
秋アニメ『しゃばけ』監督:大川貴大さんインタビュー|OP、EDを含めた制作裏話は必読!最終話はアニメなりの解釈を交えて描いたエピローグに
視聴者の心を掴んだOP、EDの制作裏話も
——屏風のぞき、鳴家、鈴彦姫、野寺坊、獺など、個性豊かな妖がたくさん登場しますが、本作で描かれる妖の魅力はどのような点にあると思いますか? また、大川監督自身が印象に残っている妖を教えてください。
大川:一般的にアニメで妖怪と聞くと、不気味、怖い、倒すべき敵として描かれている印象がありますが、しゃばけの妖たちは表情豊かで可愛らしく、むしろ癒しの要素として描かれていますよね。
そんな妖たちが一太郎の周りに日常として溶け込んでいるというのもこの作品ならではの魅力かなと思います。
印象に残っているのはやはり屏風のぞきでしょうか。普段の言動も面白いですが、その端々に仁吉や佐助とはまた違った距離感で一太郎を大切に思っているのが伝わってくるのが良いですね。
——キャスト陣のお芝居についても伺いたいのですが、収録時のディレクションや作中の演出で気をつけたこと、大川監督自身が心に残っているキャスト陣のお芝居を教えてください。
大川:お芝居の大半はキャスト陣と音響監督の菊田さんのディレクションに委ねています。
聞いていて本当に心地の良い芝居で、映像の方もその影響を受け、芝居を邪魔しない、セリフを聞かせる構成を意識するようになっていきました。
印象に残っているのは、妖役のキャスト陣のアドリブですかね。実に愉快で、一太郎も毎日これを聞いていたら離れで寝ていても飽きないだろうなと思いました。
——大川監督が絵コンテ・演出を担当されたOP、そして実写の映像を交えたEDは、ファンの間で話題になっています。それぞれの制作時のこだわりやコンセプトを教えてください。
大川:OPを作るにあたってはあまり迷いはありませんでした。曲も詞もしゃばけの世界観を的確に捉えていて、かつ程よい距離感で表現されていたので、映像も江戸の美しさやそこに住む人と妖の生活を素直に描こうと考えました。
EDは対照的に暗がりの部分を描いていますが、楽曲がかっこよく個性的な作りのため、中途半端に無難なアニメーションを付けると映像が負けるなと感じていました。
そこで思い切って実写を取り入れた映像にすることを提案しました。実写の質感が闇夜の言い得ぬ不安に説得力を与えてくれたと思います。
——第十二話までで、大川監督自身が“これは良かったな”と思うシーン、思い入れのある回はありますか?
大川:エピソードとしては六話の仁吉の片思いの話が好きです。千年に渡る恋物語はこの作品ならではのテーマだと思いますし、仁吉の視点で描かれるエピソードは普段よりも大人びた雰囲気が素敵でした。
絵コンテや作画もベテランのスタッフの方が関わってくださり、若輩の私では表現しきれない味わいが出ていて良かったなと思います。
シーンとしては十話の一太郎が、自らなりそこないと対峙することを決意する場面です。非常に主人公らしいかっこいいシーンではあるのですが、まいったねといった具合の一太郎のセリフが実に彼らしく、原作を読んでいるときから印象的でした。
山下さんの芝居も絶妙な塩梅で、一太郎の強さと優しさを表現してくれていました。
皆さんに注目していただきたいポイントはどこというわけではないのですが、大半の謎が解き明かされた十二話の段階で一話から振り返っていただけると、新たな視点での解釈が生まれて面白いかと思います。
——最後に、最終話の見どころを踏まえ、視聴者の皆さまへメッセージをお願いいたします。
大川:なりそこないを起点とした一連の事件は決着を迎えましたが、はたして一太郎は無事火事を収めることができるのか? 仁吉と佐助は無事なのか?松之助の行方は? など、まだまだ気になる展開が残っています。
最終話は原作では描写されていない部分も、アニメなりの解釈を交えて描いたエピローグとなっております。ぜひ最後まで若だんなたちの暮らしを見守っていただければ幸いです。
作品情報
あらすじ
キャスト
(C)畠中恵・新潮社/アニメ「しゃばけ」製作委員会










































