『キャシャーンSins』Blu-ray&DVD BOX発売記..

不朽の名作『新造人間キャシャーン』誕生から35年、新たな戦いが始まる!好評放送中『キャシャーンSins』Blu-ray&DVD BOX発売記念 キャシャーン役・古谷徹さんインタビュー

 ハードな世界観と孤高のヒーロー像で、今なお多くのファンから支持される名作アニメ『新造人間キャシャーン』。オリジナルシリーズ開始から35年経った今、装いも新たに復活、『キャシャーンSins』として現代によみがえった。

 荒廃し、終末感漂う世界。人々はロボットに支配され、ルナという救世主に望みを託したが、世界を支配していたブライキング・ボスはキャシャーン、ディオ、レダの3体のロボットにルナ殺害を命じる。キャシャーンの手によりルナは死に、その隠された秘密により世界は「滅び」へと向かってしまった。永遠の命であったロボット達も次々と「滅び」に侵され、死を迎えていった。そんな中で突如現れたキャシャーンだが記憶を失っていた。次々と襲うロボ達と戦いながらキャシャーンは真実を探し、旅を続ける……。

 オリジナルの雰囲気を残しながら、「生と死」という重いテーマに取り組み、現在のアニメシーンに一石を投じて衝撃を与えた『キャシャーンSins』。現在、テレビ放映中でまもなく終盤を迎えるが早くもBlu-rayとDVDのBOXが2月25日よりリリース開始。各巻に6話づつ収録され、第1巻には先行上映イベントの模様や座談会、インタビューなどの特典映像も入り、見応え十分。アニメファンにはおなじみのマッドハウス制作の映像美もじっくり見てほしい。

 Blu-ray&DVD BOXの発売を記念して、キャシャーンを演じる古谷徹さんに『キャシャーンSins』の見どころや魅力、古谷さんが考えるヒーロー像などについて語ってもらった。


●業を背負った現代型のヒーロー、それが今回のキャシャーン

――古谷さんはこれまで様々なヒーローを演じてこられましたが、今回の『キャシャーンSins』で演じるキャシャーンが違うなと感じるところはありますか?

古谷さん:今まで演じてきたヒーローは設定もハッキリしてますし、キャラクターも初めから決まってる場合が多かったんですけど、『キャシャーンSins』の場合は登場した時にはまだ自分が何者なのか、わかっていない状況で、自分を狙うロボット達に戦いを挑まれるという不安定な状態から始まって。そこが一番大きな違いだと思うし、僕自身もキャラクターの色みたいなものを最初から決めることができなかったので、何もない無の状態から入っていって、あえて決めずに作っていくという感じで、キャシャーンと一緒にいろいろな情報がわかっていって、ひとつのヒーローが形作られていきました。


――今までのヒーローは地球だったり、人類だったり、大切な人のために戦ってきましたがキャシャーンの場合、最初は目的がなく、ただ自分にふりかかってくる敵と戦っているところも違うなと思いました

古谷さん:そうですね。キャシャーンはなぜ襲われるかすら、わからなかったですからね。それで実際に戦闘に入ると圧倒的に強くて、損傷を受けても何故、自分だけ再生していくのか謎だし、ピンチになるとマスクオンになり、眼が光って無我夢中で敵を倒してしまって、戦闘後はその間の記憶がないという……。


――またキャシャーンが目覚めた時には救世主と言われていたルナを殺してしまうという重い十字架を背負わされていて……

古谷さん:ずっと罪の意識を背負いつつ、自分の存在意義を捜し求める、苦悩するヒーローですね。


――ルナが死んだ瞬間から「滅び」が始まり、ロボット達も次々と朽ち果てていくようになって。ある意味、世界に死をもたらしてしまった張本人でもあるわけです

古谷さん:自分以外の全人類が死んでしまうようなものだから。すごく辛いことだけど、真実かどうかを見極めないと何も始まらないと前に進んでいく、業を背負ったヒーローだと思います。


●自らが演じてきたヒーローの集大成

――最初の『新造人間キャシャーン』も回りはほとんど敵だらけで人類のためにロボット軍団と戦っているのに、そのうち人間からも見放されてしまう孤高のヒーローで、今作もストーリーなどは違えど、キャシャーンの孤独感や世界の終末感などは近い雰囲気だなと思いました

古谷さん:そうですね。オリジナルのテイストを踏襲しつつ、新たなキャシャーンを作ろうというスタッフの意気込みを感じていましたし、オリジナルが名作だったため、根強いファンの方達からの注目を集めるだろうと思って、今回自分が主人公を演じるにあたって身が引き締まる想いがしました。


――キャシャーン役が決まった時の感想はいかがでしたか?

古谷さん:山内(重保)監督から直々にオファーをいただいて、その時に「なぜ自分なんですか?」とおうかがいしたところ、「このキャシャーンは強くてカッコイイけれど、それだけでなくて悩める主人公なんです。その部分を出せるのは古谷さんしかいないんです」とおっしゃってくださって。TVアニメの主人公を演じるのは十数年ぶりですが、監督の言葉を信じて、皆さんの期待に応えられるように、そして自分自身のヒーローキャラの集大成になるように頑張ろうと思いました。実際に収録が始まってからは特に大きなディレクションはなく、その時々のシーンごとに相談しながら演じていく感じでした。


――キャシャーンは普段穏やかですが、一旦自分に危機が迫ると人格が変わって冷酷な戦闘マシーンになってしまいます。そういう大きなギャップはどのように演じたんですか?

