
『学園アイドルマスター』世界中のことねPが思っている「俺の藤田ことねが一番可愛い」理由を言語化しようと思ったら彼女の可愛さの根源を見つめ直すことになった【担当アイドルへ愛を叫ぶレビュー&考察】
藤田ことねはカッコいい
藤田ことねが可愛い理由に迫るため、少しだけ目線を変えてみたい。彼女は本当に“可愛い”だけなのだろうか。否、ことねの芯にあるものは極めてタフで泥臭く、そして“カッコいい”ものだと思っている。
彼女が通う初星学園は私立の一貫校であり、いわゆる金持ちのお嬢様方も多数在籍している。代表的なところだと“一番星”の十王星南や倉本財閥のご令嬢・倉本千奈などがそれにあたるだろう。さらに周りを見渡せば同学年の花海咲季・佑芽姉妹は実家にトレーニング施設を内蔵させるようなアスリート一家の出であり、言及はされていないが紫雲清夏も幼いころからバレエを習っているなど、いわゆる「実家が太い」と表現できる家庭は少なくない。
その中で「貧乏」と直接的に表現されるのは藤田ことねただ一人だ。
初星学園の学費は年額890,000円(漫画『学園アイドルマスター GOLD RUSH』より)。元総合プロデューサーである小美野日出文氏いわく「私立学校でかかる金額を調査して平均を取った」というリアルな数字。藤田ことねはこれを稼がなければならない。稼げなければ来年学園に彼女の籍はない。
そして彼女が金銭に敏感になる理由は学費だけではない。彼女の家は貧乏であることに加え大家族であり、“ちびども”にも金が必要だ。そしてことねは学生でありながら金を稼ぐ機会と能力を得ることができる特殊な環境にいる。仕送りができてしまうのだ。
コミュで彼女は「ぜーったい成り上がって、大金持ちになってやるからなぁ!」と叫ぶ。これは単なる強欲ではない。実家の状況を理解し、これまでの工面や入学金などを負担してくれた親への謝辞と、養うべきちびどもへの想いが込められた切実な覚悟の咆哮である。
決して学力のみを表す言葉ではなく、世の構造を見る目がある彼女は頭が良いと思っている。そんな彼女は自分の夢がどれだけ無謀なものか、現実を見ながら痛いほど理解しているだろう。
しかし彼女は諦めない。アルバイトとレッスンによる体力の枯渇という圧倒的なデバフを背負った状態でも高額な学費を収めるため働き、アイドルという茨の道を駆けている。その並々ならぬ覚悟と諦めの悪さを「カッコいい」と言わずして何と言うのだろうか。
そして彼女のカッコよさは、その「一本気」な強さにも表れている。
特に彼女が背負っていた重圧が解消されたとき、爆発的な輝きとなって可視化されたように思う。親愛度コミュ第10話における、家族に対する後ろめたさを感じている描写。彼女がアイドルで一攫千金を狙うのはある種の贖罪でもあるように感じたのだ。
それらの不安事項が「N.I.A」編へと至る道のりの中で、プロデューサーの働きにより一気に解消される。プロデューサーは藤田家の家計を見直し、餅は餅屋の考えで借金(利息分)を減額させ、最終的に蒸発していた(と思われていた)ことねパパまで見つけてきた。余談だが、ほぼ情報がない中でことねの父ちゃんを見つけ出したプロデューサーは絶対探偵とか向いてると思う。
長年彼女の羽を縛っていた重りが外れた瞬間、プロデューサーによって好転した状況を噛み締め、ベストコンディションで立っていられるようになったことねが放ったエネルギーは凄まじかった。
ひとたび迷いを捨てた彼女の一本気な姿勢は、見る者の心を激しく揺さぶったのである。筆者はボロ泣きしながらプレイしていた。そしたら普通に月花に負けた、ごめん。



























