
土岐隼一さん 2ndフルアルバム「JUMBLE!!」リリース記念インタビュー|これまでの経験や、今やりたいことを詰め込んだ名刺代わりになるアルバム。各クリエイターの個性が輝く、タイトル通りの“ゴチャゴチャさ”が魅力
土岐隼一さんが1stアルバム「Good For」以来、約3年ぶりとなるフルアルバム「JUMBLE!!」を、2025年11月19日(水)にリリース!
オノシさん(24chocolate)、ヒゲドライバーさん、スカートの澤部 渡さんら豪華作家陣による個性的な楽曲、TVアニメ『ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する』OP曲「Another Birthday」のリアレンジバージョンなど、いろいろな楽しさや表情の10曲を収録した、タイトル通りの“ゴチャゴチャ”さが魅力の1枚となっています。
アルバムリリースに合わせ、土岐さんにインタビューを実施! 「JUMBLE!!」のコンセプトや収録曲の注目ポイント、そして2026年2月・3月に開催されるライブへの意気込みなどを語っていただきました。
やりたいことをふんだんに詰め込んだ、名刺代わりになるアルバム
──約3年ぶりのアルバムになりますが、どんな想いで作られたのでしょうか?
土岐隼一さん(以下、土岐):3年ぶりだからというよりも、毎回アルバムやミニアルバムを制作する時は、「今までやってきたことをアップデートできたらいいな」と思いながら作っています。この3年で何か変わったのか僕自身はわからなくて、周りのスタッフさんや共演する声優さん、そしてファンの方から「ここが変わりましたよね」と言われて腑に落ちるタイプで。3年前にリリースした1stフルアルバム「Good For」から確かにどこかしら変化はあったと思いますが、僕が言語化するよりも、僕の音楽を聴き続けてくれたり、ライブに来てくれた皆さんがこのアルバムを聴いた感想を今はたっぷり飲み干したいです(笑)。
「おれサマー(おれパラPRESENTS ORE!!SUMMER 2020 Blu-ray DAY1)」で共演した小野大輔さんから「土岐君は曲ごとに表情がまったく変わるね」と言われて、方向性が少し決まった部分もあったし、人からもらったものが僕にとってはとても大切なので、この「JUMBLE!!」を聴いてくれた方からたくさんの感想や好きな曲を聞きたくてたまりません。それを僕の栄養にして、またステップアップしたいです。
──このアルバムを制作するにあたって挑戦されたことはありますか?
土岐:ミニアルバム「Another Birthday」の場合は表題曲がタイアップということもあったし、楽曲も初めましてのHANOのmidoさんと廣澤優也さんにお願いしたり、歌い方もいつもとは違うところにこだわりました。midoさんたちの音楽のイメージと僕のイメージを少しずつすり合わせながら作ったのは初めての挑戦でした。
その後にリリースした「Log.」というアニソンのカバーアルバムは先輩方の楽曲をお借りする形でしたが、ただのカラオケではない、モノマネではない歌い方に昇華させないといけないというテーマを自分の中で掲げました。そのうえで先輩方の表現の仕方も踏襲して、リスペクトの気持ちも忘れないようにしました。
そんな2枚を経てのアルバムだったので、新しい作家陣との出会いから得たもの、偉大な先輩方から得たものを踏まえて、現時点での僕の到達点を測る意味もありました。また今までのアルバムでは、僕が好きなアナログレコードのように、キャッチ―でテーマのわかりやすいA面と表題曲にはならないけれどやってみたいB面のようなイメージで分けて作っていましたが、今回は10曲トータルで考えて、自分がやりたいことをふんだんに詰め込みました。2019年に「約束のOverture」でデビューしてから、アーティスト活動も6年目に突入したタイミングで、やりたかったことや自分が今できることすべてがこの1枚に入っているので、「アーティスト・土岐隼一」を知るために最初に何を聴けばいいのか尋ねられたら、自信を持ってこのアルバムをオススメできる、そんな名刺代わりの1枚になったと思います。
ちなみにアニメ・声優界では、僕は「おもちゃ好き声優」や「好きなものがめちゃめちゃ多い声優」として有名で……自分で言うのも何ですけど(笑)。「多趣味だよね」と周りからよく言われますが、それは食わず嫌いせず、まず体験してみることが大きいと思うし、すぐにいろいろなものが好きになってしまうため、出来上がったのがタイトル通りの“ゴチャゴチャ”CDです(笑)。僕の「好き」がそれぞれ全方位で別々に広がって突き進んでいった結果なので、みんなにも「自分にとっての好き」を1曲でも見つけてもらえたら嬉しいです。
各クリエイターの個性が輝く楽曲が集まり、タイトル通り“ゴチャゴチャ”したアルバムに
──表題曲のコンセプトやサウンド感、歌詞の内容とレコーディングで意識した点、お気に入りのフレーズなどをご紹介お願いします。
土岐:アルバムのコンセプトやタイトルを決めてから曲を発注したわけではなく、新録曲が6~7割出そろって、レコーディングする前にマネージャーと一緒に仮歌を聴いていて、「全然統一感ないね(笑)」と話していました。
──新曲を発注する時に土岐さんから各曲のコンセプトや曲調などのオーダーはされたのでしょうか?
