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- まりも
- ゾロとONE PIECEを偏愛するフリーライター。アニメ、推し活、恋愛、結婚、睡眠など、幅広く執筆しています。

海賊王を目指し海へ出た主人公モンキー・D・ルフィとその仲間たちの活躍を描く、週刊少年ジャンプで連載中の漫画『ONE PIECE』(原作:尾田栄一郎氏)。
未知の島の心躍る冒険や強敵との痛快なバトルを通して仲間たちと絆を深め強く成長していく様は、まさにジャンプの三大原則「友情・努力・勝利」のど真ん中。その一方で、消された歴史や差別・奴隷制度などをめぐる世界の闇をも緻密な伏線と壮大な世界観で描き出す本作は、最終章へ突入した連載28年目の現在も怒涛の展開で読者の心を掴んで離しません。
12月22日(月)発売の週刊少年ジャンプに掲載された『ONE PIECE』第1169話“一刻も早く死ななくては”では、シャンクスとギャバンの会話やハラルドの宿命、エルバフに伝わる伝説の悪魔の実など、各シーンに注目が集まりました。ロックス海賊団の面々が黒スーツでキメた巻頭カラーも「かっこよすぎる!」「読者の“見たい”を叶えてくれるイラストだ」と大きな反響を呼んでいます。本記事では、SNSでの反響とともに、最新話のポイントを振り返っていきます。
※本記事には『ONE PIECE』最新話(第1169話)のネタバレを含みます。コミックス派やアニメ派の方等、ジャンプ未読の方はご注意ください。
冒頭は14年前のエルバフにて、シャンクスとギャバンの会話シーンから幕開け。
ロジャーの息子であるエースを自身の弟みたいなものだと笑うシャンクスに、シャンクスとバギーはロジャー海賊団の息子だと応えるギャバン。現在まで繋がっていく“縁”を感じて、グッときてしまうシーンでした。
とはいえ、シャンクスはまだ浅海契約中で、聖地から失踪したことになっている身です。いまはイムの能力範囲外とはいえ、かなり堂々と情報を漏らしている状況。この後のハラルドとのやりとりを見るに、イムはシャンクスがここにいることをわかっているような気もします。このシャンクスの自由なふるまい、イムからお咎めなしなのかと不思議になる部分も。浅海契約+イムの能力圏外で直接支配されないためセーフなのでしょうか。
ちなみにここでは、イムの能力圏外でシャンクスとハラルドがじつはひっそり交流を深めていたことも判明します。やはり第1167話でのハラルドへの「下民」などという冷たい言葉は本心ではなかったのだとホッとした筆者。同じく安心した読者も多いのではないでしょうか。
第1169話は、“一刻も早く死ななくては”という衝撃的なサブタイトル。この言葉は、今回のストーリー内でハラルドが発したものでした。
最愛のイーダと出会い改心してから、世界のことを学びエルバフのために人生を捧げてきたといっても過言ではないハラルド。妻子との時間もそう多くは持てず、友であったロックスとも道を違えるなど、己のプライベートを犠牲にしてきた部分もありました。
そんな努力の末、ようやくエルバフの世界政府加盟が叶いそうというところで、イムとの“契約”とはすなわちエルバフがイムの奴隷になることだと気づいたのです。
ハラルドは、自身が乗っ取られてこれまでの人生が水の泡になってしまうこと以上に、エルバフが国ごとイムの手中に落ちるのを阻止するのを第一に考え「一刻も早く…死ななくては!!!」と判断。イムにダマされたことを明かすと、ゴッドバレーでのロックスのようにロキへ自分の殺害を依頼し、エルバフの未来を託すのでした。
ほどなくして、残酷にもハラルドはイムの命令に従い動きはじめます。エルバフをイム様に捧げるとの発言にロキも「親父マジで人格変わりやがった!!」と驚くほど。
ハラルドは自我を失う前、ロキに「おれがいかに愚かな王だったか!!国民に伝え!!おれを殺して名を上げろ!!」と言い渡しました。
しかし現在に至るまで、ハラルドは史上最高の名君としてエルバフにその名が伝わっています。
ロキは、父の身に起きた悲劇を国民に伝えることはしなかったようです。イーダの毒殺事件のときのように、自ら汚名を被って父の威厳と国民の思い、どちらも守ったのかもしれません。
エルバフ編開始当初は、ハラルドの裏切り者説や、ロキの濡れ衣説なども囁かれていました。実際、筆者もハラルドのことを怪しんだ時期がありましたが……ふたを開けてみれば諸悪の根源はイム。
SNSでも「ハラルド王は悪いやつじゃないどころかいい奴すぎたよ…」「利用されて人格が変わってくの見ててつらい」「自分が悪者になってでも父を偉大な王として歴史に残したロキに痺れる」「ロキは父の遺言にそむいて父を守ったんだ」など、ハラルドとロキについて多くの感想がポストされています。
そして、ロキは不本意ながらもエルバフに伝わる秘宝である悪魔の実のもとへ。
すると、実が入っていると思しき宝箱の背後から、鉄雷(ラグニル)が音を立てながら生きているかのように襲いかかってきます。
宝箱を守るかのように動く鉄雷(ラグニル)は、もしかすると動物(ゾオン)系悪魔の実を食べた武器なのかもしれません。
さらに、このように暴れる鉄雷(ラグニル)を制御でき、感電せず触れるようになるということは、エルバフの秘宝とされる悪魔の実は絶縁体として機能する能力だと考えられます。
これこそが、本物の「ゴムゴムの実」ではないかと多くの読者が予想しているようです。
これまで、ロキが食べたのは「ゴムゴムの実」もしくは雷竜(ニーズホッグ)の能力を持つ幻獣種ではないかと考察されてきましたが、ここへきて鉄雷(ラグニル)が雷竜(ニーズホッグ)の能力者、ロキがそれを操る「ゴムゴムの実」の能力者という新たな可能性が浮上しました。
この当時シャンクスもアウルスト城にいたことが、後の「ゴムゴムの実」強奪事件に繋がっていきそうな予感もします。
なにより、エルバフには「太陽の神ニカ」の伝承があります。ニカといえば、その身体がゴムそのものの性質を持つとされていますよね。
振り返れば、第1130話でロキは自身を「おれは世界を終わらせる“太陽の神”!!!」と称しています。これは、彼がニカのようなゴムの能力を持っているからこその発言だったのではないでしょうか。ニカと同じ身体になれる実であれば、エルバフの秘宝として扱われていることにも納得です。
元は空白の100年以前の太古に生きたニカがゴムゴムの実の前任者で、そのニカの能力を真似てつくられたのがルフィの「ヒトヒトの実 幻獣種 モデル "ニカ"」なのかも。とすると、ベガパンクはゴムゴムの実は古い悪魔の実図鑑には載っていないと語っていましたが、じつはゴムゴムの実こそが悪魔の実の始祖だったり……なんて、さまざまな考えが浮かんでくる第1169話でした。
[文/まりも]
