
『楽園追放 心のレゾナンス』11.13公開前リレーインタビュー連載 第3回:脚本・虚淵玄【前編】|「脚本は設計図でしかない」――前作から続編へ、アクションと映像表現の進化
脚本とは設計図であり指示書である
──『楽園追放』を作っているとき、こういうことをテーマにしようとか、そういう話は監督とされたのですか?
虚淵:そこはダイレクトに脚本に盛り込まれていたので、意思疎通はスムーズにできていたと思います。ただ、本としてはひたすらしゃべりまくっている、よろしくない脚本ではあったんですよ。そのあたりは全部、声優さんの演技力と演出でうまくフォローしてもらっていたので、ただただ字を読むよりもはるかにわかりやすいものになったという感謝はあります。
──AIに自我が芽生えるのかとか、増えすぎた人口をどうするのか…みたいなSF的な内容はありつつ、最後は「仁義」という言葉でなんとかするあたりが、個人的には面白かったです(笑)。
虚淵:こっちとしては本当にひと言で済ましたフレーズではあったんですけど、印象的な演出で、めちゃめちゃ皆さんの記憶に残ってくださったんですよね。まさか作品を代弁するようなフレーズになるとは、ちょっと想定外でしたけど(笑)。でも「SFと仁義」であり「SFとエロいコスチュームの女の子」という映画ではありました。
──先程の話に戻りますが、脚本的に、セリフが多いというのは感じていたのですか?
虚淵:そうですね。あまりいいことではないですが、自分の手癖で出てしまっていて申し訳なかったですし、監督によってはもうちょっと整理してくれとか、尺を詰めてくれというリテイクがあると思うんです。でもそこは水島さんが「うまくやれると思う」と太鼓判を押してくれて、案の定、絵の動きで持たせてくれていました。
──それは出来上がった映像を観たときに感じることなのですか?
虚淵:これも当時だからというのはあるんですけど、「ああ、ここまでデジタル(CG)で絵が作れる時代になったのか」という感動は、作っている僕らにもありました。時代の移り変わりの現場にいるな、みたいな感動はあったと思います。探り探りでしたけど、これなら前途有望だなと。そういう期待感みたいなものもありました。実際、今では当たり前になってきていますから、思えば昔の話だなぁという気が、今しています(笑)。
──表情が自然でしたからね。
虚淵:そうですね。それにこの作品を手描きでやったら現場が大変になるでしょうね。そのくらいすごいアクションシーンもガンガン出てきましたから、こういうところにCGで作る強みがあるんだなと思いました。本当にいろいろなチャレンジができた作品だったと思います。
──終盤のバトルもすごかったです。
虚淵:僕がアニメで初参加した『BLASSREITER』(2008)の頃からお世話になっていたスタッフの方々が手伝ってくださったシーンでもあるので、その意味でも感謝しています。
──脚本は基本的にはセリフベースで書いていくものなので戦闘シーンについては、こと細かく文字にはしないと思うのですが、そこは、こういう感じにしてほしいという要望を出されるのですか?
虚淵:いや、そこはもう丸投げで、逆にスタッフの皆さんの力でとんでもないものにエスカレートしていくんですよ。だから僕としては感謝しきりなんです。
──『楽園追放 心のレゾナンス』の脚本も読ませていただいたのですが、アクションシーンが絵コンテですごいことになっていて、驚いたんです。
虚淵:観念的なお話な部分は、それだけだと何が何やらという感じなんですけど、そこをまさに演出のアイデアとテンポと興奮で乗り切っていただけるので本当に助かるんです。で、前作以上に今作は助けられた感触があるんですよ。実は脚本の初稿の段階では不安で仕方なかったんです。「これで成り立ちますかね?」と聞いたくらいで。でも、早い段階で水島さんが太鼓判を押してくれて、「なんとかなるから大丈夫」と言ってくれたんですよね。
でも結局、監督がどういう映像を思い描いているのか、僕が察することもできないので、絵コンテを見て「なるほどこうなるのか!」と。そのあと、実際に動いた映像を観たときは本当に驚きで。お祭り騒ぎの画面の端々セリフで締めるところがあって、そこでメッセージがお客さんに伝わるという。その作りが見事なものだなと思いました。
──脚本から映像になる段階で、印象はかなり変わりますよね。
虚淵:結局脚本って設計図でしかないんですよ。というより、このあたりに柱を立てておいてくださいという指示書でしかないので、その柱と柱をどういうもので埋めていくのかというのは、現場の左官屋さんにお任せするしかないんです。で、それがアニメを作る面白さなんですよね。柱さえ立てておけば、想像もできないものすごい建物が出来上がっていくという驚きと興奮があるんです。
──演出家や監督が誰かによって、脚本の書き方も変わるものですか?
虚淵:僕は映像に関するイメージを膨らませるのが苦手なので、そこは毎回お任せになっちゃいます。だから演出を盛ったり、アイデアを盛り込んだりすることがあった上で、過積載にならないくらいには頑丈な土台を作っておこうという思いで脚本をご用意している感じです。
──なるほど。前作はアクションシーンの火力が最後に集中していた印象もあったのですが、アクションシーンも、かなりパワーアップしてそうですね。
虚淵:本当にすごいことになっていると思います。まだ完成したものは観ていないんですけど、その前段階のもので、ここからさらに盛っていくんだなという覚悟のほどが見えたので、僕も完成が楽しみです。何度も何度も驚かされる映像がくるので、そこは期待していただきたいですし、それを全部合わせても見劣りしないラストバトルがあるので、楽しみにしていてください。
──ありがとうございます。【後編】では、『楽園追放 心のレゾナンス』の話を、もう少し深掘っていきたいと思います。
[文・塚越淳一]
作品情報
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楽園追放 心のレゾナンス
あらすじ
人類が肉体や地球を捨て、電脳世界ディーヴァで暮らすようになった西暦2400年。フロンティアセッターのハッキングを発端に、ディーヴァ捜査官アンジェラ バルザックの叛逆が起こる。事件時彼女にハッキングされ、地上に脱走した大勢の保安局のエージェントは、マテリアルボディと共に、パーソナルデータも収納するハードウェアを強奪。その姿・存在を地上に潜め、ディーヴァへの脅威と化した。
アンジェラにより、もたらされた”彼ら”の名は、
”フォールン”
ディーヴァからの捜索命令を受け、ガブリエル達エージェントは、フォールンの正体を追う。未だ地上に遺るナノハザードの影響を乗り超え、彼女達は、フォールン、そして、その謎に辿り着けるのか。
『楽園追放』の物語が、今、再び動き出す−。
キャスト
(C)東映アニメーション・ニトロプラス/楽園追放ソサイエティ2



































