
『無自覚聖女は今日も無意識に力を垂れ流す』高橋李依さん×古川慎さん×白石晴香さんインタビュー|登場するキャラクターたちの色々な側面から“人の成長”を描いた物語
あーもんど先生による小説を原作としたTVアニメ『無自覚聖女は今日も無意識に力を垂れ流す』が、2026年6月30日(火)よりAT-Xほかにて放送中です。
アニメイトタイムズではカロリーナ役の高橋李依さん、エドワード役の古川慎さん、フローラ役の白石晴香さんにインタビューを実施。
それぞれが演じるキャラクターの印象や作品全体の見どころはもちろん、大きな確執を抱えた高橋さん演じるカロリーナと白石さん演じるフローラの関係性についても語っていただきました。
カロリーナが第1話までに至るまでの部分は大切にしたかった
──原作やシナリオで作品に触れた際の印象をお聞かせください。
カロリーナ役・高橋李依さん(以下、高橋):原作のPVのオファーをいただいた時が最初に物語に触れた機会でした。その時からカロリーナとエドワードのピュアな距離感が大好きで。確か、古川さんと一緒に収録しましたよね?
エドワード役・古川慎さん(以下、古川):録りましたね!
高橋:自己否定や自信のなさが絡まった恋愛ということもあって、上手く行かなかったりもどかしかったりするんだけれど、その塩梅を愛おしく感じていました。
古川:ジャンル的には、悪女ものや令嬢もののひとつになるのかなと思いますが、その中でも他者に対するかなり湿度の高い感情の描写であるとか、そういった部分の表現力が物凄く強い作品だと思っています。
カロリーナはそういう感情を受ける側に回る立場ですが、それが生々しくあればあるほど、その後の救済への道が華々しく、輝いて見えてきます。
キャラクターひとりひとりがその生々しい感情の中で、どういう風に変わっていくのか、変われないことがどれだけ悲しいことなのか、そういうところを伝えたい。そう感じる部分が多くありますので、多面的な見方が出来る作品なのかなと思います。
フローラ役・白石晴香さん(以下、白石):オーディションの時に原作を読ませていただきました。自分がこれまでどういう風に生きてきたのか、周りの環境がどうだったのか、それによってそれぞれ考え方は変わってくると思うのですが、そういったものの大きさを私もこれまでの人生の中で感じてきたけれど、この作品で改めて再認識しました。
一方で、その環境も人との出会いも、きっかけひとつで変えていけるのだなとも思えて。エドワードを含めたカロリーナを見守ってくれる人たちも、温かくて協力的で、愛に溢れた人たちばかりなんです。
中には裏切り者もいるのですが、それでもそうやって人に恵まれたのは、カロリーナの本質的な部分が温かいから。挫けずに前を向いていれば、いいこともあるんだなという希望的な見方ができるんです。
一方、フローラを中心に見ていくと、彼女が聖女だと呼ばれたが故の苦悩も描かれていて。個人的には、色々な側面から“人の成長”を描いた物語だと受け取っています。
──続いて、みなさんが演じられているキャラクターの印象もお願いします。
高橋:カロリーナは作品タイトル通りの存在なので、大成することは間違いないだろうな、とついつい先の展開を読んでしまいがちなのですが、彼女が第1話に至るまでの人生観は大切に込めていきたいと思っていました。
その人の考え方や発言を形作るのは、周囲からかけてもらった言葉や、自分の力が発揮できる環境にいられたかという要素が大きいと思っていて。第1話時点のカロリーナは、本来の彼女らしくない場所から物語が始まっている印象で、発言自体も、常に自信のなさがベースになっています。
自分は落ちこぼれだという大前提から来ている言葉が多く、それが幼い頃からカロリーナにとっては日常でした。そんな彼女の生い立ちを感じていただけたら嬉しいです。
古川:最初の時点でエドワードは頼もしいヒーローという印象があると思います。だけど、それと同時に人間的な未熟さもしっかり描かれているので好感を持ちました。なんでもそつなくこなすし、強くてかっこいい……それでいて頼り甲斐まであるとなると、個人的には少し隙があってほしいなって思うんですよ。
こと戦においては残酷無比なんて物騒な四字熟語で語られてしまう人なのですが、女性と接する時にどうしたらいいのかわからない。一番大事な対話に関しても、自分のような大柄な男では相手を怖がらせるんじゃないかと考えてしまい、どう声をかけたらいいのかわからない。そういう負のループに陥っているくらいには未熟な一面もあるんです。
彼のそういうアンバランスなところはギャップがあるので好かれるだろうなと思うし、本能的にカロリーナの助けになろうとする瞬間は頼もしさを感じると思います。そこは自分でも自信をもって行動しているのだと思いますが、いざ大切な存在であるカロリーナを前にすると何もできなくなる。
そういう初々しいところは応援したくなるし、奥手な部分がこの先どのように変化を見せていくのか、成長が楽しみでもあります。でもそれは、カロリーナと一緒に歩んでいるからこそ。そうやってふたりで大人になっていくような印象も受けました。
