
オーディション原稿にも「カカカカカカカーッッ」は入れたんです(笑)――伝説の料理マンガ『鉄鍋のジャン!』アニメ化記念! あおきえい監督インタビュー
シリーズ累計発行部数約1000万部(漫画・電子)の料理マンガ『鉄鍋のジャン!』。2025年の連載30周年を記念して、原作ファン待望のアニメ化が発表されました。
本作は、「料理は勝負」と言い切る極悪非道な性格の持ち主・秋山 醤(あきやまじゃん)と、一癖も二癖もある料理人たちが料理バトルを繰り広げる作品。料理マンガにも関わらず、幻覚作用や中毒作用のある料理を出すなど、あらゆる意味において異色でヤバイ伝説のコミックとして知られていました。
※キャラクター名の醬は旧字になります
そんな本作の監督を務めるのは、アニメ『アルドノア・ゼロ』『劇場版 空の境界』などを制作してきたあおきえい監督。アニメイトタイムズでは、あおきえい監督が熱望したという本作のアニメ化に関するインタビューを実施!
2026年の放送に向けて、原作愛とアニメ化への情熱を存分に語っていただきました!
連載当時の『鉄鍋のジャン!』の世界を描きたい
──『鉄鍋のジャン!』のアニメ化が発表されましたが、まだまだ未解禁の情報が多いこともあり、今回のインタビューではファン目線でアニメ化の気になることを中心にお伺いできたらと思います。まずは、今回のアニメ化はあおき監督たっての希望で実現したと伺いましたが、監督をそこまで惹きつけた本作の魅力は何ですか?
あおきえい監督(以下、あおき):僕は『鉄鍋のジャン!』はリアルタイムで連載を追いかけていて、当時からすごく好きだったんです。
何と言っても主人公・秋山 醤(以下、ジャン)のキャラクターとしての魅力が大きくて、いわゆる良い子の主人公ではなく、ダークヒーローやアンチヒーローと言うかヒール的な要素を持つキャラクターじゃないですか。「勝つためだったらどんな料理も作る」「勝つことが信条」といった姿勢が当時の自分には新鮮で、正統派ヒーローみたいな主人公ではない点が読んでいてとても気持ちが良かったんです。
もう一つの魅力は中華料理ですね。劇中の中華料理の描写は、当時の最新の情報を扱っていたと記憶していて、それこそ『鉄鍋のジャン!』を通して覚えた料理や調味料も結構いっぱいあったんです。
当時から、少年漫画としての大胆さがありつつ、非常に緻密な中華料理の描写については取材もたくさんしている印象がありました。この両輪が上手く回っている感じとでも言うのか、破天荒な部分とリアリティのある部分が作品に同居していて。それでいてちゃんと成立しているのがすごく面白かったですね。
──劇中の中華料理の知識や描写に関しては、ジャンが作った「飲めるラー油」や刈衣花梨の「低温調理(作中では定温調理)」など連載後に一般的になったものも多いですよね。
あおき:ジャンが作る「飲めるラー油」が出てきたあと、10年後ぐらいに桃屋さんが「食べるラー油(商品名:辛そうで辛くない少し辛いラー油)」を出すじゃないですか。ファンとしては「時代がジャンに追いついたぞ!」みたいな嬉しい気持ちになりましたよ。
あと、低温調理法や昆虫食とかも原作に出てきましたが、さすがに昆虫食はそこまで一般化していないですけど、今では実際に商品化もされています。漫画で読んでいたことが現実になるってすごいなと思います。
──漫画の舞台は約30年前の日本ですが、ジャンがスマホを使うなど、アニメ化に際して現代にアップデートするのでしょうか? それともあえて30年前の日本を舞台に描きますか?
あおき:方向性としては、連載当時の『鉄鍋のジャン!』の世界を描きたいと思っています。ですから、キャラクターはそのままで舞台が現代になるようなことはなく、連載当時の1995年を舞台にして作っています。
現代にアップデートするというアイデアもなくはなかったんですが、そうすると食材や調味料がどうなるのかという問題が出てくるんです。
例えば、原作の初期に「XO醤のリュウ」というキャラクターが登場しますが、原作だと彼がXO醤を使うと「えっ⁉あいつはXO醤を使うのか!」と周りの人が驚く場面があります。でも、今はXO醤も一般的になっているので、現代を舞台に描いてしまうとXO醤で驚いていることに対して視聴者が不思議に思う状況が生まれてしまうんです。
そのため、あくまで今回のアニメは1995年の価値観で作るという意識で、なるべく原作のテイストを崩さない形で制作しています。
チャーハンのパラパラ感を出すには米の一粒一粒を描くしかないということになりました
──料理をテーマにしたアニメというと、『美味しんぼ』や『ミスター味っ子』のように今でも語り継がれる作品があります。そんなジャンルに挑戦された感想はいかがですか?
