
『地獄楽』稲田徹さん×市川蒼さんインタビュー|お互い違うからこそ、強くなれた――第二期で共闘した巌鉄斎と付知、その熱きバディに迫る
TVアニメ『地獄楽』第二期もいよいよ佳境。第20話・第21話では、死罪人・民谷巌鉄斎と打ち首執行人・山田浅ェ門付知がバディを組み、天仙の一人・桃花(タオファ)に立ち向かう圧巻の共闘回が描かれました。
一見相容れない、豪放磊落(ごうほうらいらく)で己の強さを追い求める剣豪・巌鉄斎と、冷静沈着な研究者肌の付知。正反対のふたりが信頼を築き、共鳴し、命を懸けて支え合う――そんな“変化と絆”に心を揺さぶられた視聴者も多いはず。
今回は、巌鉄斎役・稲田徹さんと付知役・市川蒼さんにインタビュー!
作品への思い、共演の舞台裏、そしてキャラクターたちがたどり着いた“心の変化”について、たっぷりと語っていただきました。
美しくも残酷な作品世界を振り返る
──第一期を振り返って、改めてどんな物語・作品でしたか?
稲田徹(以下、稲田):『地獄楽』の原作はオーディションの際に読みました。そしたら非常に面白くて。僕はオーディションに受かってからじゃないと、最後まで原作を読まないんですが、『地獄楽』はすぐに読んじゃった。もう完結していたし、続きが気になってしまって(笑)
我慢できずに読んでしまったので、巌鉄斎に決まってよかったです。もし、落ちていたとしても原作のファンとしてアニメは見ていたと思うんですけど、出演しているとまた思い入れもありますからね。
こうやってインタビューを受けることができて、幸せですよ。
──稲田さんを惹きつけた魅力はどこだと思いますか?
稲田:まずは絵柄ですかね。筆で書いたような、滲んだタッチも見られますが、そういうのが大好きなんです。臆面もなく言ってしまうと『無限の住人』のような感じもあるというか。賀来ゆうじ先生とも話したんですけど、先生も同じ作品が好きだったみたいです。
キャラクターも多様で、忍者や侍、異形の怪物たちなど個性的で、世界観もロマンがあっていいですよね。
市川蒼(以下、市川):僕も徹さんと同じですね。オーディション時に原作を読んだのですが、衝撃の展開が目白押しで。
1番印象的だったのは、「このキャラクターは今後も活躍するだろうな」と感じるキャラクターたちが、次々と命を落としていくところです。どのキャラクターも個性的で、最期のシーンは見ごたえがありました。
あとは、神仙郷のビジュアル。原作を読んでいる時から、アニメーションで描かれる神仙郷が楽しみで仕方なかったです。それをアフレコに参加させていただきながら確認できるのは贅沢でした。
──実際、アニメーションで見た『地獄楽』の世界観はいかがでしたか?
市川:凄い異質だなと。本土の画面の彩度が低くて、そこから神仙郷に到着すると、異様な光景が広がっています。
現実世界から一気に逸脱する不気味さが感じられるのも、アニメならではの魅力です。
稲田:そうだね。原作の表紙は結構カラフルなんだけど、基本的に本編は白黒だから。アニメだと色がついて、なんかサイケデリックというか、極彩色な神仙郷の感じがより伝わりました。
──そんな世界で動く巌鉄斎をご覧になっていかがでしたか?