白石:フローラはこの作品のヒールポジションだと受け取られると思います。ですが、そんな彼女にも背負わされてきたものがあり、弱音を吐くことや小さい頃から涙を流すことが許されなかったという一面も持っているんです。
そして、唯一手を差し伸べてくれたお母さんが亡くなってしまったきっかけがカロリーナだと思っているからこそ、カロリーナに対して憎しみの感情を抱くようになっていく。その憎悪が大きくなればなるほど、カロリーナにより辛く当たるようになっていきます。
きっとお母さんが亡くなるまでの彼女はこうではなかったんじゃないかと想像するのですが、なってしまったからにはそんな彼女が背負った苦労や憎しみを表現できるように、どの言葉にもひねくれ感や恨みを込めてお芝居しました。
難しい役でしたが、フローラも裏で努力していることや、実際はこうありたいんだという理想の姿が強くあること。それをこの作品を追いかけ続けて下さった方に感じ取っていただけると嬉しいです。
序盤のフローラはカロリーナへの憎しみばかりですが、カロリーナが幸せを掴んでいく姿を見ることで、いつしかこれまでと違った憎悪が沸いてくる。カロリーナの状況が変わると、それに応じてフローラも違う形で変わっていきます。
きっとカロリーナに共感してくださる方が多いと思います。だけど、フローラからも理想の自分と今の自分が乖離している苦しみみたいなところを感じとっていただけるんじゃないかなと。
──アフレコでの掛け合いについても伺わせてください。カロリーナとフローラはどのような雰囲気で収録を進めたのでしょうか?
高橋:フローラとの掛け合いで意識したのは、相手のお芝居に対する反応の部分です。酷いことを言われて無意識にビクビクしてしまうこともそうなのですが、その状況が半永久的だったんじゃないかという空気を、お芝居で作れないかなと思ったんです。
白石:こちらは何があろうとカロリーナに腹を立てるので、常に食ってかかるような意識でお芝居しました。「あなたがいなければ」と移動中の馬車の中ですら言ってしまう。フローラにはカロリーナへの強い怒りがあり、高橋さんがお話しされた通り、それは今生まれたばかりの感情ではないんです。
だからふたりきりにされてしまうようなことでもなければまず話すことはないし、フローラを演じる時は、普段の自分では抱くことがないような強い感情を常に心に置くようにしていました。
──エドワードについては、カロリーナとの掛け合いはいかがでしたか?
古川:エドワードは基本的に女性の扱いに慣れておらず、奥手なのでそこまで積極的にいけるタイプではありません。幸いなことに、これまでそういったキャラクターを任せていただくことが多かったのですし、僕の中にある似たところを被せていけたら良いなと思っていました。
個人的な考えではあるのですが、役者自身が持っているちょっとした一面がキャラクターにハマるから任せていただけるパターンと、その人が作ってきたキャラクターがピッタリ合致したから任せていただけるパターンのふたつあると思っていまして。
エドワードは奥手で女の子とどう接したらいいかわからないけれど、好意は伝えたい。そういう時に助けてくれる人がいるから、今の立ち位置で居られるんです。カロリーナと対面した時は、この子のために何かをしたいと考えた結果として色々と初々しい行動をとっています。
そういうところが理解できるといいますか、共感を覚えるような部分があり、シンクロしたんじゃないかなと。その反面、戦闘などのこれまでエドワードがやってきたことに関しては自信を持って行動していることがわかるので、ドスを効かせるように演じてみました。
高橋さんがこちらのお芝居を受けるのが上手なので、綺麗に巴投げして次に回してくれるんです。おかげで爽快感を覚えるような気持ちよさがあって、本当に毎回助けられていました。
後は低い声を意識してら行の言葉を発すると結構舌が回らず言いにくいものですから、カロリーナという名前が言いづらかった(笑)。後にリーナと呼ぶところも少し言いにくさはありましたが、そこは絶対に噛まないように頑張りました。
高橋:決められた尺の中で説明しなきゃならないキャラクターも大変なので、結果みんなで頑張っていましたよね。
白石:私もかなり苦労しました!
モノローグがとても長かったから、台本のページがマーカーペンのインクで真っ黄色になりました。要所要所で難しい用語やカタカナの名前が出てくるので、せっかく途中まではいい感じでも、その後でちょっと噛んでしまった時は悔しかったです。
古川:「マナ過敏性症候群」もめちゃくちゃ苦労したよね。途中から台本でもマナ過敏症と短縮されたので、そのままで……と思っていたら、しっかりディレクションで全部ちゃんと言ってほしいとなり……(笑)。
一同:(笑)。
高橋:いつ大変な言葉のお当番が回ってくるかわからないから、台本を開いたときに「あ、説明当番きた!」と思ったり(笑)。イントネーションやモノローグ、ナレーションの住み分けなど、細かくメモして頑張っていました!































