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コジプロ10周年イベント 「Beyond The Strand」レポート

ストランドで紡がれる“繋がり”――コジマプロダクション10年の歩みを胸に、小島秀夫監督、津田健次郎さん、忽那汐里さんらが登場|イベント『Beyond The Strand』レポート

ゲームクリエイター・小島秀夫氏が、2015年12月16日に設立したゲーム開発スタジオ「コジマプロダクション」。本スタジオは2025年に設立10周年を迎えます。

これを記念して、2025年9月23日に東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催された記念イベント「Beyond The Strand」。

本イベントでは、小島秀夫監督による10年の歩みの振り返りに始まり、『DEATH STRANDING』シリーズのキャストである津田健次郎さん、井上喜久子さん、忽那汐里さん、三浦大知さんらが登壇。さらに、フィル・スペンサー氏やA24のサム・ハンソン氏、ギレルモ・デル・トロ監督、押井守監督、ジョージ・ミラー監督ら世界的クリエイターが集いました。

小島監督を中心となって繋ぎ続けてきたものが、集結した本イベント。『DEATH STRANDING 2』『OD』『Physint』、そして新作劇場アニメ『DEATH STRANDING MOSQUITO(仮題)』と、新情報も目白押し。ジャンルや国境、メディアの枠を超えて〈繋がり〉を問い続ける、コジプロらしい濃密な一日となりました。

目次

コジマプロダクションの10年を振り返る――小島秀夫監督が語る“始まりの物語”

10周年記念映像からスタートした「Beyond The Strand」。放映後には、MCを務める宇内梨沙さん、小島監督が登壇しコジマプロダクション(以下、コジプロ)の10年を振り返ります。4畳半の小さな貸しオフィスから始まったという創業当初のリアルな風景。独立に至った経緯と、その中で掲げた“10年計画”がどのように実を結び、現在は“20年計画”へと進化していることなど、小島監督らしいユーモアと熱量に満ちた言葉で振り返られました。

当時の小島監督を支えた、角田典彦氏(現 三菱UFJニコス株式会社 代表取締役社長)も登壇し、監督の人柄や作品の魅力を熱弁。コジマプロダクションとビジネスの“繋がり”がいかに生まれたかを明かしました。

コジプロが掲げる計画は、現段階でフェーズ2の途中だと明かす小島監督。フェーズ3を含めた今後は、新しいテクノロジーを駆使し、未来のファンに向けた刺激的な施策を打ち出していく、「生きてるかわからんけど(笑)」とジョークを交えながら語りました。

『DEATH STRANDING』と共に歩んだキャスト陣からのメッセージ

続いては、コジプロを代表するゲーム作品『DEATH STRANDING』に関わった豪華キャスト陣が次々と登壇。津田健次郎さん、井上喜久子さん、忽那汐里さん、伊藤潤二先生、三浦大知さんらが、改めて作品やキャラクターへの想いを語りました。

MCに自身が演じたレイニーについて尋ねられた、忽那さんは「オーストラリア出身である自分と、どこか繋がる部分を感じた」とコメント。小島監督も「彼女がいなければ、レイニーというキャラクターは成立しなかった」と語り、デジタルスキャンによる再現だけでなく、彼女の癖やイメージも作品に取り込んだことを明かしました。

主人公・サム・ポーター・ブリッジズの声を演じる津田健次郎さんは、出演オファーが届いた当時を振り返り、「TwitterのDMで突然連絡が来て、本当に驚きました」と語ります。そこから長い年月をかけて、小島監督と共に『デス・ストランディング』に携わってきた津田さん。

本作のアフレコでは、キャスト陣がしっかりとスケジュールを合わせて現場に集まり、掛け合いながら収録が行われたそう。津田さんは「ゲームの収録でここまでしっかりと掛け合いができたのは、印象的だった」と話し、「これからも更に面白い作品を作ってください」と笑顔を見せました。

そんな津田さんに対し、小島秀夫監督は「津田さんはお忙しいですからね」と冗談交じりに声をかけますが、津田さんはすぐに「いやいや、絶対に声をかけてください」と返し、両者の信頼関係がうかがえるやり取りとなりました。

登壇者から寄せられたメッセージを受け、小島監督は「皆さん、家族みたいなもの。好きな人たちと仕事をしないと力が出ない」と語り、「この繋がりを離したくない。またよろしくお願いします」と、感謝の気持ちとともに今後の展望を述べました。

ギレルモ・デル・トロ監督、押井守監督、ジョージ・ミラー監督を交えた「エンタメの未来」について

イベント後半には、コジプロ・小島監督と繋がりのあるレジェンドクリエイターたちが集結し、「エンタメの未来」について語り合う豪華過ぎるトークショーが実現。「The Game Awards」創設者であるジェフ・キーリー氏をMCに迎え、ギレルモ・デル・トロ監督、押井守監督、ジョージ・ミラー監督が登壇しました。テクノロジーの進化に伴って、急激に変化していくゲーム・映画といったエンターテインメントの世界について、それぞれの視点から語られました。

「最も大きな変化は?」との質問に、AIを含めた創作における技術革新をあげる登壇者たち。ギレルモ・デル・トロ監督は、歴史の中で繰り返してきた技術革新の中で、どのように人間の精神性と向き合っていくかが重要だと語りました。

また、「変化・革新の悪影響」について尋ねられると、「(SNSなどにより)世界中が語り部になった今、どのように物語を語ることができるのか」と小島監督。それを受けて、ジョージ・ミラー監督は、「人間はナラティブ(物語)と常に繋がっている。物語のバブルの中に囚われてカルト的になってはいけない」と発言。

押井守監督は、「新しいテクノロジーを誰もが享受できるわけではない。それによって起こる分断」の危険性を示唆。そして、世代間の価値観の分断、格差にも触れ「誰に向けてものを作るのか」が非常に難しいと語ります。「創作の中で、自身の哲学や思想を伝えていくのも困難になっている。今後は(小島監督のように)スタイルやミームを拡散していく仕事になっていくのではないか」と締めくくりました。

このトークで語られたのは、決して“明るい未来”だけではありません。第一線で活躍するクリエイターたちが感じてきたリアルを、恐れと希望を交えながら、鋭くも豊かな言葉で共有してくれました。世界が大きく変わっていくいま、エンターテインメントは何を語り、何を届けていくのか。そのヒントが、“繋がり”と“刺激”に満ちたこのセッションの中に確かに込められていたはずです。

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