
土岐隼一さん 2ndフルアルバム「JUMBLE!!」リリース記念インタビュー|これまでの経験や、今やりたいことを詰め込んだ名刺代わりになるアルバム。各クリエイターの個性が輝く、タイトル通りの“ゴチャゴチャさ”が魅力
今の自分のスキルをすべて注ぎ込んだ「トイ・フレーム」。ライブでの爆発力に期待
──MVもある「トイ・フレーム」が、このアルバムのリード曲という認識でいいんでしょうか?
土岐:このアルバムには絶対的な主役がいなくて、全曲が主人公の1枚になりました。その中でも「トイ・フレーム」は、「今の自分のスキルをすべて注ぎ込んで作ったらどうなるのかな」というところから作られた曲で、収録曲の中でも一番派手なので、一応リード曲になっています。
──どんなオーダーをされたのでしょうか?
土岐:自分のスキルをすべてぶち込むことができて、ストリングスが入っている僕が好きな雰囲気で、ハーモニーも厚くて。でも疾走感のあるロックの要素もあって。おしゃれではあるんだけど、王道のコード進行にも聴こえる、という難しいお題でオノシさん(24chocolate)にお願いしました。何度もやり取りをしたので、今となっては僕がどこを直してもらったのかも覚えていません(笑)。そんな僕のお願いをオノシさんがブラッシュアップして作ってくれました。
──何かが始まりそうなワクワク感のある音色が厚いイントロから、A、Bメロはさわやかに、サビではロックで、しかもコール&レスポンスのポイントもあって。新たなキラーチューンが生まれたなと。
土岐:僕も曲が届いた時、ライブ映えしそうだなと思いました。でもこの曲に限らず、このアルバムの曲たちは今までの曲と相性がいいと思うし、シナジーが感じられるので、ライブのどこに置いても粒だってくれて、ライブ映えするんじゃないかなという手応えがあります。
──おもちゃ箱だと思っていたら実は宝石箱だった、みたいな。
土岐:アルバム最後の曲が「Time is Jewel」で、うまく締まりましたよね。でも宝石箱って大人の宝物みたいなイメージがあって。宝物というのは人それぞれ違うと思っていて、僕にとってはおもちゃだけど、皆さんにとっては美しい宝石や大切な人からの手紙かもしれません。「Jewel」という言葉の上に自分の好きなものをフリガナで入れれば、何でも成立すると思います。
また、この曲の中で「小さな宇宙の宝石箱みたいだ」と歌ったり、「大きな未来の玩具箱みたいだ」と歌っていますが、いつも応援してくれる皆さんと一緒に過ごすライブやラジオの時間と空間も僕にとって、とても大切なんです。そんないろいろな想いを歌詞にしてくれたRUCCAさんはやっぱりさすがです。
──この曲を聴いていると、昔、友達と過ごした時間や出来事はかけがえのないもので、いつまでも大切にしなきゃと思わせてくれました。
土岐:メッセージ性が強い曲ですよね。「忘れてないかい?」という歌い出しから始まって、ラスサビが「泣いた日も笑った日も「明日」へ繋ぐ鼓動」と、今もまだ走り続けているよという雰囲気が最後まであって、エネルギーがずっとあふれているというか。
なので完成したMVも、すごいパワーやいろいろな空気感を感じられる映像になりました。歌っていても聴いていてもエネルギーやパワーが満ち溢れているので、「ライブで歌った時、どうなるんだろう?」と思うほど爆発力がある曲です。
──今を懸命に生きる人の心に刺さる曲だなと思いました。
土岐:「トイ・フレーム」に限らず、すべての人たちの心に寄り添える楽曲になっていると思っています。ただ、聴いてくれる人に「もっと頑張ろう」と思ってほしいわけではなくて、むしろ寄り添って、起爆剤やガソリンみたいになってくれたらいいなと思いながら歌いました。歌に引っ張られたことは僕自身もありますし、100%頑張っている人たちがあとほんのちょっと、101%でも102%でも頑張れるようになってもらえたら、みんなの生活の一部になったらいいなと思っています。
──MVはバンドと一緒に歌うライブシーンから始まって、土岐さんが子供の映像を観ているシーン、そして都会の夜のビル群を背に歌う映像になっています。
土岐:監督が「トイ・フレーム」を聴いてイメージしたコンテを作ってもらい、僕がそれを表現しています。MVのストーリーが大好きで、昔を懐かしみながらも前へ進もうというメッセージ性が映像からも伝わってきて。僕も頑張ってカッコつけたかいがありました(笑)。
「ブン回センセーション」は今までになかったタオル曲。「暮らすリズム」は休日の土岐さんを見るような感覚!?