古谷さん:殺戮マシーンみたいになっているキャシャーンは第1話からアバンタイトルの部分で過去のフラッシュバックのような形で出ていて、そこでは明らかに、自覚して使命を全うするだけという、強くハッキリした声で演じ、そうじゃない普段の時はもう僕自身というか、あえて作り込まないで感じるままに演じました。


――この作品で印象的なのはキャシャーンが真実や自分の存在意義を見つけるために旅をしていく中で、いろいろなロボットや人間と出会い、考え、何かを見つけていく過程でした

古谷さん:キャシャーン自体が過去にどんな秘密を持っているのか、大きなストーリーの中で次第にわかってくる謎解き部分のおもしろさと、1話ごとに出会うロボット達の生き様を描いた物語の両方を楽しめると思うんです。その出会うロボット達の中でも、自分に信念を持って、何か一つのことを成し遂げようとしているロボットは滅びがあるからこそ、今日を精一杯生きようとする姿がとても輝いていて、素敵な生き方に見えるんですよね。それに比べてキャシャーンは永遠の命があるにも関わらず、悩んでいて、罪も償うことさえできないという対極の関係にあって。人間も限りのある命だからこそ、人生を精一杯生きて、人生を全うする。それが素敵な生き方なんじゃないかと改めて感じることができました。


――この作品にはほとんどロボットしか出てきませんが、生の大切さを、ロボット達から教わるというのも斬新な気がします

古谷さん:そうですね。ロボットは部品を交換すれば、永遠に生きていけるという既成概念をあえて覆して、人間の生き方を描いているというのは確かに斬新ですよね。


●まだわからないラスト、キャシャーンと共に真実を見つけたい

――また最初は一人だったキャシャーンに戦いや旅を通じて、リューズやリンゴ、フレンダーなど仲間ができていくところもポイントですね

古谷さん:リューズにとってキャシャーンはお姉さんのカタキでしたが、近くで悩めるキャシャーンの姿を見続けていくうちに同情するようになって。もちろんリューズも苦悩するんですけど……。でもキャシャーンを慕う仲間達によってキャシャーンの魅力も描かれていると思います。


――姉のカタキ討ちとキャシャーンへの想いに揺れるリューズの心情描写も細かいですね

古谷さん:キャシャーンはいつでも殺してくれと言って、むしろ死ねるなら命を持って償いたいと思っているくらいで。そんな真摯な姿にリューズもひかれたんでしょうね。


――またオリジナルと同じく登場するブライキング・ボスはキャシャーンをルナ殺害に向かわせた首謀者ですが、物語の中ではまだ表立った行動をしていないことも気になります

古谷さん:キャシャーン、レダ、ディオという3体のロボットを作らせて、ルナを殺させた張本人でしたが、誤算があって滅びが始まってしまって。いずれはその状況を何とかしたいと思っているでしょうし、いつかは自分の帝国を取り戻したいと思っているんでしょうけど……。僕もまだラストを知らないので。


――キャシャーンと共に誕生したレダとディオがキャシャーンの強力な敵として現れ、どんな目的で行動しているのかも興味深いです

古谷さん:それぞれ思惑が違いますからね。ディオはルナを殺すという同じミッションを受けながら結局、それを全うしたのがキャシャーンで自分はできなかったという負い目を感じていて。キャシャーンを倒さないと自分の存在価値がないと考え、もがいていて。レダは、ディオがキャシャーンに対して抱いているコンプレックスや闘争心を利用して、自分が帝国の頂点につきたいと思っていて。その思惑が最終的にどこに向かうのか、おもしろいところですね。


――キャシャーンを取り巻くキャラ達は味方であれ、敵であれ、何か秘密や謎があり、それが終盤になって一つひとつがつながっていく壮大なストーリーは驚いたし、納得できました。まるで大作映画のようで

古谷さん:僕はまだ結末を知らないので、どうなるか楽しみなんです。現在、残り3話まで収録が終わりましたが、この時点で終わりが見えてこなくて「どうなっちゃうんだろう?」と(笑)。


――もう一人の重要なキャラ、ルナの情報も出てくるし……

古谷さん:さてどうなるんでしょうね。僕はキャシャーンと共に真実を見つけたいと思っています。


●Blu-ray&DVD-BOXで高画質でじっくり鑑賞して欲しいです

――ロボットが支配するSF作品ですが、実は壮大なヒューマンドラマなんじゃないかなと

古谷さん:決してロボットには見えないですからね。みんな感情があって、この世界では滅びがあって、それに向き合って必死に生きていて。永遠の生を求めてルナの元に癒しを乞い来るもの、滅びを受け止めて限りある生を受け止めるもの、人生の縮図と一緒だなと。永遠の生があればいいかといえば決してそうではなくて、与えられた生をもてあそぶものも現れて果たして、何が幸福なのか考えさせらています。


