
『楽園追放 心のレゾナンス』11.13公開前リレーインタビュー連載 第7回:アニメーションリード・八木田肇(MAPPA)【前編】|前作で学んだ“キャラクターをちゃんと置く”という意識
水島精二×虚淵玄 再び。『楽園追放 -Expelled From Paradise-』(2014年)のその先の物語を描く続編『楽園追放 心のレゾナンス』が11月13日に公開されます。アニメイトタイムズでは、公開まで、さまざまな主要スタッフへのインタビューを敢行! その成り立ちから物語に至るまで、多角的に迫っていきます。
連載第7回は、アニメーションリードの八木田肇さん【前編】。『楽園追放 -Expelled From Paradise-』にも参加していた八木田さんに、前作の思い出やアニメーションリードとは何なのかを伺いました。
アニメーションリードの仕事とは?
──アニメーションリードという役職についてお聞かせください。
八木田肇さん(以下、八木田):通常のアニメーター業務はやりつつ、アニメーションのクオリティの基準みたいなものを作っていくことだと思っています。合格ラインである「このくらいのところは目指そう!」という画を先行して作り、それがOKになれば、そこが基準になっていくような感じなのかなと自分では思っています。
──他のアニメーターに指示を出したりもするのですか?
八木田:そうですね。もう一人のアニメーションリードの川崎司さんと2人体制でやっているのですが、NOISEのアニメーターのチェックを手分けしてやっていて、それをアニメーションスーパーバイザーの荻田直樹さんに上げていくような流れになります。
──映画だと、その基準も高くなりそうですね。
八木田:かなり高いと思います。荻田さんのチェックが厳しいので(笑)。引きの絵でそこまでやらなくても…というくらい、かなり細かくチェックされるので、その基準に自分も合わせなければいけないな、という気持ちです。
──荻田さんは厳しいのですね(笑)。
八木田:かなり。これはぜひ書いておいてください(笑)。仏みたいな顔してますが中身は煉獄の修羅です(笑)。物腰は柔らかいですけどいいものを作る姿勢は常に前のめりです。
──厳しいリテイクがくる?
八木田:はい。ただ、そのくらい細かくないと、全体のクオリティって上がらないんだろうなとは思います。自分は結構大雑把な人間なので、自分がスーパーバイザーをやっていたら、抜くところは抜く、みたいなことは全然あると思うんですけど、荻田さんは一切妥協をしない方なので。
──八木田さんは、映画『HELLO WORLD』で、荻田さんと3Dアニメーションディレクターを担当されていましたよね?
八木田:当時、2人ともグラフィニカにいたんです。そこも2人体制だったんですけど、自分がグラフィニカ社内のチェックをして、荻田さんは外の会社を見るような振り分けだったと思います。この頃は自分の下にリードアニメーターが何人かいて、そこである程度クオリティをコントロールしてくれていたものを、自分がチェックする形でした。自分も手を動かしたかったので、ディレクション作業半分、アニメーター作業半分みたいな割合でやっていたんですけど、荻田さんはガッツリ管理というか。作業もされていたと思いますが、そこの割合は自分と違っていたと思います。ただ、外の会社の上がりをチェックするほうが大変なので、あれは荻田さんでないとできなかったことだと思います。
──八木田さんは、プレーヤー側でいたいという思いがあるのですか?
八木田:そうですね。今回も基本的にはプレーヤー側で入ったんですけど、途中で協力会社さんも入る体制になったので、「アニメーションリードとしてやってもらいたい」という話をいただいた感じになります。それと、現在はMAPPAに所属しておりますが、今時点はこの『楽園追放』の仕事だけを行っています。
──事前にいただいた資料によると、八木田さんが影響を受けた作品は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)なんですね。
八木田:展開の面白さというか、つなぎ目なくどこをとっても面白いというのがすごくて、大人になってから観ても面白いんですよね。子供の頃の記憶を膨らませているということではなく、普通に観ていてずっと面白い。「これ以上完璧な作品って、この世にあるんだろうか」と思いました。
──これぞエンターテイメントですよね!
八木田:最近、劇団四季でミュージカルもやっていて、それも面白かったんです。
──どんな媒体でも面白いということは、構造が完璧なんでしょう。
八木田:そうですね。次に何が起こるんだろうって、ずっとドキドキハラハラが続いているので。
──その他、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988)、『パーフェクトブルー』(1997年)、『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』(2020年)とお伺いしました。全部名作ですね。
八木田:『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』は、最近観たアニメの中で一番好きで、何度も観返しています。最近の日本のアニメは、画を盛って派手にしていくスタイルが流行りのような気がしているのですが、『羅小黒戦記』を観たとき、画がスッキリしているけど見応えがあったんです。昔の日本のアニメってそういうところがあった気がするのですが、それを昇華させたような感じがしたんです。キャラクターのシルエットとか動きでお客さんにわかりやすくしているところもあるんですけど、それだけで面白いんだということを再確認しました。
──『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』(2025年)も面白かったですからね。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』はいかがですか?
八木田:シリーズもいろいろ観ていますが、富野由悠季監督作品の中で一番好きなのは『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』かもしれないです。政治的な謀略や戦術などリアルな戦争に近いものを感じます。戦闘描写も無駄がなく特にアムロの戦いは躊躇なく敵を倒していくのでジオン目線で見ると恐ろしいなと。戦場に出たクェスがニュータイプの感覚で気持ちが悪くなる描写もありますが実際戦場に出たらニュータイプでなくともそういう感覚になりそうです。
──戦争の無慈悲さみたいなものを痛感しますよね。
八木田:それを観て、やっぱり戦争は怖いなとか、大人になって想像がついてくるとリアルに感じたりして、エンタメだけど恐ろしさみたいなものを感じたアニメでした。『パーフェクトブルー』は、もうすごいとしか言いようがないです。今敏監督作品の中で一番好きで、昔、近所のビデオ屋にジャパニメーションコーナーという棚に置いてあって、借りて観たんですけど、衝撃を受けました。それまでサスペンスとかは観てこなかったんですけど、観ているとだんだん自分自身も夢なのか現実なのかわからなくなってくるような演出に引き込まれ感銘を受けました。































