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『青ブタ ディアフレンド』石川界人インタビュー|8年間演じてきた咲太への特別な思い

『青春ブタ野郎はディアフレンドの夢を見ない』梓川咲太役・石川界人さんインタビュー|「二十代の頃は共感、三十代では感動」8年間演じてきた咲太への特別な思い

大人っぽさに少女らしさも残した声色や言葉遣いで表現された新しい牧之原翔子

――今回の劇場版の見どころもお教えください。

石川:これは美東美織ですね。彼女に焦点が当たることはある程度想像されている方も多いと思います。これまで飄々として心境を読み切れなかった彼女が、この『ディアフレンドの夢を見ない』で見せる感情を決壊させる演技は、石見舞菜香さんにしかできません。

もうひとつ言うならば、『ディアフレンドの夢を見ない』は美東の物語であると同時に咲太の物語でもあるんです。美東の秘密に迫るところも見逃せないのですが、その過程で咲太が何を得てどう行動するのかにも注目していただけたらと思います。

――掛け合いのなかでしっくりくる、気持ちよくやれたシーンはありましたか?

石川:美東との掛け合いは本当にしっくりきました。石見さんは台本からキャラクターを読み解く力が凄く高いことと、収録現場で相手の芝居を聴いてそこから自分のお芝居の感情のラインを合わせていくのが抜群に上手なんです。僕からすると感覚でそれを全て掴み取っているように見えるので、天才だなと思ってしまいます。

――既に公開されているPVで「透子を返して」と咲太に訴えていることから、美東が霧島透子と関係があると思っている方も多いと思います。

石川:物語の序盤は日常の象徴のような相手と喋るイメージでお芝居していました。そこから美東の抱える問題や、それが物語の根幹に大きく関わっていることが判明してからは大きく印象が変わっていきます。

美東自身は変わらず、そのままの口調や態度でかなりつよい言葉を発してくるんです。でもそこから美東の感情が見えてくるようになるとまた違った表現になる。かなりギャップのあるキャラクターになっているんじゃないかなと。

咲太との距離感に関しても石見さんの言葉のニュアンスの表現が神がかっていて、仲良さげに見えても一線を引かれているかのように感じられると思います。あれから僕自身も、かなりそういったところに敏感になってしまったぐらいです。

――今回は咲太の物語でもあるとのこと。だとすると『ランドセルガールの夢を見ない』の時に現れた小さな麻衣の正体も掘り下げられそうですが、彼女との掛け合いはどのように演じられていましたか?

石川:霞を食うかのような、雲を掴むかのような……おそらく瀬戸麻沙美さんが意図的にやっているのだと思うのですが、あまり僕の台詞を受けてくれないんです。向こうが喋る言葉も誰かに「かけている」ようではないというか。それが絶妙な違和感を引き立たせているので、見ている側もこの子は何なのかと気になってしまいますよね。彼女の言葉は頭の中に刻まれるといいますか、強制的に刻み込まれているような感覚があったかもしれません。

――石川さんご自身は彼女をどんな存在だと捉えていましたか?

石川:難しいところですが、咲太は大人になっていく麻衣さんに取り残されるんじゃないかという感覚を持っていると思うんです。それは自分自身でも薄々感じているのですが、それでもまだこの思春期という枠組みの中にいたいと思ってしまっている。だから麻衣さんにも大人にならないでほしいし、一緒に思春期をしてほしい。そういう咲太の心がああいう姿として現れているんじゃないかと思っています。

今回はランドセルを背負った姿だけでなく、別の姿としても登場することが既に公開された本編冒頭映像でも示されています。それがなぜなのか……そして『ディアフレンドの夢を見ない』では彼女がどう描かれるのかにも注目していただけると嬉しいです。

――現実の麻衣に関してはいかがでしょうか? 本作ではどんな印象がありましたか?

石川:瀬戸さんの安定感といったらなかったです。最早やりやすいとかやりにくいの次元にはなく、瀬戸さんに引っ張られているのか導かれているのか、それすら判断がつかないぐらい自然とお芝居が出てきました。演じていてこれが『青ブタ』だよな……という感覚に陥ったぐらいです。

そんな今回の麻衣さんは、先に大人になった姿を咲太に見せてくれているのかなと思いました。やっぱり常に咲太の先を行く存在ですよね。『バニーガール先輩の夢を見ない』では未熟だった咲太が麻衣さんを最初に救いましたが、今回は大人な麻衣さんが未熟な咲太を導いてくれる。男女の関係としてもバランスが良いですし、本作に関しては麻衣さんの存在そのものが導きになっている印象です。

――牧之原翔子に関しても伺えればと。

石川:『ゆめみる少女の夢を見ない』以降の牧之原さんはちょくちょく登場するぐらいでしたが、今回はその当時より言葉の重みが増していたように思います。それはおそらく、水瀬いのりさんが他の作品も含めてたくさんの経験を積んできたものが、今このタイミングでズドンと乗せられているからなのだと思います。

――咲太の初恋の翔子さんとも、中学生の牧之原さんともまた違う雰囲気がありますよね。

石川:そのどちらのエッセンスも感じたので、本当に水瀬さんは凄いなと思いました。『ゆめみる少女の夢を見ない』の物語は全て翔子さんの未来のシミュレーションだったので、知識としてはその両方の自分のことを知っている訳じゃないですか。とはいえ、その後はそうならなかった自分を選択していくので、人格としてはまた別の存在になっていく。

その知識と感覚、経験を積んだ牧之原翔子という存在としての塩梅が本当にちょうどよくて、大人っぽさに少女らしさも残した声色や言葉遣いでとても繊細に表現されていました。今回はそんな新たな牧之原さんが見られるので期待していてください。

――そんな牧之原さんとも霧島透子の正体に迫っていく点についてはいかがですか?