──土岐さんがこだわった1曲目の「ブン回センセーション」は、ライブの始まりからライブ本番での姿を表しているような曲で、ファンとタオルを思い切り回し合おうという曲になっています。
土岐:今までの僕の曲には、頭を空っぽにしてタオルを回す曲がなくて。ヒゲドライバーさんはそういう曲を作る天才だと思っていたので、今回お願いしました。
──土岐さんがこういう曲を歌うイメージがなかったので、聴いた時は驚きました。
土岐:僕を何から知ったのかで、この曲を歌う僕の印象が違うと思います。『A3!』の瑠璃川役で知った方なら「土岐さんならこういう曲もあるよね」と思うでしょうし、僕への解像度の深さがわかると思います。僕を大人っぽい役を演じる人と思っていたり、かわいい役を演じる人と思う人など、いろいろな捉え方があるように、このアルバムでも「ブン回センセーション」が僕っぽいと思う人もいれば、「Azalea」かもしれないし、「希望光度」かもしれないし。だけどどの曲も僕なので、先入観やフィルターを一度取っ払って聴いてもらうと楽しいかもしれません。
──アーティスト活動の初期の頃、子供の頃から音楽や楽器が身近にあって、国内外の音楽をたくさん聴いてきた土岐さんらしさが、歌う楽曲から感じられましたが、このアルバムもそんな土岐さんの音楽の多様性が見えたような。
土岐:僕はいろいろな音楽を聴いているし、好きなジャンルもバラバラですが、表現できるかどうかは別の話で。例えばラップをよく聴く人でも上手に歌えるとは限りません。このアルバムは「ゴチャゴチャ」な曲ばかりで、数年前の僕だったらスキルが足りなくて歌えなかったかもしれません。「Another Birthday」や「Log.」を経て、自分の中の引き出しが少しずつ増えてきて、自分がやりたいことや歌いたい曲を表現できるようになったことで、今の自分をすべて詰め込めたのかなと思っています。
──土岐さんの歌のスキルや想いを注ぎ込んだ、個性的で存在感が大きい曲たちが揃っていますね。
土岐:すべての曲に作曲家さんのカラーや世界観が出ていて、例えば大沢圭一さんと夢見クジラさんに作ってもらった「オーダーメイドライフ」は、今のトレンドの疾走感のあるロックテイストの曲です。僕自身は前からそういう曲を聴いてはいましたが、歌ったことはなくて。
また、今までチルい曲をいろいろ歌ってきましたが、宮野弦士さんに作っていただいた「暮らすリズム」は歌詞がゆっくりと聴こえてきて、「忙しない日々を忘れて過ごす そんな1 日にしてもいいんじゃない?」という歌詞のように、何もせずにダラっとしている時に聴くのにちょうどいい曲で。僕の曲は聴いてくれる人を元気に励ましたり、チルい感じの曲でもそばで寄り添っている曲が多かったと思いますが、「暮らすリズム」は一番動きが少なくて、じっとしながら聴いていられる曲はこれまでなかった気がして。なので、今までしたことがなかった歌い方もできたし、このアルバムの中で特に新しい歌い方をしている曲なのかなと思います。
──歌い出しの「窓から差し込む太陽」からラストフレーズの「また明日歌の中で会おうよ」まで、土岐さんがリスナーのそばで寄り添っている感じが心地よくて。
土岐:僕的には寄り添うというよりも、SNSで何気なく「休み」と書いたら「私も」と共有し合って、「休みなんだ?」とみんなでだべっている感じで。僕が休んでいるのをみんなが見ている感覚なので、共感してくれる人はいると思うけど、メッセージ性は強くなくて。音楽は「このタイミングで聴いてください」と強要するものではないので。曲を聴きたくなるタイミングはそれぞれ違うと思うので、「暮らすリズム」に限らず、お好きな時間やタイミングに聴きたい曲を見つけて、楽しんでいただけたらと思います。















































