
『運命の巻戻士』はなぜ心を熱くするのか――「コロコロ」で育ったクロノ役・小村 将さんが語る、“リトライ”する物語の魅力【最速インタビュー】
今までに体験したことのないオーディション現場
──オーディションに向けて準備されたことや、現場でのエピソードについても教えていただけますか。
小村:まずクロノに関しては、「コロコロコミックのバトル漫画の主人公だから、きっと熱い男の子なんだろうな」というイメージがありました。物語序盤を読んでいても、ギャグ・コメディ色もありつつ、戦闘シーンではかっこよく決める、みたいな印象があって。
喜怒哀楽がはっきりしていて、明るくて、熱いところもある。コメディパートでは思い切り振り切るし、戦闘では熱血主人公らしさがある。最初はそういうイメージだったんです。
今回は、テープオーディションとスタジオオーディションの2段階だったんですが、前者のオーディションでは、そのイメージで役作りをしていました。その後、テープオーディションを通過することができて、スタジオオーディションまで少し時間が空いていて。もう一度しっかり原作を読み返してみたんです。
そうしたら、「クロノって僕が思っていたほど感情がころころ変わるタイプではないし、意外と冷静で地に足がついているんじゃないか」と感じたんですよね。
──魅力的なキャラクターがたくさん登場する作品ですが、クロノ以外でお気に入りのキャラクターや、注目してほしいキャラクターがいれば教えてください。
小村:『巻戻士』に登場するキャラクターは、みんな魅力的なんですよね。その中で、まず挙げるとしたら、クロノと掛け合いをする相棒の「スマホン」でしょうか(笑)。
個人的には、スマホンとクロノの掛け合いがすごく好きなんですよ。原作を読んでいても、小気味いいというか、とにかくテンポ感がいいんです。クロノが冷静なのに、ちょっと抜けた発言をしたりすると、スマホンが、キレッキレのツッコミをどんどん入れてくれたり。
原作の時点でもそのテンポ感がすごく面白いんですけれど、それがアニメーションになって、絵が動いて、音が付いて、さらに声優さんたちのお芝居が入った時にどうなっていくのか。楽しみです。
──確かに。その軽快なやり取りも本作の魅力です。
小村:そして、魅力と言えばクロノたちと敵対する組織「クロックハンズ」も注目したいです。めちゃくちゃかっこいい! バトル漫画って、敵がかっこいいとそれだけでテンションが上がるじゃないですか。
しかも、敵の一言で表すことができないそれぞれのバックボーンがある。その立場にいる理由や生い立ち、目標がある。そういう背景や、正義と正義がぶつかっているのかもしれないとか、そういう考察もどんどん深まっていくと思うんです。原作を読んでいて、僕はそういう部分をすごく感じました。
だからこそ、アニメではどなたが演じるのか、そしてどんな熱い戦闘シーンになるのか、そこも大きな見どころのひとつだと思っています。
──キャラクター以外にも、小村さんご自身が楽しみにしていることを教えてください。
小村:アニメーションになると絵が動いて音が付くので、まず気になるのは「リトライ」のシーンです。映像も気になりますが、やっぱりSE(効果音)も楽しみです。
巻戻士たちの必殺技とも言える見どころですし、その延長線上にある「開眼(バージョンアップ)」の演出が、アニメーションでどれだけかっこよくなるのかというのは、すごく楽しみにしています。
「時間を巻き戻す」というクロノたちの能力ならではの演出が、アニメーションでどう表現されるのか。そこはすごく気になっています。
『巻戻士』が描く「諦めない心」
──もし本作を少年の頃に読んでいたら、どんな影響を受けていたと思いますか?
小村:多分、これを読んで育っていたら強い子になっていますよね。諦めない子になっているんじゃないかな。
この作品は、根性とか、立ち上がる勇気だったりを、ストレートに描いている作品なんですよね。だからこの作品を読むことで、絶対にいい刺激になると思うんです。
誰しも、これから大人になっていく中で、競争する場面も出てきますし、人生を生きていたら壁にぶつかることがあると思います。そんな時に、この作品のことを思い出してくれるんじゃないかなと。
「ちょっときついな」と思った時に、あと一歩だけ頑張ってみるとか。ダメだったとしても、すぐ切り替えて別のやり方や道を試してみるとか。そういう「リトライ」する精神って、絶対にいい方向に働くと思うんですよね。僕も読んでおきたかったです。
──そうですね。今「コロコロ」を読んでいる少年たちも、私たちと同じように感動したりしていると思うとグッと来てしまいます。
小村:だからこそ、クロノを演じられるということがすごく嬉しいですし、声の力でさらに届けたいなと思います。原作だけでも十分パワーをもらえる作品なんですが、そこに声とアニメーションの力が加わることで、もっと大きな相乗効果を生み出せたらと。
声優は、それを声で吹き込んで、音として届けなきゃいけないので。そこは本当に頑張りたいと思っています。
──物語のジャンル的な話で言うと、本作は「タイムリープもの」ですよね。多くの名作を持つジャンルですが、『巻戻士』ならではの魅力をおしえてください。
小村:やっぱり巻き戻しの回数かなと思うんです。ちゃんとカウントすると本作よりもやり直している作品はあるかもしれませんが。
──本作は1話に付き数百、千とやり直すので相当多い方だと思います。
小村:「めちゃめちゃやり直すじゃん!」って思いました。何百回、何千回、何万回とやり直していく。そのスケール感はやっぱりすごいですよね。先ほども言いましたが、それを自分のためだけではなく誰かを救うために行っているのもまた違うところですよね。
「時間を巻き戻す」という能力を軸に、キャラクターたちのそれぞれの思いや信念がぶつかり合っていく。そこが僕の中ではすごく新鮮でしたし、面白い構成だなと思いました。木村風太先生、どうやってこのような設定を考えたんだろうと思います。
──しかも、それをすごくわかりやすく描いていますよね。
小村:そうなんですよ。タイムリープものって、結構難しくなりがちじゃないですか。時間が巻き戻ることで、「あれ、今どの時間軸の話だっけ?」ってなったり。でも原作を読んでいる時点では、それが全然起きないんですよね。だから、自分の中でタイムパラドックスが起きたり、時間軸が混乱したりすることなく読めるんです。
僕がこの作品で特に好きというか、味わい深いなと思う部分があって。クロノたちは救出対象を助けるために、何百回、何千回とやり直しているじゃないですか。タイムリープものあるあるかなと思うんですけれど、助けられる側からすると全部1回目なんですよね。そこが読んでいてすごく刺さるんです。
何百回、何千回もやり直して、ようやくたどり着いたクリアルートなのに、助けられた側は「なんだ、簡単だったじゃん」って思うかもしれないじゃないですか。それが冒頭から描かれているのも凄い。
──「どれだけ苦労したと思ってるんだ!」ってなりますよね(笑)。
小村:本当にそうですよね(笑)。場合によってはスマホンが代弁してくれることもありますけれど、でも、そういうことが常な状況でも頑張り続ける精神力、人を助けるという思いは本当にすごいなと思います。そこがこの作品の面白いところでもあり、クロノたち巻戻士の魅力が一番引き出される瞬間なんじゃないかなと思っています。


