石川:まず何より、あの牧之原さんが元気に笑っていることが嬉しいじゃないですか。その上で、一緒に問題解決に向かって歩める。その事実が素直に嬉しいなと僕は勝手に思っています。何よりこれまでは互いの問題を相互に解決していく関係性だったところ、同じ問題にふたりで協力して迫っていくのが物語としてもエモいと思います。

――そして、完結を迎えるにあたって改めて咲太の好きなところや、演じる時にずっとこだわっていた部分を教えてください。

石川:この『青ブタ』シリーズ自体の好きなところと直結するので、そこからさらに掘り下げたところで言うなら「できないところ」でしょうか。そうやって完璧ではないところが、この世界の咲太のことが好きな理由です。

赤城郁実のエピソード『ナイチンゲールの夢を見ない』で別の世界の咲太の存在が示されていましたが、僕はそちらの咲太が主人公だったらこの作品をここまで好きになれていなかったかもしれません。できないからこそできるようになりたいともがいて、頑張って、苦しんで……それでもその夢を手放さず諦めない姿勢がカッコいいと思っています。

20代の頃はそういう彼の姿勢への共感から好感を持っていましたが、30代に入ってからはその気持ちを持ち続けられる素晴らしさの方に感動を覚えているぐらいです。

演じている時にこだわり続けたことは、自分が咲太として声を出す時に彼の感情を全力で声にのせようとしていたことですね。僕は最初に原作を読んだ時に、咲太は感情が爆発してもそこまで激昂しないんじゃないかという印象を持ちました。だけど彼としてお芝居する時は、かなり声を張ったり、激昂したりするようにしていました。

なぜなら、ここまで他人のために奔走するような人間が、自分のために感情の発露ができないなんて嘘だと思ったから。だからエゴかもしれないけれど、僕はその時々で咲太が経験した事象に対して怒りを感じるのであれば怒りたいし、悲しみを感じるのであれば悲しみたい。そんなこだわりから、より大きく感情表現がのっているところがあるかもしれません。

――ありがとうございます。最後に『ディアフレンドの夢を見ない』を楽しみにしている『青ブタ』ファンへのメッセージをお願いします。

石川:ここまで追いかけてくれたみなさんだけでなく、これから入ってくれるみなさんも本当にありがとうございます。『ディアフレンドの夢を見ない』をご覧になって結末を知ってから、これまでのシリーズでなぜ『青ブタ』はこういう結末を迎えたのかを体験していただいても十二分に感動していただけるんじゃないかと思っています。もちろん、既にここまでの道のりを知ってくださっている方は、少し切ないけれど納得できる物語になっていると思います。お時間があればぜひ劇場でご覧いただきたいです。

そしてご覧になられた暁には、ぜひ感想を“#青ブタ”で呟いてください。僕がひとつもポストを漏らさず巡回します……!!

という冗談はおいておきますが、僕はこの『青ブタ』が描いていることは誰かと接することに関するバイブル的なものだと思っています。ぜひ身近においていただくと、思春期症候群のような悩みを抱いた時に寄り添ってくれると思います。長く長く、本当の意味で愛していただければ嬉しいです。よろしくお願いします。

 

作品情報

青春ブタ野郎はディアフレンドの夢を見ない

あらすじ

「実は、私が霧島透子なんです」
謎に包まれた大人気ネットシンガーの正体は
国民的女優の桜島麻衣だった――と、沸き立つ観客たち。
その光景は梓川咲太がクリスマスイブに見た夢と同じ―。

4月1日、麻衣の衝撃の告白を皮切りに
かつて皆が夢で見たあり得ない出来事が次々と起こり続ける。

見た夢が正夢になるSNSの書き込み「#夢見る」の存在も消え、
目の前の現実と自分の認識が食い違う咲太のもとに、もう一つの可能性の世界の咲太からメッセージが届く。

――霧島透子を止めてくれ
――現実が書き換えられる前に

書き換えられた世界を元に戻すため、咲太は霧島透子を探す。
これは、思春期症候群を乗り越える物語――

キャスト

梓川咲太:石川界人
桜島麻衣:瀬戸麻沙美
広川卯月:雨宮天
赤城郁実:山根綺
姫路紗良:小原好美
美東美織:石見舞菜香
岩見沢寧々:上田麗奈
古賀朋絵:東山奈央
双葉理央:種﨑敦美
豊浜のどか:内田真礼
梓川かえで、梓川花楓:久保ユリカ
牧之原翔子:水瀬いのり

(C)2024 鴨志田 一/KADOKAWA/青ブタ Project
(C)2025 鴨志田 一/KADOKAWA/青ブタ Project
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