稲田:これぞ侍! って感じですよね。一見地味な和装の男が、極彩色の世界にぽつんと立っていて、その横には小柄な付知がいる。もうそれだけで面白かった。
市川:確かに(笑)。それぞれのバディを見るだけでも、これから不思議なことが起こるんだろうなと、想像が掻き立てられますね。
それぞれの不老不死
──第一期にて、印象的だったセリフやシーンはどこでしょう。
市川:やはり付知役としては、友人であった仙汰(CV:山下大輝)の最期ですかね。山田浅ェ門としての役割と自分の生き方との葛藤が描かれつつの最期。
付知は彼と仲が良いという設定があって、この出来事が付知に影響を与えます。『地獄楽』という世界はこういう世界なんだと、実感したシーンです。
稲田:僕は巌鉄斎が神仙郷に来た理由。「偉業を果たすことで、歴史に名を残すことが本当の不老不死だ」と彼は言います。正直、凄く刺さったセリフなんですよ。
僭越ながら、声優というお仕事をさせてもらって、仮に僕が今命を落としても、『地獄楽』やその他の作品を誰かが見て、僕を思い出してくれるんじゃないかって。
名を残す、というのは僕が声優をやっているテーマとピッタリ合う部分。良い作品に出演させてもらって、作品や演技が評価されたら、僕が居なくなっても語り継いで言ってもらえる。巌鉄斎と職業は全然違いますが、目指すところは近いかなと、勝手に思っています。
市川:この作品に出てくるキャラクターたちは、“不老不死”の感覚がそれぞれ違いますよね。巌鉄斎は、たぶんその中でも特に違っていて、死ぬことを別に恐れてもいないし、どうでもいいと思っているというか。
ただ戦いたい、名を残したい、力を誇示したい……みたいなところは、声優としても通ずる部分があるのかもしれない。
──付知としては、どう捉えていると思いますか?
市川:本人がどう思っているんだろう?っていうのは、僕も考えます。付知って、その技術を発展させていくこと、医療としての研究にすごく重きを置いているんですよね。
“不老不死”自体が本当に存在するかどうかはさておき、仮に仙薬が手に入ったら、それをいろんな人のために役立てることができるんじゃないか。そういうふうに考えていると思います。
稲田:自分がどうこうよりも、不老不死になった人を解剖したい、とか思うかもしれない(笑)。
市川:自分が不老不死になることは全然望んでいないと思います。むしろ、「なぜ不老不死でいられるのか知りたい」、「薬を分析したい」とか、そっちのほうに関心がある気がしますね。
──キャラクターたちが使う氣(タオ)は、強さ/弱さのバランスが重要ですよね。それぞれのキャラクターの強さや弱さはどういうところだと思いますか?
市川:付知は動じないというか、とにかく冷静に、起こった物事に対して分析できる。そこがすごく強みだと思っています。でも、それは裏を返せば、目に見えないものや、抽象的な事柄に対しては、ちょっと頭が固くなってしまう面があるんですよね。
だから、受け入れるまでにすごく時間がかかったり、そもそも受け入れられないってこともある。でも、目の前で起こった出来事には、すぐに向き合えるというか、「じゃあ、なぜ起こったのか?」「どうすれば乗り越えられるか?」ってすぐに考えられる。
けれど、自分の手に余るような、想像の及ばないもの、見たことがないものに対しては、ちょっと柔軟さに欠けるかなと。タオを扱う上でも、そういう一面が出てくるように思います。
──でも、付知たちの現実って、「教科書に載ってないこと」とか「見えないもの」ばっかりじゃないですか。そこをどう乗り越えていくか……みたいな。
稲田:そうそう。目の前で起こっちゃったら、それを解明するしかない。付知はそういう意味では、味方にいたら本当に頼もしい人ですよね。一方、巌鉄斎は……そういうのを全部すっ飛ばして、「力でねじ伏せればいい!」って思ってる(笑)。
──斬ることさえできれば勝てる!
稲田:そう(笑)。でも「見えないもの」は、そもそも剣では倒せないわけで、力任せにいったら返り討ちに遭うこともある。そんなとき、付知がそれを「見える形」にしてくれる。たとえば、何か飛んできたエネルギーを、布か何かで形にして見せてくれるとか。
そうすれば巌鉄斎にもわかるんですよね。だから、どっちが欠けてもここまで生き残れなかった。お互いが補い合って、情報を共有しているからこそです。
ふたりは、価値観はまったく違うんだけど、それが噛み合ってる。どこかでも話しましたけど、巌鉄斎は「見た目は大人、中身は子ども」。付知は「見た目は子ども、中身は大人」。だから、バランスが取れてるんですよね。
市川:ひいき目かもしれないですけど、かなり「バディ感」強いですよね。
稲田:うん、でも決して“仲良し”ではない(笑)。お互い悪態をつきながらも、結果うまくいっている。お互い認め合ってないように見えて、噛み合ってるんですよね。























































