
「それまでの積み重ねによって全ての歯車が噛み合った結果と言えるかもしれません」──第13話“バンド・スナッチ回”などから感じる作品の導き『プリンセッション・オーケストラ』監督・大沼 心さん【最終回カウントダウンインタビュー】
アリスピアへの入り口は日本だけでなく海外にもあるという考え方で進めています
──以前のインタビューでは「裏設定に近い部分も作り込まれている」というお話もありましたが、尺の関係などで本編では触れられなかった裏設定はありますか?
大沼:一番大きいのは「壊れたアリスピアを誰が直しているか」ですかね。あれはダック軍曹たちが直しています。だから、裏方としてダック軍曹たちアリスピアンも頑張っているみたいな部分は、他にも色々とあると思ってください。
あとは裏設定というよりは、監督として現場スタッフから聞かれたとき用の、いわば「現場に指示を出す際の設定」もあります。あくまで現場用の設定公式では無いという前提にはなりますが、万太先生にも軽く話したのは「アリスピアへの入り口は日本だけでなく海外にもある」ということです。
どうして劇中のアリスピアには日本人のようなキャラクターが多いのか、それはあそこがいわば「日本サーバー」のような場所だと自分は考えていたからなんです。皆さんがアニメで見ている以外のアリスピアも存在しているという考え方は、公式の設定資料にはありませんが、現場から聞かれた際には監督としてそう伝えています。
──デザイン面の話になりますが、プリンセス・ジールとプリンセス・シンクの衣装が似ている点に何か意味があるのかと勝手に深読みしていました
大沼:そこに関しては、どちらかというとキャラクター原案の島崎麻里さんによるところが大きいです。ただ共通項を感じるかもしれない「フェイスベール」の部分に関しては、プリンセス・シンクとプリンセス・ハクアのデザインが最初に島崎さんから上がってきた時、やんごとなきというか高貴な印象を受けたので、それであれば正体を隠す意味でフェイスベールを付けてはどうかと提案したんです。そうしたら島崎さんがノリノリで、わずか1日で素晴らしいデザインを仕上げてくださって。
そのまま本編の制作を進めていたんですけど、第1話でプリンセス・ジールが素顔で出てくるのを避けるために、急遽フェイスベールをデザインして付けてもらったんです。そうしたら余計に二人の共通項が多くなってしまって、視聴者の皆さんも何かあるのかと感じるのも無理はないと思います(笑)。
──フェイスベールはインパクトがあって素敵でした。
大沼:実はフェイスベールに関しては心残りもあって、本当はプリンセス全員にも付けさせてあげたかったんです。ただ、フェイスベールは全部別のレイヤーで描かなければいけないので、アニメーション現場としては非常に大変な作業になってしまいます。あまりやりたい放題やると現場から怒られてしまうので、フェイスベールの数を絞った覚えがあります。
プリンセス・リップルたちのフェイスベール姿も見てみたかったですね。島崎さんがどこかで描き下ろしてくれないかな、なんて期待しています。もっともミーティアなんかは性格的に「邪魔!」と言ってすぐに外してしまいそうですが(笑)。
──最後になりますが、もし続編や新シリーズがあるとしたら、監督としてやってみたいことはありますか?
大沼:先ほども少し触れましたが、私は「世代間の物語」というものが非常に好きなんです。だから、次世代のプリンセスたちと、成長したみなもたちの共演という絵をぜひ見てみたいですね。
ナビーユが代替わりするかはちょっと悩むところですが、バンド・スナッチがプリンセスたちの「コーチ枠」として残っていたり……そういったものは自分も見てみたいと思っています。
【取材・記事:岩崎航太 編集:西澤駿太郎】





























