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- 藤崎萌恵
- 大阪府在住のライター。小説、漫画、アニメ、映画など“好き”を追い続ける。

「腐海」の謎を解くために旅をするユパが、王蟲に襲われ滅んだ村を目にして呟いた言葉。旅の中で何度も直面してきたであろうことを示し、この世界の無惨な現状を突きつけながら壮大な物語が始まります。
腐海は着実に広がっており、なのにどこへ行っても争いと飢えばかり。ユパは、なぜ風の谷のように暮らせないのかと憤っていました。
風の谷を訪れたユパは、このまま風の谷に腰を据えるよう提案されますが、彼は腐海の謎を解きたいと願って旅を続けているのです。我々人間はこのまま腐海にのまれて滅びるよう定められた種族なのか、それを見極めるために。
すでに息絶えた父の姿を目の当たりにし、怒りで我を忘れたナウシカはトルメキア軍の兵士をなぎ倒していました。するとユパが、トルメキア軍装甲兵を右手で制し、ナウシカの剣を左手で受けて双方の仲裁をします。
さすが辺境一の剣士でありナウシカの師でもあるユパ様。ナウシカを宥めながら、敵に礼儀を求めてその場をおさめました。ユパの計らいにより、風の谷の者たちが皆殺しにならずにすんだわけです。
捕虜となった城オジの1人・ゴルがクシャナの前で語った言葉。ジルと同じ病で、腐海の毒に侵されたゴルの手は、半年もすれば石のようになるといいます。そんなゴルの手を慈しむナウシカがかけたこの言葉には、全てを包み込むような深い愛情が溢れています。
捕虜となった城オジ3人、ギックリ・ゴル・ニガの言葉。彼らも火を少しは使いますが、多すぎる火は大切なものを奪ってしまう。風の谷の人々がいかに森を大切に思って暮らしていたのかがよく分かります。争いを好まず平和に過ごしていた彼らの生活を、トルメキアが一瞬にして奪ってしまったのです。
トルメキア王国の国王・ヴ王の第四皇女であり、巨神兵を本国に持ち帰る命を受けているクシャナ。国へ帰るようユパに忠告されるも、もう後戻りはできないと突き返していました。蟲に恨みと恐れを抱く彼女は、「腐海を焼き蟲を殺し 人間の世界を取り戻すに何をためらう」と主張します。
風の谷の人々はトルメキアに立ち向かい、酸の湖の廃船に立てこもっていますが、クシャナは攻撃をしかねていました。彼女は腐海の底からナウシカが戻るのを待っていたのです。クシャナはいつしか、ナウシカに憎からぬ感情を持ち始めていました。
しかし、約束の時間が迫ると攻撃を決意。「しょせん血塗られた道だ」と呟く彼女の言葉には、このまま突き進むしかないという覚悟と葛藤が垣間見えます。
工房都市国家ペジテは、トルメキア軍が占拠する風の谷を蟲に襲わせようと計画し、それを知ったナウシカは足止めされてしまいます。この時アスベルは、父であるペジテ市長から銃を奪って「その子を行かせてやれ」と反旗を翻していました。
ブリッグの食糧庫に閉じ込められたナウシカでしたが、そこへ助けに来たアスベルの母はペジテの行いを恥じて謝罪。ペジテの少女と服を交換させて身代わりにし、ナウシカを助け出します。
アスベルはナウシカをブリッグから脱出させようとしますが、そこへトルメキア軍のコルベットが襲来。このまま皆を置いて自分だけ脱出することはできないと、残ろうとするナウシカ。しかしアスベルは、「谷の人を救えるのは君だけだ」と懇願して送り出します。
同じペジテでも皆が同じ考えを持つわけではなく、そこには自ら行動を起こしてナウシカに手を差し伸べる人たちがいました。人としての誇りと恥じない生き方、人の情と恩義がここにはあります。
ある夜、風の谷にトルメキアの巨大輸送機が墜落。船に囚われていたペジテの姫・ラステルは、救出に来たナウシカに「積み荷を燃やして」と託しました。ナウシカが「大丈夫 みんな燃えたわ」と優しく応えると、ラステルは安心したように息絶えます。
積み荷とはペジテからトルメキアが略奪した「巨神兵」で、双方がその復活を企んでいました。ラステルは、人類の争いに巻き込まれて犠牲となった1人なのです。
風の谷に留まるようユパを誘う族長・ジルですが、大ババは「ユパは探し続けるよう定められた男じゃ」と笑います。その意味を尋ねるナウシカに大ババが聞かせたのがこの古い言い伝えの言葉。
するとユパは、腐海の謎を解きたいと願っているだけだと主張し、ナウシカはユパの手伝いができたらいいのにと考えていました。
腐海を焼き払うというクシャナに対して異議を唱える大ババの言葉。先人たちが辿った道とその教訓がここに。
この千年、いく度も人は腐海を焼こうと試みてきましたが、その度に王蟲の群れが怒りに狂い、地を埋め尽くす大波となって押し寄せてきました。
王蟲は国も街も滅ぼし、自らの命が飢餓で果てるまで走り続け、やがて王蟲のむくろを苗床にして胞子が大地に根を張り、広大な土地が腐海に没したといいます。
王蟲の暴走に迎撃すべく、クシャナは巨神兵を発動。凄まじい威力で王蟲をなぎ払うも、巨神兵はほどなくして崩れ落ちてしまいます。
恐ろしい兵器に頼って自然を破壊し、生き延びることに何の意味があるのか。大ババは“定め”を受け入れようとします。
命を賭して王蟲の怒りを鎮め、風の谷を守ったナウシカ。悲しみにくれる谷の人々。すると王蟲がナウシカに心を寄せ、黄金の触毛が無数に伸びて光の粉が舞います。
光り輝く無数の触毛の上でゆっくりと目を覚ましたナウシカは、王蟲の体液で真っ青に染まった服を纏い、まるで黄金色の草原を歩いているかのよう。『風の谷のナウシカ』屈指の名シーンです。
“その者 青き衣をまといて金色の野に降り立つべし”
その光景に涙を流す大ババは、「古き言い伝えはまことであった」と心を震わせます。
この作品はロマン溢れる感動を呼び起こすと同時に、環境汚染や自然破壊といった現代社会が抱える問題が浮き彫りに。そして、“武器を持たず”人にも蟲にも寄り添い続けるナウシカの愛と優しさは、今もなお私たちに大切なことを教えてくれているのです。
| 作品名 | 風の谷のナウシカ |
|---|---|
| 放送形態 | 劇場版アニメ |
| シリーズ | スタジオジブリ |
| スケジュール | 1984年3月11日(日) 【TV放送】 2026年8月14日(金) 金曜ロードショーにて |
| キャスト | ナウシカ:島本須美 ジル:辻村真人 大ババ:京田尚子 ユパ:納谷悟朗 ミト:永井一郎 ゴル:宮内幸平 ギックリ:八奈見乗児 ニガ:矢田稔 アスベル:松田洋治 ラステル:冨永みーな クシャナ:榊原良子 クロトワ:家弓家正 |
| スタッフ | 監督:宮崎駿 脚本:宮崎駿 プロデューサー:高畑勲 作画監督:小松原一男 美術監督:中村光毅 音楽:久石譲 |
| 公開開始年&季節 | 1984アニメ映画 |
