
『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』小島秀夫監督&ドールマン役・杉田智和さんインタビュー|「僕が好きなのは杉田さんが演じている杉田さんなんです」小島監督のこだわりが光る“杉田さんらしさ”
小島監督は「遊んで面白いゲームを作る」
ーーお二人の対談は実は珍しいですよね。
小島;初めてですかね? ステージではよく会いますけど。
杉田:そうですね。雑誌はあるかもしれませんけど、WEB媒体だと初めてかもしれません。
ーーそこでお聞きしたいのですが、お二人の付き合いももう長くなってきていますが、その中でお互いに好きなところや尊敬しているところを教えて下さい。
小島:もう出会って18年くらいですか。2009年からなので。うちの息子が杉田さんのファンで。水樹さんも大塚芳忠さんもですけど(笑)。息子にはキャスティングで協力してもらいました。
杉田さんのいいところはいっぱいあると思いますけど、もちろん声優さんなのでひとつは七色の声が出せることですね。最近は映画の吹き替えを見ていても、渋い声で最後まで杉田さんとわからない役もあるくらいです。
それでも僕が好きなのは「杉田さんが演じている杉田さん」なんですよ。例えばドールマンの声をあてている時も、その声のニュアンスや喋り方からは自然と杉田さんが出てきます。声優さんにそういうことを言うと怒られるかもしれませんけど(笑)。
ドールマンに関しては、尺は変えられないんですけどジョナサンを崩していいと最初から伝えていたので、そこで自由にやってもらいました。けっこう英語版と違うことを言っているんですよ。
ーー杉田さんが演じるドールマンは声の振れ幅が広いように感じました。
小島:僕が子供の頃に見ていた洋画の吹き替えは、ほぼ違うことを言っていたんです。そんな感じを出したいと思いながらも、尺も合わせないといけないので難しかったですね。カットシーンで声のトーンを決めるんですけど、そこでも決まらず。最初はかなり試行錯誤しました。
ドールマンは会話の間に入ってくるので、あまりにもキャラが立ちすぎているとドールマンに意識が持っていかれてしまうんです。
ーーその部分は杉田さんだからこそできたところですね。
小島:最後は杉田さんで行きましょうと。みんなが欲しい杉田さんですよね。「すぎた話だ(※)」ってね。
※ドールマンの初登場シーンで、ドールマンが「今となっては すぎた話だ」と言う。この「すぎた」のイントネーションが絶妙に「杉田」にも聞こえるとファンの間でも話題に。
一同:(笑)。
小島:あれは僕がやってくれと言ったので杉田さんには罪はありません(笑)。
杉田:最初にあのシーンを録って方向性が固まりましたね。
小島:他にもいろんな方向性でやりましたよね。もうちょっと人形っぽいやつとか、原音に合わせるとか。
杉田さんは前作ではちょっとしか出なかったんですよ。合う役がなかったんですけど、杉田さんには毎回出てほしいんです。
ジョナサンの声が杉田さんかと言われたらそうでもないんですけど、「杉田さんでええやろ!」と(笑)。英語版と日本語版の両方をやった人からするとテンションが全然違うという話は聞きますね。まぁそれもそれでいいじゃないですか。
ーー確かに。逆に杉田さんは監督のお好きなところや尊敬しているところはどこでしょうか?
杉田:幼少期の頃から……。
小島:幼少期(笑)。
杉田:(笑)。小学校高学年か、中学校低学年かのころに小島監督の作品を遊ぶことが「大人としてのステータス」だと、勝手に思い込んでいたんですよね。まだ子供だったので。知らない世界がいっぱい広がっていたんですよ。その中に、パチンコのパの字が消えていたり(※)……(笑)。
※パチンコのパ:1988年に発売された小島監督作品『スナッチャー』にて、街のパチンコのネオンのパの字が消えていて、主人公ギリアンの相棒のロボット・メタルギアmk-IIが「おやっ? パチンコのパが消えて危ない言葉になっています」と発言する。
小島:あれは向田邦子さん(※)のオマージュなんですよ(笑)。
※向田邦子:日本のテレビドラマ脚本家、エッセイスト、小説家。数多くの作品を手掛け、シナリオライター御三家と呼ばれるほどの名脚本家だった。
僕に影響を与えた国内の脚本家は向田邦子と山田太一。子供の頃は「だいこんの花」「時間ですよ」「パパと呼ばないで」「寺内貫太郎一家」などの向田邦子さんのドラマを観て育った。中でも「だいこんの花」が一番好き。「SNATCHER」でパチンコのパが消えているのはドラマ「2丁目3番地」のオマージュw pic.twitter.com/mAu0z1H7xA
— 小島秀夫 (@Kojima_Hideo) October 17, 2021
杉田:そういった映画やドラマがベースだったりしますが、「遊んで面白いゲームを作る」というのが常に念頭にあるなと。小島監督の作品はたくさん遊んできましたけど、自分が出演する側になったときに、存在をリスペクトするものが常にあるわけで。
今回の収録でも、監督が『RRR』(※)の限定版を買ったと話してきて。「買った……!? ありがとうございます……!」って(笑)。やっぱりちゃんとチェックしているんだなと思いました。
※RRR:2023年に公開されたインド映画。主人公のひとりであるビームの日本語吹き替えは杉田さんが担当。インドや日本だけでなく世界でも大ヒットし、数々の賞を受賞。
杉田:次は『私がビーバーになる時(※)』の吹き替えで出ておりますので、ご興味ありましたら……(笑)。
一同:(笑)。
※私がビーバーになる時:2026年3月13日公開のディズニー&ピクサーの最新映画。杉田さんは爬虫類の王役で出演。
杉田:監督はいつもどのようなところに着想を得ているのか気になっていますね。お話を聞いていると、いろんなところから吸収しているなと感じます。インスパイアのやり方も小島監督のやり方で、こういうふうになるんだと思わせられるものばかりです。同じことは他の人にはできないですよ。
『リコリス・リコイル(※)』も押さえている……!? なるほど! こうなるんだ……! 著名なVTuberさん!? なるほど! みたいな(笑)。そういう柔軟な発想とハイエンドなクリエイションが同居している稀有な存在だなと。幼少時から変わらずリスペクトしています。
※リコリス・リコイル:2022年に放送されたオリジナルアニメ。略称は『リコリコ』。犯罪を未然に防ぐ秘密組織「DA(Direct Attack)」に所属する少女エージェント「リコリス」たちを描いた作品。井ノ上たきな役の若山詩音さんは『デススト2』でトゥモロウ役を演じている。
ーー監督が『リコリス・リコイル』のフルグラTを着ていたのはびっくりしましたよ。
本日はレフンちゃんが子供時代に育ったNYを案内して貰います。さあ、用意はいいかい? pic.twitter.com/iCdC4PvpkZ
— 小島秀夫 (@Kojima_Hideo) June 18, 2023
レフンちゃんお薦めのストランド・ブックス。 pic.twitter.com/YimX7f0Kls
— 小島秀夫 (@Kojima_Hideo) June 18, 2023
小島:(笑)。レフン監督(※)の娘さんに『リコリス・リコイル』のキャラクターが着ている制服をプレゼントしたんですよ。でも、大きくなって入らなかったっていう(笑)。
※ニコラス・ウィンディング・レフン監督:小島監督と親交が深い映画監督。代表作に『プッシャー』『ドライヴ』などがある。『デススト』ではハートマン役で出演。『デススト2』ではご家族もカメオ出演した。
































