この記事をかいた人

- 藤崎萌恵
- 大阪府在住のライター。小説、漫画、アニメ、映画など“好き”を追い続ける。

孤島で巻き起こる悲劇。厳密には“新一”ではなく“コナン”として関わりましたが、彼にとって特に忘れられないものとなった重要な事件なので、ここでご紹介します。
意味深な手紙と依頼料が届き、コナンと毛利小五郎、毛利 蘭は月影島へ。しかし依頼人のはずの麻生圭二は、12年前に死んだピアニストでした。
不気味に思った小五郎が調査を進めるなか殺人事件が発生。殺人現場には譜面が残され、依頼人である麻生が死んだ時と同じように、ベートーヴェン作曲のピアノソナタ第14番「月光」が聞こえていました。「月光」の調べとともに起こる連続殺人。コナンは麻生が残したという楽譜から真相に迫ります。
コナンの推理により、島民から「成実先生」と親しまれる医師・浅井成実(あさいなるみ)が、ピアニストであった父親を殺した犯人たちを次々と殺害していたことが判明。彼女の正体は、麻生の息子・麻生成実(あそうせいじ)でした。彼は燃えさかる炎の中、ピアノを奏でながら自らの命を絶ちます。
犯人が自殺してしまうという悲しい結末を迎えたこの事件。犯人の自殺を止められなかったことで、コナン=新一の胸に深く刻まれることに。以降、犯人を死なせることなく生きて罪を償わせるという探偵としての信念を強く持つようになります。
「西の高校生探偵・服部平次」と名乗る少年が蘭のもとへ。何かと比較されてきた新一が最近動きを見せないため、大阪から会いに来たのだとか。平次の初登場回であり、コナンが初めて元の姿に戻ったエピソードです。
風邪気味のコナンは平次に飲まされた白乾児でフラフラに。外交官の殺害現場でコナンはその酒の影響で倒れてしまい、その後新一が皆の前に姿を現します。
新一をライバル視して推理勝負に挑んだ平次でしたが、「推理に勝った負けたも、上も下もねーよ…真実はいつも…たった一つしかねーんだからな…」という新一の言葉に感銘を受けました。
後にコナンと平次は第57〜58話「ホームズ・フリーク殺人事件」(コミック12、13巻)で再会。ともに犯人のトリックを推理しながらコナンの様子を観察していた平次は、その正体が新一であると看破。これ以降、平次はコナンの事情を知る良き理解者かつ頼もしい協力者となっていきます。
初恋の人捜しの依頼で長門邸に招かれた小五郎たちは、長門家主・道三の誕生祝いに参加。小五郎を紹介したのは、道三の旧友である服部平蔵でした。平蔵は息子の平次に捜査を託します。
どこか重々しい雰囲気が漂う長門家。その夜、道三の次女・康江の夫である光明が何者かにベランダから突き落とされて死亡。容疑がかかる長男・秀臣の遺体と遺書が見つかりますが、コナンと平次は事件の奇妙な点に気づき始めていました。
推理で真相を暴かれた犯人は、愛してしまった人のもとへ行こうと、ポットのガソリンで自殺しようとします。これをいち早く察知して未然に防いだコナン。その心の内にはやはり、かつて自殺を止めることができなかったあの事件が渦巻いていました。「あのまんま死なせてやった方がよかったんやろか」と呟く平次にコナンはこう主張します。
「犯人を推理で追い詰めて、みすみす自殺させちまう探偵は…殺人者とかわんねーよ…」
このコナンの言葉を平次も心に刻んでおり、後の「浪花の連続殺人事件」での言動からもその影響が窺えます。
遠山和葉・遠山銀司郎・大滝悟郎の初登場回。平蔵と銀司郎はとある連続殺人事件を追っていました。平次は新一が刺殺される夢を見て気になり、コナンたちを大阪へと招待。大阪府警の刑事・坂田祐介が運転手を務め、平次の趣向で一同はパトカーで大阪の街を観光します。
そんななか、パトカーのボンネットに遺体が落下。財布を貫いてナイフで刺すという手口から、大阪府警が追う連続殺人事件の続きとして捜査開始。平次が突き止めた犯人は、彼がよく知る坂田でした。
指名手配犯・沼淵己一郎が父の死に関わっていたことを知り、真相を聞いた坂田は関係者たちを次々と殺害。坂田は連続殺人の罪を沼淵に全て着せて、自殺に見せかけて殺害する算段だったといいます。
追い詰められた坂田は拳銃自殺を試みますが、コナンの言葉を胸に刻んでいた平次は「推理で犯人を追い詰めて死なしたらアカン…」という信念を貫き、体を張って彼の自殺を阻止。腹に弾丸を受けながらも警察官としての誇りを説き、襲いかかる炎から坂田をかついで生還します。
2001年に2時間スペシャルで放送。前半は工藤新一VS怪盗キッドのエピソードで、その日のキッドのターゲットは時計台でした。白馬がいないとスムーズ過ぎて張り合いがないと言って警備を潜り抜けていたキッドですが、警察に助言する新一に阻まれて苦戦することに。
