
「だからこそ私は『【推しの子】』から、ルビーちゃんから目が離せないんだと思います」──TVアニメ『【推しの子】第3期』ルビー役・伊駒ゆりえさん【連載インタビュー第5回】
第3期に感じる役者としての生き様と生き方
──第3期のルビーを演じる上で行った準備や意識の向け方などについてお聞かせください。
伊駒:ずっと等身大で演じようという気持ちがあります。それはもちろん第3期でも変わらないことだったのですが、大変な局面に立たされる人が特に多かった期でしたし、ルビーちゃんも内に秘めていくものが多かったなという印象があったんです。
例えば第二十八話でアクアに言い放った「無理なんだよ。綺麗にまっすぐこの世界で売れるなんて」は、一点を鋭く突いてくる言葉ではあるのですが、心の内での葛藤を強く感じていました。だから私も、感情の溜め方を理解したいなと思って、色々なものを溜め込んでみようとしました。
私は海に行くことがとっても好きで、海を見るとなんだか気分が晴れちゃうんです。海に行かなくても、普段から物事を溜め込むタイプではなくて、美味しいものを食べたらすぐに切り替えることができてしまうのですが、第2期から第3期にかけてのルビーちゃんと向き合っていた期間はそうせずに、ずっと考えるようにしました。
──精神面からルビーに近づいていったのですね。
伊駒:具体的にセリフの言い方が云々ではなく「感情を溜め込んだらどうなるんだろう」と考えて、日々を過ごしていました。実際に第3期のアフレコ現場で自分がどうだったのかはわからないのですが、そんな気持ちでいたから比較的静かだった可能性はありますね。逆にバランスを取ろうとして、休憩の時はすごく元気だったかもしれませんが……(笑)。
自分の中で感情が制御できなくなる瞬間を意図的に作れたらと思っていたのですが、苦しいですね。なので大塚さんのスゴさを再認識した瞬間でもありました。アクアは第1期から苦しい中にいたじゃないですか。もちろん向き合い方は違うと思いますが、最初からこんな重みを背負っていらっしゃったんだなと。
──復讐から解放されたのもつかの間、アクアももう一度その道に引き戻されてしまいました。
伊駒:苦しいですよね。先日もアニメのダビングを見学をさせていただいた時、大塚さんのお芝居がスゴすぎて、私もああなりたいと強く思いました。
──そんな大塚さんとの掛け合いはいかがでしたか?
伊駒:第三十五話で描かれた、アクアがゴロー先生だとわかるシーンは、大塚さんと伊東健人さん、高柳知葉さんと、4人で収録をさせていただきました。とても貴重で尊い空間でしたし、いっしょにアフレコができて嬉しかったです。
大塚さんが発するアクアとしてのセリフがゴロー先生として聞こえてくるんです。『【推しの子】』の現場では、全体の演出との兼ね合いなども考慮していく中で、様々なパターンでテイクを重ねさせていただくこともあるのですが、もうどのテイクも良くて……! 高柳さんと同じタイミングで涙がドワってなっていました(笑)。
アクアくんの言葉ではあるものの、ゴロー先生として、さりなちゃんに届けている言葉であることが感じられるシーンになっていると思います。その場面を4人の空間で受け取れたのも、本当に大きいことだったなと思いました。
──学びもありつつ、感動もありつつの現場だったと。
伊駒:どのテイクからも、たくさんのものを受け取りました。この瞬間に立ち会えたことが本当に嬉しかったし、今後『【推しの子】』と向き合う上で大切な気持ちだったなと思います。
──ほかにも、アフレコで印象に残っていることはありますか?
伊駒:第三十話でかなちゃんが、一人公園で叫ぶ場面がありました。ここは……あーダメだ。私、このシーンの話をすると涙が出てくるんです。
──ぜひ、ゆっくりお聞かせください。
伊駒:かなちゃんの生き様といっしょに、めぐさん(潘めぐみさん)の生き様、めぐさんの生き方を感じていました。それってきっと、役とお芝居に反映されるものだと思っていて。
かなちゃんの生き方に心を打たれたのと同時に、このシーンに向き合っているめぐさんが、すごくかっこよくて。うまく言葉にできないんですけど、言葉にできないものを受け取れたことが、とても幸せでした。これだけ命がけで演じていらっしゃるのが……あの日の収録を思い出すだけで涙が出てくるぐらい、人生を感じたシーンでした。
『【推しの子】』のキャストのみなさん、大先輩方が、現場でどのようにお芝居と向き合ってるのかなどを感じて、本当にかっこいいなと思うことが多いですし、だからこそちょっぴり悔しくもあって。もちろんマイク前では、その気持ちは除外してルビーちゃんを演じていますが、仕事・現場として考えると……やっぱり悔しいなって思うこともいっぱいあります。でもそれは先輩方が、素敵なお仕事への向き合い方をされていて、素敵なお芝居を見せてくださるからです。良い環境でお仕事をさせていただけているなと、より感じた第3期でした。
マイク前で話している瞬間はきっと。みなさんキャラクターの人生を生きていると思うんです。それを感じられるってとても価値のあることだなと思いました。
──きっと今後、マイク前に立つ伊駒さんの背中を見て同じように思う後輩が出てくるのかなと。
伊駒:ちょっとネガティブになっちゃったかな! いつもとてつもない刺激をいただいております、ありがとうございます! ちょっと水飲みますね(笑)。
































