
「だから原作も面白い、アニメも面白い、両方見てね!となったらありがたいです(笑)」──アニメ『うちの弟どもがすみません』第15話放送後:難波日登志 監督インタビュー
アニメでもしっかり描きたかった第12話のベランダでのシーン
──コメディ部分に関してですが、糸ちゃんの顔の表情変化はもちろん楽しいのですが、大空直美さんの声が、そこにすごくハマっているなと思いました。
難波:本当に大空さんに糸を演じてもらうことができて、大正解だったと思っています。
──キャスト選びは掛け合いでのオーディションだったそうですが、やはりバランスを大事にされたのですか?
難波:一番はきょうだいのバランスですね。ただ、この作品の肝は糸の声優をどなたに頼むかだったんです。一応4兄弟も込みでオーディションをして、いろいろな方の声を聞いたんですけれど、糸は喜怒哀楽を表現することができて、そこにイヤミがなく好感度も高い、なおかつ明るさがある方が良いなと思っていたんです。
最終的に何人かの候補が残ったのですが、その中で自分とオザキ先生が一押ししていたのが大空さんでした。なので、そこで自分が作ろうとしているアニメの糸のイメージと、オザキ先生のイメージが一致しているんだなと思えて、安心したところはありました(笑)。
──コメディはもちろんですが、モノローグでのシリアスさのギャップがまた良いんですよね。
難波:ただ単に賑やかな女の子というわけではなく、心情も表現することができる、技量のある声優さんだなと思いました。で、大空さんが決まれば、必然的にその相手というのも決まっていきました。
源は糸と誕生日が1日違いなんですよね。そうなると長男っぽい立派な感じがありつつ、糸と同じくらいの年齢感で、カッコよく、自分の感情を上手く表現することができないニュアンスを持っている方。さらに愚直に相手のことを信じて突き進んでいくようなキャラクターになるので、それを考えたときに、増田俊樹さんが良いなと思いました。
洛は、それと相反して理知的なイメージを持った方ということで八代拓さんになりました。柊は一番難しかったですね。2クール目になると急に成長して大きくなっちゃうので(笑)。
それを表現できる役者さんで、なおかつ2クール目は、糸や源を思って行動することが増えてくるので、意思の強さがあり、なおかつオタクの要素は抜かない…そんな難しい役ができるのは小野賢章さんかなと思いました。
類は、あのキャラクター性ですから、かわいくて、わがまま三昧な末っ子というイメージの演技を表現された寺澤百花さんに決めました。他のキャラクターもイメージに合う方を選ぶことができて、本当に助かりました。
──オーディションでは違う相手と掛け合うので、最終的にはパズルを組み合わせるようなことになると思うのですが、第1話で5人が揃ったときに調整することはなかったですか?
難波:皆さん上手い方ですし、完璧にパズルがハマった感じがしたんですよ。だから、そこから大きく変えてくれという話はしなかったです。あえて言うと柊の年齢感や、ちょっと表に出てないような感じを出してほしいみたいなことを言ったくらいで、それでも、特に大きく変えた記憶はないです。
──脇を固めるキャラクターは、どのように選んでいったのでしょうか?
難波:「この方はこういうお芝居ができる」というのがわかっている方を選ばせていただきましたので、自分としては安全牌だったかもしれません(笑)。ただ、逆に言うと成田家のきょうだいたちは初めての方ばかりだったんですよ。ですので、脇は知っている方を置かせてもらった感じです。
──観ていて、行友役の松岡禎丞さんが、自由にアドリブを入れてそうだなと感じました(笑)。文化祭が特に面白くて。
難波:本当にそうなんですよ(笑)。松岡さんは、これまでもいろんな作品でご一緒させていただいていて、アドリブも上手いし、その場その場で、受け答えしていただける方なので、安心してお願いしていました。ちなみに松岡さんのアドリブは、本番前のテストが、ものすごく面白いんです(笑)。そこでバカ笑いして、本番では役としてハマるアドリブをぽんと入れてくる上手さがあるので最高でした。文化祭とかは笑いながら観ていましたよ。
──ここまでで、もう一度観てもらいたいシーンと言うと、どこになりますか?
難波:もちろん全部観返してもらいたいのですが、お話的には、1クール目のラストにあたる第12話の家族の話をする源と糸でしょうか。ここは、実はこの作品の肝になる部分だと思っているんです。
この作品をやる中で、源たちの実のお母さんの存在の大きさというものを、あそこでちゃんと語らせたかったんです。原作にもあるシーンですが、アニメーションでもしっかり描きたかったので、あそこは何度でも観ていただけたらと思います。お芝居もすごく良かったので。
──ベランダでの会話のシーンですね。
難波:そうです。あそこも涙が出るくらい芝居が良くて助かりましたし、良い感じでアニメーションを作れたのかなと思います。動きのあるシーンでもないし、語るだけのシーンではあるんですけれど、寒い雪の降る中での二人のやり取りは、1クール目の肝だったと思います。
糸と源の出会いから始まり、源はやっぱり母親のことを気にしつつ糸を受け入れて、家族としてやっていこうとしている。そんな彼の本心が見える部分でもありますし、そこで家族になろうと頑張ってきた糸が、お母さんのことを聞いて涙しちゃうところとかも、家族ものとしても、本当に良いシーンだったなと思います。
──その前のコメディがあるからこそ、生きる感じはありましたね。
難波:そうなんですよ。その辺りがこの漫画は、本当に!よくできているんです。オザキ先生の漫画がすごいんです。笑いだけでなく、笑ったら急にストーンと真面目な感じに持っていったり、真面目な部分で感動していたら、ちょっとギャグを入れて茶化したり、その緩急がすごくよくできているので、これを使わない手はないなと思って、アニメにしているんです。だから原作も面白い、アニメも面白い、両方観返したい!となったらありがたいです(笑)。
──コメディで面白かった話数はありますか?