後半は探偵たちが黄昏の館に集められるミステリー。ある日、小五郎のもとに怪盗キッドと思われる人物から招待状が届きます。小五郎、コナン、蘭が「黄昏の館」へ行くと、そこには名探偵たちが集められており、そのうちの一人は高校生探偵の白馬 探でした。
長年隠蔽されてきた過去の惨劇の現場とあって、「僕の知的興奮を呼び覚ますには十分過ぎますよ…」と、白馬は探偵らしい探究心を見せています。また、怪盗キッドのことを「僕の思考を狂わせた…唯一の存在…」と評しました。
案内役はメイド1人とスピーカー付きのマネキン。キッドは人を殺さないはずですが、かつて館で起きた惨劇を繰り返すかのように無情なゲームが始まります。この黄昏の館の元所有者は烏丸蓮耶であることも明かされており、謎を解くと館は黄金に輝く真の姿を現しました。
人魚伝説がある美國島では、不老長寿が叶うという「儒艮の矢」が授けられる祭りが開催。儒艮の矢をめぐる連続殺人事件が発生し、儒艮の矢を授かった和葉が不安になるなか、平次は「オレのそばから離れんなや…」と声をかけていました。和葉もまた「平次が危ない目ェにおうても、アタシが守ったげるから心配せんどき」と伝えます。
捜査を進めるなかで、ある信じがたい事実に辿り着いたコナン。その推理を聞いて信じないと強く反発する平次に、彼はこう突きつけました。
「不可能な物を除外していって残った物が…たとえどんなに信じられなくても…それが真相なんだ‼」
その後、崖から落ちそうになった平次を咄嗟に庇った和葉が転落。その瞬間、平次は迷うことなく飛び出して和葉の手を掴みます。平次は木の枝に掴まるも、2人分の重みで枝が折れそうになると、和葉は「ごめんな平次…アタシの分まで…長生きして…」と願いを込めて平次の手を矢で突き刺し、1人犠牲になろうとします。
しかし平次はそれでも和葉の手を離さず、「う、動くな和葉…動いたら…殺すぞ…」と必死に訴えかけながら、「この女絶対に…絶対に死なせたらアカン」と、心に強く念じていました。
2人で奇跡の生還を果たした後、犯人に向けて「命には限りがあるから大事なんや…限りがあるからがんばれるんやで…」と諭す平次。その視線の先には和葉の姿があり、「なあ和葉…」と心の中で語りかけました。
第238〜239話「大阪“3つのK”事件」(コミック29巻)では、憧れの人が犯人だと信じたくないコナンが、是が非でも無実を証明しようとしていました。
そんなコナンの様子を悲しい目で見つめる平次は、コナンの言葉を心の中で投げかけていました。できないものを除いて残ったものが、たとえ信じられないものでもそれが真実であると。
その後、いくら調べても見つかるのはその人が犯人である証拠ばかり。コナンは犯人と対面し、全ての罪を認めて自首するよう説得しました。
中華料理店で高熱により倒れた蘭は、雨音の中で1年前を思い出していました。第284~285話「中華街 雨のデジャビュ」(コミック34巻)から続くエピソードですが、時系列としては第162話「空飛ぶ密室 工藤新一最初の事件」(コミック21巻)の続き。どんな状況でも手を差し伸べる、新一と蘭の本質が見えるエピソードです。
飛行機の中で名推理を披露した後、無事ロスに到着した新一と蘭は、新一の母・工藤有希子に連れられてミュージカル鑑賞のためニューヨークへ。有希子の友人である女優のシャロン・ヴィンヤード(=ベルモット)と対面し、新一と蘭は舞台裏を見学していました。その際に天井の鎧が落下し、真下にいた女優を蘭が救います。
その後、上演中に殺人事件が発生。「闇の男爵夫人(ナイトバロニス)」の通り名で知られる有希子を介して、新一が推理して解決しますが、その犯人は蘭が助けた人物。蘭は自分が助けたせいで殺人事件が起きてしまったと思い悩んでいました。
その夜、廃ビルで通り魔に遭遇した蘭は、非常階段から落ちそうになっている通り魔(=ベルモット)に咄嗟に手を伸ばし、駆けつけた新一も蘭に協力。なぜ自分を助けたのかと問われた新一は、「わけなんているのかよ? 人が人を殺す動機なんて、知ったこっちゃねーが…人が人を助ける理由に…論理的な思考は存在しねーだろ?」と言い切ります。
蘭はこの言葉に心を動かされており、それは新一への想いがどこか変わった瞬間でもありました。
一方で、神様の存在を否定し、これまで自分にエンジェルは微笑んでくれなかったというベルモットは、新一と蘭の言葉や行動に心を打たれていました。以後、ベルモットにとって2人は、宝物のような特別な存在となります。
