この記事をかいた人

- わたなべみきこ
- 出産を機にライターになる。『シャーマンキング』『鋼の錬金術師』『アイドリッシュセブン』と好きなジャンルは様々。

2026年4月に第1期が放送され、続編となる第2期の放送が10月1日よりスタートしたアニメ『氷の城壁』(原作・阿賀沢紅茶先生)。
人と接するのが苦手な主人公・氷川小雪と幼馴染の安曇美姫、美姫の友達・雨宮湊と日野陽太の4人を中心に、不器用にすれ違う高校生たちの群像劇が描かれる人気作です。
本稿では、各話のレビューをお届け! 今回は第18話「緩解」。コミュニケーションから逃げないことがいかに大切か、痛感する回となりました。
まずは冒頭の月子の「本命に脈がないからって本命じゃない人と付き合う人と彼女と別れさせてまで小雪ちゃんが付き合いたいかどうか」という言葉……あまりにド正論すぎました。
今の湊の選択は端から見るとあまりにも不誠実で、私も月子の立場なら小雪の恋を全面的に応援したいとは思わないでしょう……。
友達を大切に思っているからこそ、いくら片想いをしているとはいえ不誠実な人とは付き合ってほしくないですもんね。月子ちゃんがまるで私(視聴者)の代弁者のようです。
そう考えるとやはり桃香の告白を受け入れた湊の選択は大きな間違いだったと言わざるを得ません。いくら本人たちが了承していることとはいえ小雪の友達からも、桃香の友達からも悪印象しか持たれないぞ湊……。
また、私は月子の気持ちに共感すると同時に、今まで孤立していた小雪にこんなにいい友達ができたことをとても嬉しく思いました。美姫と同じように月子ともどんどん深い友人関係を築いていってほしいと思います。
恋愛も素敵なものですが、同性の友達との深い信頼関係も同じくらい尊いものですから!
その後、小雪の中学時代の元カレ・五十嵐と鉢合わせし、交際当時のことが両者それぞれの目線で描かれる展開に。
状況は全く違うものの、好きじゃない相手と付き合うという点に関しては、小雪も五十嵐相手に湊と同じことをしていたんですよね。両親が離婚したり学校でも嫌がらせを受けたりと心が疲弊している中で、自分を好きだと言ってくれた相手に縋りたくなる気持ちはよくわかります。
とはいえ、五十嵐はどちらかといえば苦手な方だっただろう相手。付き合っただけで簡単に好きになれるはずもありません。これは今の湊にも言えることですね。
強引で威圧的な態度の五十嵐。小雪視点で見ていると嫌悪感を感じてしまいますが、中学生男子ならあんなものだよなあ、とも思います。
ここで注目したいのは「俺以上にお前のこと好きな奴なんていねーだろ」という五十嵐の言葉。
言った本人は「他にも小雪のことを好きな人はいるだろうけど、俺が一番が好き」と言いたかったのでしょうが、家庭でも学校でも自分の居場所を失ったように感じていた小雪にとっては「(俺以外は)誰もお前のことなんか好きじゃない」という呪いのような言葉として伝わってしまいました。
でも、五十嵐がそれに気が付くことはありません。もう少し小雪にちゃんと歩み寄りをしていれば……と思いますが、中学生かつ初カノの五十嵐にそれを求めるのは少々酷かもしれませんね。
何にせよ、同じ言葉でもこれほどまでに齟齬が生まれるとは。気持ちを正しく言語化して伝えることのなんと難しいことか……改めて言葉の恐ろしさを感じてゾッとしてしまいました。
鉢合わせした小雪と五十嵐はふたりきりで話すうちにどんどんヒートアップ。交際当時に言えなかった不満を面と向かって言い合っていましたが、小雪ってこんなに激しい言い合いもできるんだ、と驚きました。
付き合っていた頃にこうやって不満をぶつけられなかったのは、それだけ心が疲弊していたからでしょうね。少し大人になったこと、高校で楽しく過ごせていることで心に余裕が生まれたからこそ、こうやって遠慮なしに気持ちを吐き出せるのでしょう。