――殺伐として混沌としている現代社会だからこそ、時代の要請というか、このタイミングでこの作品が出てきたのかなという気がします

古谷さん:僕もそれはすごく感じます。初代の『キャシャーン』も環境問題が持ち上がった時にああいった設定で出てきて、それを救うためにキャシャーンの存在があって。今回も世情が不安定で、命を軽く考えてしまう若者もいて。未来への不安とかが大きい要素だと思いますが、そんな人達と同じ目線でキャシャーンが登場して、自分の生きる意味を模索するわけです。キャシャーンと同じように苦しみながらも生きることの素晴らしさや命の大切さを感じてほしいと思います。


――これだけメッセージ性の高い作品はなかなかありませんよね

古谷さん:「よく作らせてもらえたな(笑)」という作品になっていますが、業界に一石を投じることができたのではないでしょうか。関わった人達全員の「今、この作品をやらなくちゃいけない」という想いが伝わるといいですね。


――テレビのオンエアも続いていて、この記事が掲載される頃には物語も佳境に突入します

古谷さん:最終回が楽しみですね。最後の最後でいろいろな形で謎がわかってくるんじゃないかと。目が離せないと思うのでぜひ最後まで見届けてほしいと思います。


――そして待望のBlu-ray DiscとDVDのBOXシリーズがそれぞれ発売されます

古谷さん:奥深くて1話1話味わいがあるので、初めて見る方はもちろんテレビシリースをご覧になってくださった方も改めて見る価値があると思います。今回のBOXは6話ごとに収録されているので、たっぷりまとめて見られるのもいいとかなと。1話からじっくり見ていただいた上で作品のメッセージを考えてもらえたらいいですね。


――かなり映像クォリティも高いのでBlu-ray Discで見てほしいですね

古谷さん:そうですね。馬越(嘉彦)さんのキャラクターの絵はすごく魅力的ですし、背景の絵も溶け合っていて、自分が放送で見ていても思わず止めて鑑賞したくなるほどです。戦闘シーンで、キャシャーンのしなやかですばやい動きも素晴らしいです。キャシャーンならではの映像クォリティをぜひ味わってほしいです。


●とても価値のある作品に出会えました

――実はひとつ気になったことがあって…… 昨年、行われたイベントで「最後の主人公になるかもしれない」とおっしゃっていましたが……

古谷さん:今回、キャシャーンをやらせていただけたのは特殊だと思っていますから。もちろん今後もアニメ作品へのオファーはあると思いますし、レギュラーキャラをやることもあると思いますが、こういった青年ヒーローをやるチャンスはあまりないかなと考えていて。だから今回は本当に感謝をしていて自分自身の集大成にしたいというつもりで臨んだんです。


――常にいつも最後のヒーローを演じるくらいの意気込みで作品に取り組んでいるということですね

古谷さん:そう思ってください。それくらい価値のある作品に出会えたということです。


――最後に古谷さんにとってのヒーローとは?

古谷さん:今の時代のヒーローがキャシャーンだと思うんですけど、自分のすべてを捨てて人のために尽くせる。それがヒーローなのかなと。人のできないことができる。僕らの理想の生き様、あこがれかなと思います。でも僕らと同じように弱さも持ち合わせていて。共感できないと受け入れられませんよね。昔は子供達に向けて正義と悪というわかりやすい構図になっていましたが、今は見てくれる人達の幅も広がっていますし、大人にも納得してもらえる作品じゃないと受け入れられませんから。ただ強いだけでなく、共感できるヒーローが求められていると思います。なかなかヒーローのような生き方はできませんけど、僕達が演じるヒーローと出会うことよって何かを得たり、感じてもらえるようにこれからも演じていけたらいいですね。


――これからも古谷さんの演じるヒーローを楽しみにしています。ありがとうございました


アニメ『キャシャーンSins』
MBS毎日放送、テレビ神奈川、テレ玉、チバテレビ、テレビ愛知、キッズステーションにて好評放送中。またGyaOにてネット配信中。

『キャシャーンSins』Blu-ray Disc&DVD BOX第1巻
2009年2月25日発売
Blu-ray BOX 15,750円(税込)
DVD BOX 12,600円(税込)

CD『キャシャーンSins Special Complete Album』
2,800円(税込)
発売:ティー ワイ エンタテインメント
1月28日発売

<B>『キャシャーンSins』Blu-ray Disc&DVD BOX第1巻</B><BR>2009年2月25日発売<BR>Blu-ray BOX 15750円(税込)<BR>DVD BOX 12600円(税込)<br>(C)2008タツノコプロ/キャシャーンSins Project

<B>『キャシャーンSins』Blu-ray Disc&DVD BOX第1巻</B><BR>2009年2月25日発売<BR>Blu-ray BOX 15750円(税込)<BR>DVD BOX 12600円(税込)<br>(C)2008タツノコプロ/キャシャーンSins Project

(C)2008タツノコプロ/キャシャーンSins Project
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