2007年に2時間スペシャルで放送。越水七槻と時津潤哉の初登場回です。
昇岳寺での事件解決後、コナンは東京滞在中の平次から「探偵甲子園」という企画の話を聞かされます。東西南北の各地域を代表する高校生探偵4人が推理勝負をするというもので、平次は西の代表として呼ばれていました。
コナンは助手のふりをして平次と一緒に収録場所の孤島へ。島のロッジに着くと、そこにはイギリス留学中の白馬も招待されていました。ばあやが勝手に依頼を引き受けてしまい、日本に舞い戻ったのだとか。白馬は連絡が取れなかったという工藤新一の代わりに東の代表として企画に参加したといいますが、実は元々参加者に入っていました。
東西南北の高校生探偵たちによる探偵甲子園が始まるなか、北の代表の探偵・時津が死体で発見。残りの探偵たちが捜査を進め、平次は犯人の一瞬の隙を逃さない頭脳戦で真相に辿り着きます。犯人は南の代表の探偵・越水でした。殺される直前まで当時の事件の間違った推理を自慢げに話していたという時津は、越水に「取るに足らない男」と評されています。
また、父親が警視総監と警視監で、似たような境遇にある白馬と平次の推理対決も見どころ。平次のことを父親から話を聞いていた白馬は、もっとできる探偵だと思っていたのに探偵として熱すぎる行動に失望したと煽っていました。
窓ガラスを割って密室殺人現場に突入するなど、血気盛んな行動を責められていた平次に対し、越水は「(被害者の)死を確信するまで、生を信じ抜く事が名探偵の名探偵たる所以だもの…」と称賛。これはコナンも同意しているようでした。最後に彼女は、「君達とホントに探偵甲子園やりたかったな…」と呟いています。
白馬はというと、怪盗キッドを追っているからか「泥棒=犯人」と無意識に考えるようになっていたらしく、平次に「自分の頭ん中には泥棒イコール犯人やっちゅう方程式でも…あるっちゅうんかい⁉︎」と指摘されていました。
10年前、海水浴に来た幼い新一と蘭は、赤井秀一と弟の羽田秀𠮷、妹の世良真純、母親のメアリーと知り合っていました。こちらは赤井一家集結の貴重なエピソードで、世良が“魔法使い”と密かに呼ぶ新一との出会いが描かれています。
世良はこの時に長兄の赤井と初めて対面し、何をやっても笑わない赤井を笑わせようと奮闘していましたが上手くいかず。すると、赤井を観察していた新一が的外れの推理を披露したことで赤井が声に出して笑い、その後も兄の笑いを引き出した新一は世良にとって“魔法使い”のような存在に。
この時、赤井に何者かと尋ねられた新一は、「シャーロック・ホームズの弟子」だと答えていました。その海では車が崖から海に転落する事故が起き、赤井が幼い新一、蘭、世良にも協力を頼みながら事件を解決へと導きます。
コナンは、その時に赤井と一緒にいた赤井家の次男が“太閤名人”こと羽田秀𠮷で、母親のメアリーが“領域外の妹”と同一人物であったと記憶を辿りながら確信。
10年前の出会いを忘れていたコナンに、当時を思い出させることに成功した世良は嬉しそうな様子も。あの邂逅以来、世良は新一を密かに“魔法使い”と呼び、身を挺して大切なコナンを守ろうとする姿も見られます。
世良は赤井を「秀兄(しゅうにい)」と呼んで慕っており、憧れの秀兄の影響で始めた截拳道は蘭と互角に戦うほどの腕前に。お気に入りの帽子も彼がよく被っていたのを真似たもの。また、世良は赤井が10年前の事件解決の際に使った決め台詞「Case closed!(真相は見えた!)」を好んで使っています。
ベルツリータワー展望デッキに鈴木財閥が50億円かけて増設した天空の展示室。怪盗キッドから、世界最大級のタンザナイトが飾り付けられたイス「青の玉座」を盗むという予告状が届きます。
モニターで監視していたコナンが展示室に入ると、防犯システムを担当した吉田工業の吉田社長が「青の玉座」で死んでおり、そこには怪盗キッドの姿がありました。その時、今回の防犯システムの助言をしたという白馬の指示で展示場を封鎖。部屋に閉じ込められたキッドは、このままでは殺人犯にされてしまうためコナンに事件解決を提案し、新一になりすましてコナンと一緒に事件の謎を解いていくことに。
コナンとキッドの共同推理、キッドと白馬の対決が描かれる注目回。白馬は工藤新一らしからぬ言動に不信感を抱き、キッドの変装だと見抜いていました。最後はキッド扮する新一を担いで連れて行こうとする場面も。また、新一がキッドの味方をしたと聞いて驚く蘭に白馬はこう伝えています。
「君は探偵というのをわかっちゃいない…そこに謎があれば解かざるを得ない…言い換えるなら…謎を解くしか能がないんですよ…探偵ってヤツはね…」