あおき:改めて料理アニメって大変なんだなと思いました(笑)。料理を美味しそうに描くって具体的にどういうことなのか、自分もスタッフもやったことがなかったから分からなくて。
だから、今回のアニメ化にあたって料理人の方々にご協力いただいて、劇中に出てきた料理を実際に作ってもらったんです。調理工程から出来上がった料理までを動画や静止画で記録して、それらをベースに作画する方針で基本的には進めています。
──そうすると料理の描写はかなりリアルになりそうですね。
あおき:原作の料理がきちんと取材や資料に基づいて作られている印象があったので、そこはアニメでもちゃんとやるべきだと思ったんです。あと、今回は「料理作監」という役職を立てて、料理専門で絵を描いたり、修正してもらう担当者を設けています。本当に美味しそうに料理を描いてくれるので、もう彼らには頭が上がらないですね。
──スタッフや料理作監と「料理打ち合わせ」みたいなことはしますか?
あおき:原作の第1話にチャーハンが出てくるんですけど、そのチャーハンをどうやって描くのかを説明する時に、そもそも米粒をどういう風に描いたら一番良いんだろうと思ったんです。それでスタッフを一堂に集めて「果たして、チャーハンをどうやって描くのが正解か?」という打ち合わせをしました。
結論としては、やはりチャーハンのパラパラ感が出すには米の一粒一粒を描くしかないということになりましたね。
──米粒はCGではなく手描きということですか?
あおき:手描きです。もう手描きでひたすら描いている感じです。作画スタッフが大変な思いをしているんですけど、でもそのおかげで美味しそうにチャーハンを表現できていると思います。あれはすごいと思いましたね。
だから、料理アニメは大変だというのを自分でやってみて改めて感じています。
──原作の料理シーンには、一瞬で食材が切り終わるような、いわゆる漫画的な誇張表現もあります。そういった漫画的な演出とリアルな料理や調理描写のバランスをとるのは難しいですか?
あおき:逆に、原作のダイナミックな描写はアニメと相性が良くて、実はそんなに苦労はないです。苦労があるとすれば、むしろリアルな描写のほうですね。特に五番町 霧子(以下、キリコ)とかは、誇張し過ぎない感じで料理をすることもあるじゃないですか。その“ちゃんと作っている感じ”を出すのがすごく難しくて。
アニメって派手な嘘は得意ジャンルなので、そっちは色々な表現方法があるので何とでもなるんですが、リアルに表現しようとすると結構大変ですね。
──原作の料理シーンでは音で魅せる瞬間もあります。例えば秋山式「太極鍋巴(タイヂイクオパー:おこげの二色あんかけ太極盛)」はまさにそんな料理ですが、音響面での指示や工夫などはされていますか?
あおき:効果音に関しても料理店のご協力を得て、鍋を振る「ガコガコ」という音や、油をかける「ジュワッ」という生音など、とにかくたくさん録りました。普通の料理シーンでは、そういった音を使っているので非常にリアルな雰囲気になっています。
ただ、逆にリアルな音だと物足りなくて、嘘でもいいからもっと派手な音でいきたい場面もあったりします。
ちょうど今日(編集部注:取材は11月下旬に実施)、第1話のダビングがあったんですけど、リアルな調理の音と、嘘でもいいからド派手な感じの音でいくところのバランスは、個人的にとても上手くいったかなと思っています。
──『鉄鍋のジャン!』の料理で欠かせない要素と言えば、幻覚や中毒を見せたり、汗が止まらなくなって身体が芯から冷えるような突飛な料理の数々です。色々とコンプライアンスが厳しい時代ですが、こういった料理の表現はどうなりますか?
あおき:特にそのキノコの下りなどに関しては原作の面白さをそのまま表現したいので、なるべく原作に沿った形で再現したいと思っています。ただ、原作通りの表現でやろうとすると、どうしても色々な方から「ちょっとそのままでは駄目なんですよね……」といったご意見も頂いてしまうんです。
そこを何とか頑張って、放送に乗せられて、しかも原作の面白さを崩さないギリギリのラインをなるべく狙いたいと思って制作しています。
──原作ファンとしてはアニメ化が嬉しいと同時に、鳩の血のデザートなどの過激な料理シーンがどうなるのか、とても気になっている方も多いと思います。
あおき:あの鳩の血のデザートの調理描写(編集部注:大量の鳩の首を切って逆さづりにして血を集める調理法)は作品を面白くする大事な要素なわけですから、そこは頑張りたいですよね。実際の放送時にどうなるかは僕もまだわからないんですけど、とにかく現場としては最善を尽くす姿勢で取り組んでいます。
























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