難波:先程話したから、どうしても文化祭が浮かんでしまいますね(笑)。お芝居が面白かったし、ネズミ耳を付けた糸もかわいくて仕方がなかったし。宇田川先輩に翻弄されて涙したり、喜怒哀楽が全部入っているから、第8話は最高でした。
ただ、文化祭もそうですが、その後の修学旅行でもキスしてしまって、その後ドタバタするし、本当に最高の物語とお芝居が続くので、やっぱり全話観返してほしいですね(笑)。文化祭とか修学旅行とか、特別な舞台が用意されていると、普段出ない感情がポーンと出る瞬間があるので、そういう話数は面白いですよね。
──第8話で宇田川先輩が、糸に恋心を気付かせてくれるのもいいですよね。
難波:宇田川先輩はただのかませ犬ではなく、ちゃんとフォローしてくれて、本人の意思はわからないですけれど、最終的に糸と源がくっつくような方向に持っていってくれますからね。
あと脇役で言うと、第13話に出てくる八代梓先生もいい感じで洛を翻弄してくれるので、ここも面白おかしく作れそうだなと思いました。実は1クール目の洛って、あまり活躍する場面が作れず、皆を繋ぐ架け橋の様な存在だったので、2クール目の洛には期待していてください。あとは柊くんも。
──ここからの柊は、かなり見どころですからね。
難波:部屋から出ることができなかった柊が、外の世界を知り、そこで糸のことをどう思っているのかがはっきりしてくるので、ここからの楽しみになりますね。
──第15話はいかがでしたか?
難波:第15話は、まさに背が一気に伸びた柊くんが出てくるんですよね。糸に「……誰?」って言われたり、ギャグかと思いきや大事な伏線になっていて、そのあと糸とどう絡んでいくのかのスタートになる話数なんです。なので、柊を気にして観てもらえると嬉しいです。
小野賢章さんいわく、大きくなった柊をベースにして、その前に出てくる柊をちょっと変えたみたいなことを仰っていたので、やっと大きくなった柊の声が聞けるというところはミソかもしれません(笑)。
──すごく良い曲が揃ったOP/EDテーマに関しては、監督は何かお願いをしているのですか?
難波:主題歌に関してはアニプレックスさん主導で動いておりました。リストをいただいて、「このアーティストはどうですか?」というやり取りはもちろんしていて、それを確認してお願いをしているんですけど、自分の想像をはるかに越えた良い曲が、1クール目も2クール目も上がってきていて、すごく嬉しいというのが正直な感想です。
──特に、第12話の監督が上げてくれたベランダのシーンでは、そのあとにお墓参りに行くところで、汐れいらさんの「Clover」が流れて、歌と糸のモノローグといい感じに混じり合っているのが感動的でした。
難波:すごく良い曲だったので、本編の中でかけたいなと思いながらコンテを切りましたから。個人的に汐れいらさんのファンなので良かったです。
──2クール目の主題歌担当アーティストの似顔絵も描いていましたね。
難波:1クール目のDISH//さんと汐れいらさんも描いているんですけど、2クール目のねぐせ。さんとミーマイナーさんも描かせていただきました。2クール目のねぐせ。さんの「LOVE & LIKE」と、ミーマイナーさんの「まばたき」もすごく良かったので、曲を聴きながら、絵を描きました(笑)。
──では最後に、作品のファンへメッセージをお願いします!
難波:原作が最高ですし、それをアニメ化する上で、自分の中では良いスタッフを揃えてチャレンジすることができたと思っています。私自身、初めての少女漫画原作のアニメ化ですので、よければ最後までお付き合いいただけるとありがたいです。
まだ原作が続いている中、アニメは一旦ここまでになるのですが、最後は少しオリジナルの要素も入れていい感じに終わるようにしています。そして、最後まで観終わったあとに「良い家族だなぁ」と思ってもらえるように作ったので、それを確かめてもらえたら嬉しいです。
作品情報
〇放送情報
2026年7月3日(金)より毎週金曜24:00~TOKYO MX、群馬テレビ、とちぎテレビ、BS11にて、
ABCテレビは7月8日(水)より 毎週金曜26:45~順次放送!
〇配信情報
7月3日(金)24:00よりdアニメストア・ABEMAにて地上波同時最速配信
7月7日(火)12:00よりその他配信プラットフォームにて順次配信予定
あらすじ
キャスト
(C)オザキアキラ/集英社・「うちの弟どもがすみません」製作委員会



































