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アニメ「霧尾ファンクラブ」満田充役・広瀬裕也【連載インタビュー第5回】

「藍美と波の存在は、彼の人生の中で大きかったんだと思います」──TVアニメ「霧尾ファンクラブ」満田充役・広瀬裕也さん【連載インタビュー第5回】

「本当に悲しいかな、僕、不在だったんですよ……」

──広瀬さんが感じる満田充の魅力を教えてください。

広瀬:この作品に出てくるキャラクターはみんな個性が強いですが、彼は違うベクトルの強さを持っているなと思います。

彼を演じていることもあって、すごく愛しく感じていて。満田くんが言うような後ろ向きなことも理解できるんです。でも波や藍美に引っ張られたことによって、今まで彼が味わってこなかった世界を教えてもらえたのではないかなと思っていて。

藍美、波、霧尾くん。みんなと関わったことによって満田くんも変わっていきます。第1話から第12話にかけて変化が見える……「友達ができた」んだろうなって。

──第4話で挟まる満田の回想シーンも切なくて。

広瀬:実生活であのようなことを味わうと、中々踏み出せなくなることもあるし「もうやめておこう」となる瞬間もたくさんあると思うんです。だからこそ何にも気にしない藍美と波が「満田!」って来てくれることが嬉しいといいますか(笑)。口では「やめて」って言いながらも、割と普通に三人での会話が成立しているんですよね。面白いなと思います。二人のおかげで、彼も変わっていっているなと思いました。

──三人の関係性を見た想像になりますが、満田もあの雰囲気を心地良く感じているような気もしています。

広瀬:心地良さもそうだし、楽しさみたいなものもあるのかなと。あの時間を楽しんでいる満田くんもいるんじゃないかなと思っています。呪術を提案するときの「次はこれをやります」も、別にいやいや言っているわけではなくて。

藍美に胸ぐらを掴まれたりするものの、何気なく言われた一言にちょっと照れることもあるし、やっぱり「彼にも友達ができて良かったな」「楽しそうだな」と思います。

──初登場の第3話から、フルスロットルで掛け合っていたような気がしています。

広瀬:満田くんの初登場のシーンは怪しげで、呪術なんてワードを使っていたり塩を投げていたり……そんな彼に二人が普通に「おい!」って突撃するのが……(笑)。三人でわちゃわちゃしているシーンがやはりすごく印象的でしたね。最初から叫んで焦って怒って、色々な感情を見ることができたのではないかと思います。

あと、おそらく危機一発的な何かで波の手助けをするシーンが好きです。彼には「触れるな触るな」という気持ちがある中での葛藤はめちゃめちゃ面白かったですね(笑)。

──この作品において、笑えない瞬間はないのではないかと思ってしまいます。

広瀬:止めどないんですよね。その間に考えさせられたり、またすぐにギャグに行ったり、感情がどんどん動いていきますから。

──満田充を演じるポイントや意識についても教えてください。

広瀬:僕自身、満田くんのようなキャラクターを演じてみたいという想いがありました。もちろん陰の部分を強く持っているイメージから入ったのですが、でも彼も一人の人間なんですよね。怒るときは怒るし、笑うときは笑うし、泣くときは泣く。たくさんの感情を持っているキャラクターだなと思っていたので、わざと濃くしたり、ベタベタに演じたりというよりは、彼の中での気持ちの流れに寄り添えるように、という意識を持っていました。

この絶妙なラインが毎回悩みどころで……。やはり文字として、ギャグとしての表情がついていたり、流れるようにセリフを言ったりするシーンもあるのですが、変にギャグすぎても狙い過ぎて冷めてしまう。絶妙なバランス感を持ちながらやれたらとは思っていましたが、難しいんですよね。

──満田も、ギャグに寄るキャラクターではないような気がしています。

広瀬:満田くんは満田くんで色々思うところもあるし、過去もあります。藍美と波に引っ張られたことによって出てくる感情が多いので、意識としては「狙う」よりも「振り回されて出てきたものをそのままに」でした。