一方の五十嵐も小雪と話すためにアイスを奢ってあげたり食べ終わったアイスのゴミを捨ててあげたりと、気遣いができるようになっていて精神的な成長が見られます。
苦しい状況下で好きでもない五十嵐に縋ってしまった小雪も、態度や伝え方を間違えていた五十嵐も、両者ともに子供だったのだなと感じる一幕でした。とはいえ、気持ちが一切通じていなかった五十嵐はさすがにちょっとかわいそう……(笑)。
また、小雪は五十嵐との会話を中学時代と比べて「傷つきもしないしいちいち腹も立たない」「適当で楽」と感じていました。ということは、傷ついたり腹を立てていた中学時代は、小雪が五十嵐に何かを期待していたのでは、と私は思ったのです。
対人関係で苦しかった当時の小雪は、自分を好きだと言ってくれた五十嵐にその心の穴を埋めてほしかったのでしょう。ゆえに、五十嵐が彼女の期待に反する言葉や態度を投げかけるたびに傷つき、腹が立っていたのではないでしょうか。
これまで小雪目線でしか語られていなかった五十嵐との交際でしたが、五十嵐側の視点と本話での両者の主張を見ると、お互い様だったんだな、という印象が強く残りました。そして、気持ちをちゃんと言葉にして伝えるということの大切さも。
日本は察する文化ですが、それゆえにコミュニケーションを怠りがちだと常々感じているのですが、言葉にして伝えることから逃げてはいけないと感じさせてくれるストーリーでした。
気持ちを言葉にした結果、五十嵐との呪いが解けるのを実感した小雪。自分の想いをちゃんと伝える大切さにも気付いたでしょう。また、五十嵐から指摘されたように、勝手に想像して人の気持ちを決めつけてしまうのも小雪の悪い癖です。
過去の呪いを自らの力で解いた小雪なら、湊に気持ちを伝えることも、湊の気持ちもを聞くこともきっとできるはず。これはきっと事態が好転する兆しでしょう。
最後の桃香はとても怖くて強敵で一筋縄では絶対いきませんが……がんばれ小雪! 負けるな小雪~‼
| 作品名 | 氷の城壁 第2期 |
|---|---|
| スケジュール | 2026年10月1日(木)~ TBS系28局にて |
| あらすじ | 人と接するのが苦手で、他人との間に壁を作ってしまう高校生・氷川小雪。幼なじみの安曇美姫以外誰ともつるまず、静かに日々を過ごしていた彼女の前に、なぜかぐいぐい距離を詰めてくる男子・雨宮湊が現れて――?孤高の女子・小雪、学校のアイドル・美姫、距離ナシ男子・湊、優しく穏やかなバスケ部員・陽太。不器用で、じれったくて、それでも愛おしい。青春のすれ違いが織りなす群像劇が今、幕を開ける |
| キャスト | 氷川小雪:永瀬アンナ 安曇美姫:和泉風花 雨宮湊:千葉翔也 日野陽太:猪股慧士 霜島月子:新福桜 五十嵐翼:小林千晃 栗木桃香:鬼頭明里 安曇優希:波多野翔 熱川秋音:川井田夏海 |
| スタッフ | 原作:阿賀沢紅茶 監督:まんきゅう 助監督:石井輝 シリーズ構成:中西やすひろ キャラクターデザイン:荻野美希 サブキャラクターデザイン:伊藤依織子 プロップデザイン:濵田悠示 衣装デザイン:琴乃 笛木優奈 美術監督・美術設定:前田慎 色彩設定:のぼりはるこ 3DCGディレクター:酒寄直哉 撮影監督:渡辺実花 編集:吉武将人 劇伴:佐久間奏 田渕夏海 劇伴制作:日音 音響監督:吉田光平 原作協力:マーガレット編集部 チーフアニメーションプロデューサー:柴宏和 アニメーションプロデューサー:伊藤太貴 アニメーション制作:スタジオKAI |
| 主題歌 | OP:「エスコート」THE BEAT GARDEN ED:「花蔭」Superfly |
| 電子書籍 | 『氷の城壁』電子書籍(コミック) |