土岐:僕からオーダーした曲もあれば、プロデューサーやディレクターがオーダーしてくれた曲もあります。僕の歌う曲を制作していくやり方は、みんなで相談していきながらアイディアを出し合って固まっていく形で、今回もそうでした。
例えば、「ラジオ番組(「Time with You」)のテーマ曲を新しくしたいよね」とか、僕が好きな曲を1曲入れるとしたらどんな曲にしようかなと考えた時、「ライブでタオルをブンブン振る曲がないから、そういう曲が欲しいな」とか言ったりすると、チームのみんなから「最近流行りのこういうのを入れてみたらどうでしょう?」とか「こんな雰囲気の曲はどう?」などいろいろな提案をしていただいたり、みんなでアイディアを寄せ集めた結果、今回はゴチャゴチャした感じになりました。
「今回はコンセプトがないね」と冗談っぽく話している中で、去年リリースした「Log.」のように、タイトルは1ワードでパンッ!と表現できないかなと思っていました。そして「ゴチャゴチャ」や「メチャメチャ」を表わす英単語ってないかなと探して「JUMBLE」という単語にたどり着きました。
──今年開設したファンクラブ「TOY BOX」にも通じるところがあるタイトルですね。
土岐:おもちゃ箱だけでなく、みんなのスマホやPCにある、お気に入りの画像リストとかプレイリストは意外とゴチャゴチャしていることが多いと思うんです。傍から見るとゴチャゴチャしているようでも、こだわりのタグを付けていたり、決まった条件や縛りがあったりして、自分の中で整理できているんですよね。統一感がないようで、その人にとってはちゃんとポリシーやルールがあって。そういうものと今回のアルバムはリンクしているんじゃないかなと思っているし、僕的には「いい極彩色だな」と気に入っています。
──アルバムを制作するにあたって、こだわられたことは?
土岐:このアルバムは統一感がないけど、実は隠れコンセプトはありました。今まで、初めましての作曲家さんに音楽を作ってもらう時は、歌詞はいつもお世話になっている方にお願いするという何となくのセオリーがあって。そういう時によくお世話になっているRUCCAさんはいつも素敵な歌詞を書いてくださるし、好きな作詞家さんです。
そしてアーティスト活動5周年の節目を迎えて、「今までにないことができないかな」と思うようになりました。曲調に細かいこだわりはありませんでしたが、ただ「自分らしくない曲を歌ってみたい」と。例えば2曲目の「オーダーメイドライフ」は作詞がつむぎしゃちさん、作曲が大沢圭一さんと夢見クジラさんというオール初めましての皆さん作ですが、今までだったら、作詞はRUCCAさんにお願いしていたと思います。でもRUCCAさんの歌詞で僕が歌うと、どんな曲でも “土岐隼一らしさ”がにじみ出る気がして。なので今回は「作詞と作曲をできるチームの方々なら0から100まで、その方たちに丸投げしたい」というオーダーをしました。「暮らすリズム」「Azalea」「夜のストレンジャー」も全部その形で作られていますが、クリエイターさん達がやりやすい形で、純度100%のおススメ曲が完成する気がしてお願いしました。
その結果、聴いていただいた通り、収録曲は「ゴチャゴチャ」な感じになりました。たぶんRUCCAさんに作詞をお願いしていたら、それぞれ曲調や歌詞の内容がバラバラでもどこかでまとまっていたと思います。そういう心地よさや安心感もいいんですが、今回挑戦したことで、何が起きるかわからない、ドキドキワクワク感が味わえたし、想像を超える曲たちが集まりました。
そこから曲順をどうしようかと思った時、これも僕が決めるよりもチームのみんなが曲を並べてくれることでどんなストーリーが生まれてくるのか、聴いてみたくなったのでお任せしました。ただ「ブン回センセーション」だけは、「JUMBLE!!」というアルバムタイトルとすごく親和性があって、トップバッターにふさわしいと思ったので、「この曲を1曲目に置いていいですか?」とお願いしました。


















