藍美と波の存在は、彼の人生の中で大きかったんだと思います。二人があの日に理科室に来てくれたことによって、彼の人生もだいぶ変わりましたから。

その時々のテンションに引っ張られて満田くんの感情が出てきたと考えると、お芝居の面でもお二人(稗田さん、若山さん)に引っ張ってもらっていたと思います。

──とても高度なお芝居が展開されているように感じます。

広瀬:できていたかどうかは別ですけどね(笑)。でもキャスト陣はみんな、それぞれのキャラクターに深く向き合っていました。特に霧尾くんは……彼(梶原岳人さん)自身も本番前などに「どうしよう」「感情を持っていけるかな」という心配をしていて。そんな真剣な雰囲気を現場で感じるからこそ、僕もついていきたいなと思っていました。

──本当に素敵な現場だったのですね。そしてアフレコ期間中には「コロッケ大会」が開かれたともお伺いしています。

広瀬:これは本当に悲しいかな、僕、不在だったんですよ……。

──えぇっ!?

広瀬:ぜひ書いてほしいんですけどね、「霧尾ファンクラブ」のグループLINEがあるんですけど、僕が出ない話の時だけ何かしらの催し物があったんですよ!

ある日「次の現場にコロッケ作っていきますね」みたいなメッセージが飛んできて。「俺、出番ないんだよなぁ」と思いつつ、そもそも「そんな話が出てるんだ……」みたいな(笑)。そんな切ない思い出があります。

──まさかそんなことが……。

広瀬:でも別の出番があった日に、音響監督がコロッケを作ってきてくださって、食べることができました。肉じゃがのような甘めのコロッケで……あれは染みましたね。思い出を共有できてよかったです(笑)。みんなのコロッケも食べてみたかったですけど……。

あとは(稗田)寧々がクラゲの和え物を持ってきてくれたこともありました。アフレコチームでご飯を持ち寄るって、あんまり聞いたことないですよ(笑)。そこにも仲の良さが滲んでいたかなと思います。学校のクラスの一コマではないですが、青春を感じました。

──スタッフ陣もいっしょに楽しめるなんて、本当に雰囲気が良かったのですね。

広瀬:ぽんちゃん先生も飲み会やご飯に来てくださっていました。最終回のアフレコが終わったときに、先生が一人一人にお手紙を書いてくださって。めちゃめちゃうるっときましたね。

先生とお話はしたいのですが、アフレコでたくさん先生とお話できるかと言われると、全部の現場がそういうわけではないんです。遠方にお住まいの場合はリモートでしかお会いできないこともあります。でもぽんちゃん先生はたくさん現場に来てくださって。

先生も本当に明るい方なんです。すごく“陽”の方というか、藍美のような人で。もはや先生ご自身が、アニメの現場を引っ張ってくださっていました。

──先行上映会でのトーク内容やルポ漫画などからも、楽しいお人柄が想像できるといいますか。

広瀬:「霧尾ファンクラブ」を描く人だなって思いました(笑)。そんな素敵な方だからこそ、いただいたお手紙に本当にジーンときて、今部屋に飾っています。

──外山監督も先生について「『隣にいてくださる』『一緒に作れている』という安心感がありました」とおっしゃっていました。

広瀬:この仲の良さや空気感は、絶対に作品とお芝居に乗るんです。さらにこの作品はみんながわちゃわちゃして盛り上がる作品だから、熱量がみんな高い。本当に良い現場でした。

──今のお話を聞いていて思ったのですが「涙なめなめソング」の歌詞は、もしかしたら先生の中で出力を抑えていた可能性がありますか……?

広瀬:絶対抑えてるでしょうね(笑)。またあの曲が後半グッとくるからスゴい……!

(C)地球のお魚ぽんちゃん・実業之日本社/「霧尾ファンクラブ」製作委員会
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