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アニメ『サイボーグ009 ネメシス』島村ジョー役・梶 裕貴インタビュー

「幅広い世代の方に刺さる作品になっていると思います」──アニメ『サイボーグ009 ネメシス』009・島村ジョー役を演じる梶 裕貴さんインタビュー

009は正統派ヒーローでありつつ、葛藤や悩みを抱えるリアルさが魅力

──ゼロゼロナンバーサイボーグの9人はそれぞれ個性的ですが、009は熱く正義感がある、まさに主人公然としたキャラクターですね。

梶:まさに王道ヒーローですよね。でも、そんな「王道のヒーロー像」というのは、それこそ石ノ森先生が生み出されたと言っても過言ではないのかなと感じていて。

それが島村ジョーであり、ある種の原点。強い正義感を持ちながらも、ただただ熱血というわけではなく、生い立ちや過去には陰があり、戦いの日々の中、悩んだり、葛藤し生きている。

そんな生々しく、リアルな人間らしさは、以降の多くのヒーローたちに受け継がれている気がするんです。優しさや強さだけでなく、繊細さやナイーブさも抱えており、決して完全無欠ではない。でも……だからこそ誰もが共感できるし、応援したくなる存在なんだろうなと。

また今回は、ゼロゼロナンバーサイボーグとネメシスの「正義の捉え方の違い」が大きなテーマとなっており、グラビトンたちの存在や言動に対して、ジョーの心が揺れ動く描写がたくさんあるんですよ。自分がこれまでやってきたこと、これからやろうとしていることは、本当に正しいのだろうか? 彼らを悪と決めつけていいのだろうか? と。そこに対するジョーの葛藤は、彼を演じる上ですごく大事な要素になると感じ、丁寧に拾っていきましたね。

──ゼロゼロナンバーサイボーグの9人は個性がバラバラで強く、キャストの皆さんのお芝居が更に一人ひとりを魅力的に輝かせていた印象がありますが、今作もそこは変わらないですね。

梶:石ノ森先生が生み出されるキャラクター設定や造形は、本当に素晴らしいですよね。そもそもの大前提として、ゼロゼロナンバーサイボーグは「自らの意志と関係なく拉致され、合意なく改造されてしまった人たち」というバックボーンがあります。

それぞれが苦しい環境での生活を余儀なくされていたり、悲しい過去を背負っていたりと、闇や影のようなものを抱えている人たち。なので、おそらく皆さん、そのあたりを考慮されつつ、各キャラクターの個性を汲み取っていかれたんじゃないかと思うんです。

加えて、今回の物語は、数々の戦いを乗り越え、チームに絆が生まれた後を描いています。つまりは、最初から完成されたアイデンティティを提示する必要があり、もしかすると、そういった意味でのハードルは皆さん感じられていたかもしれませんね。

とはいえ、これまでの『サイボーグ009』シリーズで、諸先輩方が構築してくださってきた素晴らしい解もあるわけで、それらを踏まえることで、キャラクターの解像度を上げる方法もあったのではないかと思います。

──サイボーグに改造されても心は人間のままというのがこの作品の素晴らしさであり、胆でもあるのかなと。

梶:最強とも言えるサイボーグの体を持ちながら、その実、心の中では苦しみもがき、それでも悪と戦う。そんな姿に、視聴者は惹かれるし共感するんだと思うんです。僕自身、ジョーを演じていて、やはりそこにグッときました。

さらに今回は、ゼロゼロナンバーサイボーグの対となるネメシスたちもいるので、合計18人分の設定を被らず用意しなくちゃいけないわけですよね。もちろん、ただ枠を埋めていくんじゃなく、そのコントラストを魅力的に表現しなければならない。すごく面白いアイデアだなと感じつつ、実際に作り上げていくのは相当大変だったろうなと思います(笑)。

──アニメや特撮のライバル的な相手は1人や数体の場合がほとんどですが、9人というのはあまり見たことがありません。

梶:普通やりたがらないかもしれませんね(笑)。構成がめちゃくちゃ複雑になってしまうと思うので。そのあたりは、安保(英樹)監督や脚本の冨岡(淳広)さんとキャラテックスさんが絶妙なさじ加減で作ってくださったのだろうなと。

──1話では、ネメシスはゼロゼロナンバーサイボーグよりも能力や性能が上回っているように感じられました。

梶:確かに冒頭、ネメシスに圧倒的な力を見せつけられたような印象が強いです。なんたって、そんなゼロゼロナンバーサイボーグを超えるために作られた新世代のサイボーグたちですから。まあ、だからといって009たちがそのまま屈してしまうのかといえば……そのあたりは、ぜひ配信でお楽しみください(笑)。

 

『ネメシス』には、かつて009を演じたキャストも

──ゼロゼロナンバーサイボーグとネメシスで9人ずつ、計18人もいるのでみんなそろっての収録はなかなか難しかったかと思います。

梶:皆さん基本、セリフの掛け合いが多い、対となるキャラクターを演じるキャストさんとの抜き収録という形式だったはず。なので、僕も出演するキャスト全員を把握したのは、しばらく後になってからでしたね。

──今回の18名のキャストの方はそれぞれがアニメの主役を担当できるような豪華な声優陣ですごく驚きました。

梶:僕も驚きました。たとえば、今回ジェットの声を担当されている宮野(真守)さんは、映画『009 RE:CYBORG』(2012年公開)で島村ジョーを演じられていたわけですから。そんなケースもあるん!? だって(笑)。

そして、ゼロゼロナンバーサイボーグの声優陣にインパクトあるキャストをそろえたなら当然、ネメシス側にも負けないくらいの知名度と芝居力がある役者さんたちを集めないといけなくなる(笑)。なんたって、主人公たちのチームをおびやかす、または圧倒するくらいの迫力がないと盛り上がりませんからね。

だからこそ、もっともっとネメシスとの物語を観てみたい、演じてみたいと思いました。ネメシス結成秘話とか、各キャラクターの出自とか。それこそメンバー1人に1話くらい割いて、そんなドラマを観てみたいなという衝動にかられましたね。それくらい濃い面々だったので。

──ゼロゼロナンバーサイボーグ側は003しか女性がいないのに、ネメシス側は半数を超える5人もいるのはなぜなのかも気になります。

梶:そう! もしかすると時代も反映されているのかもしれませんね。いや、もう話し始めるとキリがない(笑)。今回のシリーズ配信終了後、ぜひスピンオフやアナザーストーリーを作っていただきたいです。その際は、できれば009たちの出番も作っていただいて(笑)。

──実際に映像をご覧になった感想をお聞かせください。

梶:これまでにも様々な時代でアニメ化されてきた『サイボーグ009』。きっと、その時代時代で考え得るベストな手法で製作されてきたのだと思います。もちろん、今回も例外ではありません。特にバトルシーンは見応えたっぷりでしたね。

──あと石ノ森先生の作品は、最後が切なかったり、悲しいものが多いので「今回はどうなるのかな?」という心配もありそうです。

梶:まだ配信前なので、どこまでお話ししてよいものやら難しいですが……(笑)。最初、ネメシスがすごく悪い集団に見えるかもしれませんが、一概にそうとは言い切れない部分があって。つまりは、単純に殺りくを楽しんだり、人を恐怖に陥れようとする、いわゆる「悪」とは少し違うんですよ。彼らには彼らなりの信念がある。

だからこそジョーたちも、戦う上で葛藤するんですね。単純な「善対悪」の構図ではないところに、石ノ森先生イズムを感じます。

 

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