
「だからこそ私は『【推しの子】』から、ルビーちゃんから目が離せないんだと思います」──TVアニメ『【推しの子】第3期』ルビー役・伊駒ゆりえさん【連載インタビュー第5回】
物語は新たなステージへ──「赤坂アカ×横槍メンゴ」が描く衝撃作『【推しの子】』。2023年4月放送の第1期、2024年7月放送の第2期に続き、TVアニメ第3期が2026年1月より放送。第3期最終話は拡大60分の放送となり、話題を呼びました。
アニメイトタイムズでは第3期の放送を記念し、各エピソードとTVアニメ『【推しの子】』を振り返る連載インタビューを実施。本稿にはルビー役・伊駒ゆりえさんが登場です。
暗く、苦しい状況に置かれるルビーと向き合う伊駒さん。その目が捉えるルビーとさりな、そして『【推しの子】』に感じる生き方、生き様とは。
「きっとルビーちゃんは、そうあらねばならなかったんだなって」
──第1期、第2期、そして今回の第3期と続いてきたTVアニメ『【推しの子】』。本作は伊駒さんの中で、どのような存在となっていますか?
ルビー役・伊駒ゆりえさん(以下、伊駒):本当に……どうしたって一言で表現できないような存在といいますか。改めてすごく大きな存在だと思っています。作品を見てくださっているみなさまにとってもそうであれば嬉しいです。
第3期では、それぞれのキャラクターが色々なものを見て聞いて、苦しい思いもたくさん経験しました。意図しないところですれ違ってしまったり、最善手だと思っていた行動を、そうでないように捉えられてしまったり。様々な思惑が絡まっていった第3期でしたので、ただ「面白い作品です」「スゴい話です」とは言い表せなくて。
第3期を経て改めて『【推しの子】』の楽しい側面も苦しい側面も愛しているなと感じています。
──伊駒さんが演じるルビーについてはいかがでしょうか。
伊駒:第3期の放送が終わった今のルビーちゃんを考えると……まず「難しい」と思います。
──難しい。
伊駒:時系列を分けてお話しさせていただくと、主に第1期までのルビーちゃんは「アイドルをやりたい」というまっすぐな想いを持ってアイドル活動を頑張って、楽しんでいた姿が印象的だったと思うんです。
ところが第2期の終わりから第3期にかけて……特に、アクアがゴロー先生であるということがわかるまでは、本来やりたかったはずのアイドル活動が、ある種の手段に変わってしまった状態でした。それに付随して、これまで抱えていた苦しさが表に出てきたといいますか。
その苦しさって、ルビーちゃん自身の苦しさといっしょに、さりなちゃんだったころの家庭環境や病気にも関係していて。すべての環境が積み重なって発露した苦しみが可視化された第3期だったなとも思います。
──個人的に、苦しみの中でも笑顔を絶やそうとしないルビーの特異性のようなものを感じた第3期だったと思っていて。
伊駒:今までどうして、ルビーちゃんがあんなに明るくてまっすぐで元気だったのかという問いの、ひとつの答えが出たのかなと思います。きっとルビーちゃんは、そうあらねばならなかったんだなって。でもそれってすごく苦しいことじゃないですか。
ルビーちゃんを演じていて「復讐」という苦しさももちろんあったのですが、ルビーちゃん自身の生き方や葛藤に触れる瞬間がすごく多かったなと思います。こんなにも大きなものを抱えて生きてきたんだなと、第3期を通して改めて実感しました。
──その分、ある種解放の瞬間でもあるアクアの前世を認識するシーンにも様々な感情がこもっているのかなと。
伊駒:実際に声がついて映像として動くと、より一層重いものを感じました。ゴロー先生やアイちゃんという存在が、ルビーちゃん・さりなちゃんの中でどれほど大きい存在だったのか……それをまざまざと見せつけられる瞬間が何度もあったからこそ、生まれ変わりでありことがわかった瞬間は、言葉にはできないぐらいのあらゆる感情が押し寄せてきて。
第3期のルビーちゃんは、本当に苦しみながら復讐に向かい合っていたんだなと。改めてこのシーンに向き合えたことが嬉しいなと個人的にも思いました。
──第三十四話の終盤から第三十五話にかけて、さりなの母親である天童寺まりなが登場しました。
伊駒:ルビーちゃんがあれだけ明るくまっすぐに生きてきたということは事実だと思うのですが、明るくなければならなかった理由は、きっとさりなちゃん時代の家庭環境にも起因していると思うんです。その大きな要因の一つがお母さんなので、本当に心が痛かったです。
収録のときも、状況に対する説得力を強く感じて、もう圧倒されてしまって。素晴らしいお芝居とキャラクター性だからこそ、なんだか……ねじ伏せられるような感覚があったんです。もしかしたらさりなちゃんも、同じようなものを感じながら生きていたのかなって。思い出しただけで「ぐっ……」ってなりますね(笑)。
──原作を知っているみなさんは、楽しみでありつつもある意味見るのが怖いシーンだったかもしれません。
伊駒:そうなんですよ! 私も収録の日が来ることをすっごく楽しみにしていたのですが、その反面「この日が来てしまったか」みたいな気持ちもあって(笑)。声がつくことでさらに立体的になったあのシーンを、自分で浴びる日がついに来たんだと。両極端な気持ちを持って、アフレコに行ったことを覚えています。すさまじかったです。
第1期の時から、周りに見せない彼女の苦しみみたいなものを感じていました。やっとそれについて描いてくれるシーンになったんだなって。私自身も、やはりずっとどこかで重たいものを抱えながらルビーちゃんを演じていたなと思います。
──ルビーの詳細が描かれた第3期でしたが、知れば知るほど彼女のことが見えなくなっていくような……。
伊駒:「難しい」がルビーちゃんだと思うんです。「自分が大切な人は全員いなくなる」という想いを抱えながら、生きていた、生きていることは、第1期、2期だと中々わからない。きっと、周りにいるたくさんの人からは、そういうことを考えているようには見えていないし、多分彼女は見せないと思うんです。そう生きざるを得なかった子だから。
ルビーちゃんが見せなかった、きっと見せたくなかった部分を『【推しの子】』ではありありと描いていく。人間的なシーンを描く作品なので、こんなにも面白いんだと思っています。普通に人と付き合っているだけでは見ることができないようなところまで踏み込んで、関係性を見せてくれるじゃないですか。私自身も、第3期ではずっとそういうことを考えながら、向き合っていたなと思います。































