ないラブソングで、ファンの間でも人気の曲でもあります。
なので、その曲を監督が気に入ってくださったのが、すごく嬉しいです。まさか、そこから今回のEDテーマ起用に繋がったとは全然知りませんでした(笑)。
──(笑)。「Last Kiss」がきっかけになっていたのですね。
BONNIE PINK:もちろん「Last Kiss」とは全然違う曲をこの作品のために書きたいと思ったので、オファーをいただいてから改めて『ステつよ』のコミックス版や小説を全部読みました。
羽原:最初、リモートで画面越しに打ち合わせをさせていただいたときから、もう完全に作品の世界を理解していただいていて。その時点で「Like Gravity」というタイトルが決まっていたんですよね。
BONNIE PINK:タイトルから先に決めていましたね。私自身も作品に参加する気持ちで曲を書くので、何かテーマになるものやキーワードをいつも作品の中から探すんです。そこで、アメリアの技の名前に「Gravity(重力魔法)」があったので、これしかない!と思いました。
また、“女性目線の曲を”とおっしゃっていたので、アメリアの気持ちや恋心みたいなものを想像しながら書くのが良いなと。「Gravity」はぴったりなキーワードだったかなと思います。
羽原:そうですね。近づいたり離れたりというところがありますからね。
BONNIE PINK:それぞれ住む世界が違う晶とアメリアは、もしかしたら惹かれ合ってはいけないのかもしれないけれど抗えない、というところが「重力」と似ているなと思ったんです。
その打ち合わせの時点ではまだ曲は書いていませんでしたが、「Like Gravity」というタイトルだけ考えていて。監督にそれを伝えたら「良いですね」とすぐにおっしゃっていただけたので、この方向で書き進めよう、と思いました。
──“女性目線の曲”という要望は、監督からだったのでしょうか?
羽原:そうですね。オープニングは晶目線に近い感じの激しめな曲になっていたので、エンディングは当初からアメリア目線でイメージしていました。
──BONNIE PINKさんから完成した曲を受け取って初めて聴いたとき、いかがでしたか?
羽原:ラフの段階から何度かやり取りをさせていただいたのですが、初めて曲を聴いたときから本当に綺麗で……! 素敵な声をしていらっしゃるので、本当に切なすぎてたまらなかったです。
BONNIE PINK:嬉しいです。ありがとうございます(笑)。
──BONNIEさんは、「Like Gravity」とともに映し出されるエンディング映像をご覧になっていかがでしたか?
羽原:聞きたい……!
一同:(笑)。
BONNIE PINK:(笑)。曲にもすごく寄り添っていただいている感じがしましたし、色合いを含めて画がすごく綺麗でビックリしました。
作品の中ではアメリアのアクティブな一面が見られるシーンが多いかもしれませんが、エンディング映像からは一人の女性として、ふと落ち着いたときの表情や母性みたいな大きな愛が感じられて、とても素敵だなと思いました。色々な角度で楽しめる作品になっているのではないかなと。
──羽原監督、エンディングの映像の制作についてお聞かせください。
羽原:BONNIE PINKさんに曲を書いていただくことに加え、アメリアの気持ちを表現したいとも考えていたので、絵コンテ・演出を女性のスタッフにお願いしました。
本当に線一本で違った表情に見えるほどの繊細さを制御してもらおうと思い、第3話で演出を担当された石井さんと、メインで色彩設定を担当されている森さんの2人に映像と色のイメージを出していただいて。
映像には、石井さんのアイデアで空を飛んでいるクジラが出てきます。重力に抗っているような様子になっていて、クジラはゆっくりと上空へと離れていきます。大きくゆったりと浮いているクジラにアメリアは手を伸ばして追いつこうとしているようにも見えます。何やら意味ありげにも見えますね。
守ってあげたい部分、強い部分の両極を1曲の中で感じてもらえるように
──先ほど、楽曲のタイトルを先に決めていたとおっしゃっていましたが、そこからどのように楽曲を作られたのでしょうか。
BONNIE PINK:私はだいたい、メロディーも歌詞も同時に考えることが多いのですが、元となる作品がある場合は、その世界からなるべく言葉を拾っていきたいので、作品を読んで自分が引っかかる言葉を書き出すところから始めました。
「Gravity」はもちろん、キャラクターの「夜」も、実は歌詞にこっそりと入っています。
羽原:2番の歌詞ですね!
BONNIE PINK:はい。タイアップをやらせていただく場合は、作品を知っている方なら気づいてくれるかな?というところをちょこちょこ入れ込んでいます。
晶やアメリアといったキャラクターの名前が直接出てくるわけではありませんが、作品を見終わって最後に曲を聴いた人は、きっとどの2人の話をしているのか伝わるだろうな、と想像しながら考えました。
──メロディーについてはいかがでしょうか?
BONNIE PINK:作中には戦闘シーンもあるので、静と動の両方を1曲の中に込められたら良いなと。私たちがバースと呼んでいるAメロ、Bメロはグッと抑えた「静」の部分で、アメリアの強さを静かな音像の中で表現しています。逆にバンッと上がるサビは感情の爆発をイメージした作りになっています。
アメリアの守ってあげたい弱い部分と、彼女が持っている強い部分の両極を1曲の中で感じてもらえるように、という目標を目指して制作しています。
羽原:曲を聴くと、おっしゃっている雰囲気が本当に伝わってくるんですよね。(エンディングの映像で)灯篭が宙に上がるところは、BONNIE PINKさんのファルセットに合わせて作りました。
灯篭やクジラは3Dで制作しているのですが、3Dアニメーターの安田さんが曲に合わせて動きを作ってくださったので、楽曲とうまくリンクできたのではないかと思います。
──「AnimeJapan 2025」のステージにて、監督は「音にも注目してほしい」とおっしゃっていましたね。
羽原:本当に大事な要素です。聴き逃さないように、スピーカーではなくてヘッドホンで聴いてほしいです(笑)。
BONNIE PINK:(笑)。
羽原:本編もOPもEDも、耳が喜ぶ音づくりになっているのでぜひ楽しみにしていてください!








































