
「Ave Mujicaというジャンルを作りたい」。“儀式の記録”と、その先に待つ予測不能な景色――Best Album『Ave Música』に込められた歩み、進化を佐々木李子さん&岡田夢以さんが語る【ロングインタビュー】
新曲「The Whole Blue World」の“共に堕ちる美しさ”
──先程も話題に挙がった、新曲となる「The Whole Blue World」は、これまでのAve MujicaとこれからのAve Mujicaをつなぐような楽曲となっています。
佐々木:そうですね。Ave Mujicaって、孤高なイメージがあると思うんです。でもこの曲は、共に堕ちる美しさを歌っているような感覚があります。歌詞を見ても、残酷な世界の中で、届かない苛立ちや、砕けていく夢のような、痛みを感じる言葉が並んでいます。でもその中で、ちゃんと君に触れようとしている感覚がある。そこは今までとは少し雰囲気が違うなと思いました。
歌詞に〈僕ら〉という言葉が出てくるところも、すごく印象的でした。一緒に傷つくことを選んでいる繊細さというか、「信じたいのに」と悩んでいる部分、揺れている部分が特にお気に入りです。その揺れごと前に進もうとしている感じが、Ave Mujicaらしいなと思いますね。神経を研ぎ澄ませながら歌わせていただきました。
岡田:素朴な疑問なんだけど、レコーディングのときに、わーっとなったりしないの?(笑)
佐々木:わーっとはならないけれど(笑)、自分が闇に堕ちていくような感覚はあります。以前のインタビューでもお話ししたのですが、「Sophie」を歌っているときに、気づいたら手が傷だらけになっていたことがあって。無意識に手を強く握っていたんだと思います。〈ほんとヤダ〉〈ほんとヤダ〉って。そういうふうに、歌詞に寄り添いながら歌っているんです。
この曲も、静かに心をたぎらせていくというか。心の中にある苛立ちや痛み、弱さも含めて、それでも進んでいく感覚をイメージしながら歌いました。
──「The Whole Blue World」の“Blue World”は、澄んだ青も、深く沈んでいくような青も感じられました。
佐々木:確かに、ただの青い世界ではないというか。そのなかに透明感のある青も感じられるし、深みのある青も感じられる。Ave Mujicaらしいなって。Ave Mujicaはただ攻撃的なだけではなくて、繊細で品のある部分も含めてAve Mujicaだと思っています。この曲は、そのどちらも楽しめる楽曲なんじゃないかなと思いますね。
岡田:不思議なバランスだよね。コーラスも、すごくたくさんのパターンを録りました。Ave Mujicaの楽曲には、Diggy-MO'さんが仮歌を入れてくださるんです。Diggy-MO'さんが歌われることで、「この曲をどういうふうにしたいのか」が、私たちにも明確にわかるんですよね。
そして、それをりこちが、そのままではなく、ドロリスとしてちゃんと昇華して歌っているのがわかって。そこに毎回感動しています。ほかの楽曲は、重さが強い曲も多かったんですけど、この曲はどちらかというと深さを感じました。
佐々木:まさに深さを意識してた! さらに、冷たさのある青も意識しました。乱暴に殴るのではなく、綺麗に息を奪うようなイメージだったので、そこまで感じ取ってくれて嬉しいです。
岡田:やった!
予測不能な“Exitus”の先へ
──それにしても、本当に収穫の多いツアーとなっているんですね。
佐々木:いろいろなことを試しましたし、実はライブごとに、謎解き……というのでしょうか、そういった要素を個人的に散りばめていて。全部のライブに来てくださっている方は、もしかしたら気づくかもしれないというものもあります。まだツアーの途中なので詳しくは言えないんですけど、自分なりの楽しみも織り交ぜながらやっています。
岡田:そういうところがエンターテイナーだよね! アニメ放送のときも、(各話放送後に)Xに投稿していた頭文字をつなげるとメッセージになる……という仕掛けをやってたよね。
佐々木:そうそう。そういうの、好きかもです。
音色は響き続ける。運命を受け入れて抗って、全て背負うと覚悟した私達はもう何も怖くない。差し出した右手を離さないでくれてありがとう。
— 佐々木李子@夏ワンマン開催🎤 (@sasakirico) March 27, 2025
# 13 Per asprera ad astra.#アニメムジカ 永遠に…
携わってくださった全ての皆様に感謝致します🌙
三角初華/ドロリス役 佐々木李子#バンドリ #AveMujica pic.twitter.com/BY7wF7Nmvl
──先ほど、佐々木さんが「めいしゃんの背中を見ていた」とおっしゃっていました。今回、岡田さんの背中を目で追ってしまった理由はあったのでしょうか?
佐々木:会場がライブハウスだったので、お客さんとの距離も近かったんです。モニターや配信もなかったので、みんなステージを大きく使っていて。メンバーが動き出したときに、少し第三者目線というか、俯瞰してステージを考えたんです。「じゃあ私はこっちに行ってみようかな」と思って、ティモリスの空間に少しお邪魔しました。
でも、やっぱりそこはティモリスだけの場所だなとも感じました。みんなをサポートしているティモリスの場所は、やっぱりここなんだと感じましたね。
岡田:逆に、私はりこちの近くを歩くときに同じことを思うんですよ。「ここはドロリスの聖域だ!」じゃないですけど、恐れ多いという印象です。
佐々木:嬉しい。センターで一緒に弾いたりもできて、楽しかったです。
──岡田さんは、背中や立ち姿がとても印象的です。ステージに立つときに意識していることはありますか?
岡田:メリハリですね。ずっと動くのではなく、静と動のバランスは意識しています。それから、「ティモリスだったらこう動くだろうな」「こういう表情をするだろうな」というところは常に考えています。ティモリスを前提にすべて動いていて、メンバーとの近づき方や目線もそうですし。
佐々木:めいしゃんはリハーサルのときから耳中(イヤモニ)の音作りにもすごくこだわっていて、時間をかけているのが印象的です。
岡田:ベースは、会場によって音が結構変わるんです。先生にもいろいろ調整していただきますが、会場ごとに音の質が違う感じがします。意外とそれに気づいてくださっている方も多くて。「この会場ではこういう感じだったけど、ここでは違った」と言ってくださる方もいます。ファンの方たち、本当に耳がいいなあって思っています。残りの公演も気合いを入れます。
──ティモリスは、「顔」での存在感も素敵ですよね。
岡田:ありがとうございます。「顔」のときは、どうしたらメンバーとの絡みを映えさせられるかなと考えています。自分だけではなく、メンバーも巻き込みたいんです。特にツアーでは、ずっとやりたかった“ほかのメンバーのところへ行く”ということをやっていました。
アニメ放送中は、できるだけアニメに忠実にやっていたんですけど、そこからさらに枠を超えて近づけたら嬉しいなと思って。
佐々木:めいしゃんはベースを弾く姿や所作が本当に美しいんですけど、その中に芯のある圧を感じるんです。その空気感が、見ていてすごく惹きつけられます。リハーサルのときも、壁の鏡越しに意外と見ちゃうんです。
──立ち姿が上品で美しいですよね。おふたりともステージ上での魅せ方が本当に素敵で。佐々木さんは動きがしなやかで、神々しさすら感じさせるというか……。
佐々木:いやあ〜。
岡田:本当にそう思う! 身体の使い方が上手だよね。
佐々木:最初は7弦ギターもすごく重かったです。もちろん、5弦ベースも重いと思うんですけど、今はみんな、楽器と身体が一体化している感じがします。いろいろな身体の使い方ができるようになってきた気がしますね。




































