私の音楽活動の第3章が始まる──大西亜玖璃さんコンセプトミニアルバム「Rock&Roll Lady Girl」＆「失恋モノクローム」リリース記念インタビュー

声優・アーティストとして活躍する大西亜玖璃さんのコンセプトミニアルバムが、2025年10月22日に2枚同時リリース！　

“ロックンロール”がコンセプトの「Rock&Roll Lady Girl」、そして“失恋”がコンセプトの「失恋モノクローム」。それぞれに大西さんの新たな一面が詰め込まれたファン待望のアルバムとなっています。

今回、アニメイトタイムズではリリースを控える直前に大西さんにインタビュー！　全10曲の制作の裏話など、たっぷりとお話を伺いました。

第3章の始まりで“別のあぐぽん”を見せる

──今回、アルバムリリースに先行してジャケット写真が公開されました。

大西亜玖璃さん（以下、大西）：みんなの反応がよくて嬉しかったです。いつもオフショットをアップするとたくさんいいねがもらえるんですよね。もしかしたらみんなポニーテールが好きなのかもしれません（笑）。

──（笑）。ポニーテールはレアなお姿だったり？

大西：アー写だとあまりなかったですね。また今回のような黒を基調とした衣装は「エルダーフラワー」のMV以来だと思うので、みんなからしたら新鮮なのかも。『魔女の宅急便』のキキっぽいとも言われましたが（笑）。

──たしかにちょっとだけ似ているかも？　では、今回のコンセプトアルバム制作に至る経緯をお聞かせください。

大西：これまで、シングルやアルバムを通して、たくさんの“あぐぽんらしい曲”を歌わせてもらいましたが、それとともに“別のあぐぽん”を見せるタイミングを図っていました。そして、ついにそのタイミングがやってきたなと。

──なぜこのタイミングに？

大西：「イニミニマニモ」でタイアップ作品が一旦落ち着くタイミングだったんですよね。次のリリースまで期間が空いたらみんなが寂しがるでしょうし、年末に向けた良いタイミングでもあるので今にしました。

──2枚同時リリースにも驚きました。

大西：2枚同時はすごいことですよね。

私の音楽活動は「本日は晴天なり」から1st Album「Do you agree?」までが第1章で、「夢で逢えなくても」からが第2章。そして今回のコンセプトアルバムで第3章を迎えます。

──2枚に分けたことにはどのような意図が？

大西：プロデューサーが「失恋」、ディレクターが「ロックンロール」を推していまして……。

──プロデューサーは工藤さん、ディレクターはhabanaこと井上さんですね。

大西：そうです。habanaは前々からロックンロールと言っていて、工藤さんは「亜玖璃ちゃんは失恋テーマの曲はまだ歌っていないからいいんじゃないか」と。それぞれの色が出るから、2枚に分けたのではないかと思っています。

──二つのコンセプトを聞いた時はどのように感じましたか？

大西：ロックンロールはこれまでに何曲か歌わせてもらっていますし、個人的にもJ-POPのロックが好きなので、新たなお気に入りが増えるんだと嬉しくなりました。逆に、失恋はどんな感じになるのか全く想像がつかなかったのでワクワクしましたね。

──では「Rock&Roll Lady Girl」収録曲から1曲ずつ伺っていきます。1曲目は「エンダー」ですね。

大西：ロックというコンセプトが決まった時、私から「意味のわからない曲」を作ってほしいとお願いしたんです。それがこの曲ですね。

──「意味のわからない曲」？

大西：例えば歌詞などについて、なにも考えないでいい曲と言いますか。そのお願いが、作詞・作曲・編曲の鶴崎（輝一）さんに届いたのかどうかはわかりませんが、結果的に私の思い描いた通りのロックソングが届いて、嬉しかったです。

──鶴崎さんはこれまでも大西さんの楽曲をたくさん制作されていますし、より解像度が高かったかなと。

大西：でも、いつもの鶴崎さんの曲とはテイストが違うんですよ。普段は「かわいい」「乙女系」のような曲が多かったので、今回のようなかっこいい系は意外性がありました。

──歌ってみていかがでしたか？

大西：言葉遊びを楽しんでいるような感覚で歌ったのですが、鶴崎さんから「キーは低めで、かっこいい歌い方」とオーダーいただいたんです。私としては低めの歌声が上手いこと曲とマッチしていたらいいなと思っています。

みんなにも、いつもの鶴崎さんの曲との違いを楽しんでほしいです。

──そして2曲目の「裸足のスタンプ」は失恋ソングのような印象を受けました。

大西：私も爽やか系の失恋ソングだと思いましたが、habanaいわく「青春ロック」とのことです。でもそう言われて歌詞を見てみると、誰かの当時を思い出しながら歌っている感じにも取れるんですよ。MVができたことで、よりその感覚が伝わりやすくなりましたし、ロックンロールと失恋のちょうど中間の曲になったなと思います。

──たしかに、映像になったことで当時を思い出しながら歌っている雰囲気が伝わりました。MV化はそういった意図を反映させるために？

大西：そうだと思うのですが、habanaが（MV撮影を行うことについて）絶対に譲らなかったんですよね。工藤さんは「『裸足のスタンプ』だと海に行かないといけないじゃん、暑いじゃん」と言っていたとのことなのですが、それでも譲らなかったそうで（笑）。

──そんな経緯が（笑）。

大西：私としては「裸足のスタンプ」はすごく好きな曲なので、MVを作ると聞いた時は喜んで返事をしました。

──撮影はいかがでしたか？

大西：撮影したのは関東の海だったのですが、なんとなく想像していた海よりも綺麗で驚きました。

──撮影時は天候にも恵まれたのですね。

大西：これも想像より暑くて太陽の光で目が開かなくて、恵まれすぎて困りました（笑）。その分、夕日が本当に綺麗で映像以上でしたね。感動しました。

──〈オレンジからコバルトになる私〉の歌詞とリンクしていましたね。

大西：そうですね。撮影時は夕日の時間を待っていたんですけど、タイミングが短いからみんなで慌てて撮りました。

──あと、自転車に乗られていたのが、なんだかちょっと意外に感じました。

大西：監督にも「あぐぽんって自転車乗れる？」って聞かれましたけど、乗ったことありますよ！（笑）　ただ、あの自転車は電動で、乗るのが初めてだったので最初は加速がすごくて驚きました。

──そして「裸足のスタンプ」といえば、ジャケットのイラストにも注目が集まっています。

大西：イベントで「裸足のスタンプ」がどんな曲になっているのかみんなに絵で伝えた時に描いたものです。後々habanaに見せたら曲のイメージ通りだったそうで、元々作詞の金子（麻友美）さんに詩を書いていただく時の参考としてお送りしていた絵にとても似ていたそうです。

そこからジャケットに使われることも決まったのですが、イベントの直前にババっと描いたものだから大丈夫かなって（笑）。でも「裸足のスタンプ」は情景がイメージしやすくて、描きやすかったんです。これが「にじんでく」だったら大変なことになっていたと思います（笑）。