
『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション ~エピソード オブ ハーツラビュル~ オリジナル・サウンドトラック』発売記念インタビュー|作曲家・尾澤拓実が語る『ツイステ』音楽のゲームとアニメーションの違い
現在、ディズニープラスにて独占配信中の『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』(以下、ツイステアニメ)シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」。その最終話が配信された12月17日(水)に、本作のオリジナル・サウンドトラックが発売となりました。
『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション ~エピソード オブ ハーツラビュル~ オリジナル・サウンドトラック』には、オープニングテーマやエンディングテーマなどを含めた全36曲をCD2枚に収録。『ツイステアニメ』を音楽で堪能できる贅沢な内容となっております。
オリジナル・サウンドトラックの発売を記念して、ゲームの音楽も担当されてきた作曲家・尾澤拓実さんにインタビューを実施しました!
ゲームとアニメーションで異なる音楽の魅せ方、レコーディング時のエピソードなど貴重なお話ばかりです。すでに手に取っている方は、オリジナル・サウンドトラックを聴きながらぜひ最後までご覧ください。
“ちょっとやり過ぎるぐらい”を意識したアニメーションの音楽
──『ツイステアニメ』のオリジナル・サウンドトラック発売となりますが、ゲームとアニメーションの楽曲で作り方の違いや意識したことを教えてください。
尾澤拓実さん(以下、尾澤):ゲームのほうでは、基本的に曲をループすることを前提にしているので、曲を“ジャンッ”と終わらせていないことが多いです。 一方、アニメーションの場合は、全曲しっかりと音楽を終わらせています。
あとは、 アニメーションはゲームよりも動きが大きくなるので、曲をそのままシーンに綺麗に当てはめてしまうと落ち着いた感じになってしまったり、無難になってしまったりすることがあるんです。ほかにもアクションや効果音もあるので、私の場合は「ちょっとやり過ぎるぐらいに」しています。
──具体的に、どのようなところに変化を持たせたのでしょうか?
尾澤:音の派手さや曲の展開、厚みなどをちょっと入れ過ぎるぐらいにしておきました。特に、バトルシーンは、もう派手にいこう!と。
ステムデータ(※1)をお渡ししているので、シーンに合わせて不要なパートを抜いたり、必要な要素だけを選んでもらったりと、音響監督さん側で自由に調整していただければと思っていました。
とはいえ基本的には“たくさん音を入れる”という意識で作っています。
(※1:ドラム、ベース、シンセサイザーなど、曲を楽器やパートごとに分けたデータのこと。)
──全体的にゲームよりもアニメーションのほうが音のボリュームは大きくなっているのですね。
尾澤:そうですね。演奏者やストリングスに関しても、ゲームより10人近くは人数が増えたので、かなり音の厚みが出ていると思います。
──10人近くも増えると、かなり変わりますよね。
尾澤:ゲームだと基本8〜15人ほどで録っていたところが10人近くも増えると、カロリーが高くなりますね(笑)。
──尾澤さんは他作品でもゲームの音楽や劇伴をいくつも担当されてきましたが、『ツイステ』ならではの作り方やこだわりはあるのでしょうか。
尾澤:やっぱり、“ディズニー”という作品が元にありますので、ファンタジー感みたいなものは多めに入れようかなという意識はあります。
ちょっとキラキラした音であったり、コード感も普通の日常とは違う不思議なところにいったり、そういうところは他の作品と違う部分です。
印象に残っている曲、お気に入りの曲とは?
──今回のオリジナル・サウンドトラックを全曲聴かせていただきましたが、Disc1に収録されている「Theme of Twisted-Wonderland(The Animation ver)」は聴くだけで心が高鳴りますし、異世界の扉を開けたような気持ちになりますね。
尾澤:「Theme of Twisted-Wonderland(The Animation ver)」はゲームでも1番最初に作った曲です。『ツイステ』を表すテーマ曲として作ったので、やはりこの曲に込めた想いは強いですね。
イントロからストリングスが盛大に始まることによって、扉を開けて不思議な世界に入って、世界が広がって見えるイメージが感じられるので、自分の中でもすごく好きで気に入っている曲です。
──今回収録されている楽曲で、尾澤さんのお気に入りの楽曲はありますか?
尾澤:全体的にお気に入りですが、学園長が円満雄剣たちに生徒の証を授けたときのシーン(アニメ第3話)や魔法を使うときに流れる「Twinkle Magic」です。
ファンタジー系に広がっていく曲になっていますが、ヴィランズの世界には結構明るい曲ですので、「アニメーションの画にあてたときにどうなるんだろう?」とちょっと不安な気持ちがあったんです。でも、実際にアニメーションを見たら、それがすごくハマっていて感動しました。ナイトレイブンカレッジに迎え入れてもらったシーンとしても、すごく希望が持てる演出でしたのでお気に入りです。
──楽曲制作する中で、「アニメーションにあてはまるのかな?」という不安は結構あったのでしょうか?
尾澤:正直ありました(笑)。たとえば第1話で剣道を練習しているときに流れる、「Bright Days」というちょっと爽やかな曲があるんですけど、個人的にはああいう日常曲は得意ではないんです。そういった曲はどうしても制作を後回しにしちゃうんですけど、この「Bright Days」は結構後半のほうまで残ってしまっていて……。“どうしよう、人間の日常ってなんだ?”と(笑)。
──(笑)。
尾澤:演奏者からも「爽やかな日常にしてはボリュームがすごいね」「穏やかじゃないよね」と言われるほど、ストリングスもがっつり入れたカロリーの高い日常曲になってしまって(笑)。“これは合うのかな!?”と思っていましたが、アニメーションではうまくハマっていて安心しました。まさか、その後に異世界へ召喚されるとは思わないほど、爽やかな日常が表現されていて良かったです。
──失礼な言い方かもしれませんが、尾澤さんにも苦手な曲があるということに驚きです。素敵な曲ばかりですので、苦手なものはないと勝手に思い込んでいました。
尾澤:日常曲といったシンプルな音楽は本当に苦手ですね。バトルや魔法というものは結構盛り上げて作れますし、不穏で不安な曲といったダーク系やホラー系は好きなので悩むことはありませんが、シンプルな日常曲は自分にとって永遠の課題です。
自分は日常に生きているのに、日常曲が苦手というのはおかしな話ですが(笑)。
──日常曲以外にも、アニメーションの音楽で悩んだ部分はありますか?
尾澤:グリムが登場するときのコミカルな曲もすごく悩みました。でも、アニメーションとうまく調和していて、「良かった、ちゃんと可愛らしく聴こえているな」と安心して見ています。












































