
『天幕のジャードゥーガル』Abel Gongora(アベル・ゴンゴラ)監督インタビュー|シタラの「Revenge(リベンジ)」と「Freedom(フリーダム)」。歴史と文化へのリスペクトから生まれるアニメーション
2026年7月4日より放送開始となるTVアニメ『天幕のジャードゥーガル』。トマトスープ先生による人気歴史漫画を原作に、監督をAbel Gongora(アベル・ゴンゴラ)さん、総監督を山田尚子さん、キャラクターデザイン・作画チーフを吉田健一さんが務める注目作です。
モンゴル帝国を舞台に、歴史のうねりと、ひとりの少女の人生が交錯する本作。アニメ化にあたり、制作陣はどのように歴史や文化と向き合ったのでしょうか?
今回は、Abel Gongora監督のインタビューをお届け。現在に至るキャリア、映像化で重視したこと、そして主人公・シタラに感じる「Revenge(リベンジ)」と「Freedom(フリーダム)」。モンゴルへの現地取材なども行いながら、「本物」を目指した創作過程についてお話していただきました。
日本でアニメ監督をするとは、夢にも思わなかった
──まずは簡単に、Abel監督のこれまでのキャリアや、サイエンスSARUさんでのお仕事が始まるきっかけについて、お聞かせいただけますでしょうか。
Abel Gongora(アベル・ゴンゴラ)監督(以下、Abel):母国であるスペインの大学で美術を勉強していました。専攻はアニメーションです。
その後、1年間アイルランドで働いた後、フランスの「Ankama」というスタジオに所属していました。「Ankama」が日本でスタジオを開くという話があり、来日して仕事するようになったんです。そこで出会ったのが、湯浅政明監督とEunyoung Choi(チェ・ウニョン)さんでした。
──サイエンスSARUを設立したおふたりですね。
Abel:おふたりがスタジオを設立するタイミングで、最初に声をかけてもらったのが、私ともう1人のスペイン人アニメーターだったと思います。そして、私はサイエンスSARUで最初に採用されたスタッフの1人として、改めて来日しました。そこからどんどん会社が大きくなっていって、チームも広がって、今のサイエンスSARUになっていったんです。
──初期からスタッフとしてお仕事をされてきたのですね。スペインやフランスにいた頃、日本でアニメ監督として働くことは想像されていましたか。
Abel:夢にも思っていなかったです。学生の頃は、日本でアニメーターはやりたくないなと思っていました。絶対に大変だと思ったので(笑)。
でも、いつの間にか日本でアニメーターをやることになって、監督までやらせてもらっています。
手塚作品のようなビジュアルと、深いカルチャー描写
──『スコット・ピルグリム テイクス・オフ』や『ダンダダン』第2期の監督を経て、本作の監督も務めていますが、本作への参加はどのような流れで決まったのでしょうか?
Abel:プロデューサーから声をかけていただいたのがきっかけです。コミックスの内容的に「Abelさんが合うんじゃないかな」という提案のような形だったと思います。
オファーをいただいて、「ぜひやりたい」と答えました。やはり原作が個性的で面白かったので。
──最初に原作を読まれた時、『天幕のジャードゥーガル』のどの部分に強く惹かれましたか。
Abel:絵柄に惹かれましたね。手塚治虫先生のようなクラシックな漫画やアニメを想起させるような絵だなと。もちろんストーリーも魅力的です。
また、モンゴルという地には、漫画を読む以前から興味があって、この作品を通して、モンゴルの生活や文化を知るきっかけにもなったと思います。実際に読み進めていくと、ペルシアに対する興味もかなり湧いてきました。歴史も面白いですし、文化も美しいですよね。
──実際にモンゴルへロケハンに行かれている様子もSNSで拝見しましたが、実際に舞台となった土地を訪れてみて、いかがでしたか。
Abel:作品を作る際にも、文化や風土、景観を調べていたのですが、伝統的な生活様式を続けている方も多いんです。遊牧民として生活していたり、ゲルで暮らしていたりと。
やはり実際に現地へ行くと、その場でしか分からない匂いや、味わえない味がありました。実際に草原へ行かないと、どれだけ広大なのかは分からないものだなと思います。あと、ガイドさんの1人が、モンゴルの楽器「馬頭琴」を演奏してくださったんですけど、それもすごく良かったです。一番重要だったのはゲルでの宿泊体験ですね。実際に泊まってみることで、キャラクターたちの生活や人生を、より想像できるようになったと思います。もちろん、美術館や博物館にも行きましたし、たくさん資料写真も撮って、文化への理解を深めることにも努めました。


































