『バクマン。』制作統括・根岸氏が語ったアニメ版の秘密とは!?

TVアニメ『バクマン。』制作統括・根岸智也氏(小学館集英社プロダクション)スペシャルインタビュー――「NHKだからこそできる“作品づくり”と、原作者“監修”のオリジナルストーリーに期待してください!」

 いよいよ放送が開始されたアニメ『バクマン。』から、今回は小学館集英社プロダクションの根岸智也氏にご登場いただいた。“制作統括”としてアニメ作りの要となっている根岸氏に、アニメ版『バクマン。』のいろんなお話をお聞きしました!アニメ『バクマン。』の誕生秘話や見どころはもちろん、“制作統括”ならではのアニメ制作裏話まで、全アニメファン必読のスペシャルインタビューだよ!


――まず、根岸さんは“制作統括”ということですが、具体的にはどんなお仕事をされているのでしょうか?

根岸氏(以下根岸):『バクマン。』には制作統括と呼ばれる人間が3人います。NHKの斉藤(健治)さんと、NHKエンタープライズの野島(正宏)さん、そして制作プロダクションのプロデューサーである私、根岸の3人です。制作統括がそれぞれの立場で話しあいながら作品を作っています。放送局としてのNHKさんのご意見と、制作に関わるNHKエンタープライズさんのご意見、我々小学館集英社プロダクション(以下ShoPro)は、原作者さんや集英社さんの意見を受けて、その代弁者として参加することが多いので、そこの調整を三者で行っているという感じです。
 そのなかで、特にものづくりに寄っているのが私だと思います。作品のなかで、“こういうテーマに沿って、こうやって作っていきたい”とか“この話数ではこういう話をやってほしい”とか“このアーティストをこういう風に使ってほしい”とか、スタッフィング含めて関わっているので、制作統括のなかでは最も制作現場寄りの立場でしょうか。


――プロデューサーに近い立場というイメージですが、また違うのでしょうか?

根岸:主題歌やパッケージのメーカーとの交渉や、ライツ商品や二次利用についての対外的な折衝に関しては一括して弊社が窓口をやらせていただいているので、製作委員会方式のアニメーションでいうところの、幹事会社のプロデューサーに近いようなことをやっているのだと考えていただければ良いのかもしれませんね。


――製作委員会制のアニメというお話が出たのですが、『バクマン。』はどういったスタイルで作られているのですか?

根岸:今回はNHK、NHKエンタープライズ、ShoProという三社でアニメ制作をさせていただいています。民放でいうと、以前は放送局がスポンサーを集めて編成費からアニメを作るということが多かったと思うのですが、そういった方法が崩壊していくなかで、製作委員会方式が増えてきたのだと思います。『バクマン。』の作り方は、もちろんスポンサーの有り無しなどの違いはありますが、どちらかというと旧来の放送局とプロダクションの関係、制作スタイルに近いのだと思います。


――『バクマン。』がNHKで放送されることになった経緯を教えてください。

根岸:『バクマン。』の前に放送していた『メジャー』という作品も弊社で制作させていただいていて、6年目に大団円を迎えることになったので、“この枠ってこの後、どうなるんだろう?”と考えた時、弊社が08年に集英社さんの資本が入って“小学館プロダクション”から“小学館集英社プロダクション”になったこともあり、集英社さんの作品をここに持ってきて作品を成立させられないだろうか、と考えました。そこで08年から『週刊少年ジャンプ』で原作の連載が始まった『バクマン。』に注目しました。赤裸々に業界模様を描いているところもありますが、本質は少年たちが夢に向かって努力していくという王道のストーリーでもありますので、NHKさんで放送していただくタイトルとしてふさわしいのではないかと提案しました。


――ということは、連載開始当初から映像化を考えられていたということでしょうか?

根岸:映像化を考える……というより、個人的に始まった時から好きだったんですよ。最初は『少年ジャンプ』が“マンガ家”を描くというところに惹かれたんですが、読み進めるほどに、“剣で斬る”ということをやってはいないけど、バトルもあるし、ライバルもいるし、仲間も現れ、ラブストーリーの要素もあって……という、“王道の少年マンガ”というところが好きですね。

<br><br>



1話で話題をさらった「超ヒーロー伝説」ポスター画像

1話で話題をさらった「超ヒーロー伝説」ポスター画像

遊栄社編集部

遊栄社編集部

――J.C.STAFFさんが制作を担当することになった経緯は?

根岸:J.C.STAFFの松倉(友二)プロデューサーとは、『ハヤテのごとく!!』で一緒にお仕事しまして、その時に「また何かやろうよ」という話をしていたんです。松倉プロデューサーは頼もしい方なので絶対またお仕事をしたいと思っていたんですが、今回の『バクマン。』というタイトルが決定して、精緻な小畑健さんの絵をきっちりとキャラクターライズしていただいて、うまくレベルを保ってアニメーションにしてくれるのはどこだろうと考えた時に、やっぱり松倉さん、J.C.STAFFだろうと。それと僕の大好きな監督でもあるカサヰケンイチ氏の起用もリクエストしました。


――今回、制作スタッフ側に伝えたテーマやコンセプトのようなものは何かありますか?

根岸:原作はかなりテンポが早いというか、読んでいてスピード感がある作品で、それは週刊の少年マンガだからこそ、週ごとの展開を大事にされている部分があるからだと思うのですが、アニメーションでは連載1回分がそのまま1話になるわけではないので、“ここは膨らませなくちゃいけない”とか、“ここは思い切って落とすべきなんじゃないか”というシーンだとか、それを着実にやっていこうということを、まずは脚本の吉田(玲子)さんたちにお願いしました。その際にカサヰ監督が「(原作のある)アニメというのは二次創作物。だからよりいいものを作らなければいけないじゃないか」という様なお話をされていたんです。例えば連載で泣く泣く落としてしまった部分とかがあったとしたら、それをサルベージしてうまくいい形での二次創作物を作ることをやっていきたいという話になっていきました。


――そうなると原作で本来は入れるはずだったが入らなかったエピソードなどを、原作の大場先生からうかがって、アニメのオリジナル展開にすることも考えられていますか?

根岸:最初に大場先生にお会いした時に、お話の設計図である“シリーズ構成”というものを持っていったんですが、みんなの総意として詰め込むのではなく、膨らませて作りませんか?というお話をしたら先生にも同意していただいたんです。オリジナルエピソードもあるのですが、大場先生にはアイデアをいただいたり、ご監修をいただいてます。例えば、“秋人はこの時、最高の裏で何をしていたんだろう?”とか、気になったりするわけですよね。連載の時にはそこを見せないでスパッといくほうがいい展開でも、アニメではそういうのも復活させませんか?という話をしながら、作っていくようにしています。原作に追いつかないようにするためにオリジナルを入れるのではなく、“彼らがどういう気持ちでマンガに向かっているのか”“どういう思いでこのコンビは今こうしているのか”などの部分を厚くやっていきたいと思っています。


――大場先生からアニメ版についてのご感想などはありましたか?

根岸:最初お会いした時に、シリーズ構成と3話までの脚本を持っていったのですが「補強してもらっている部分が面白い」と言っていただきました。例えば1話だと原作にはない、川口たろうのお葬式のシーンがあるんですが、“佐々木編集長も当然この場にいただろう”ということで、そのシーンでは佐々木編集長が手を合わせているんです。世界観の中で時系列を少し組み替えたり、裏側を描いたりということは面白いと思っていただけたみたいです。


――放送後の反響や手ごたえはいかかでしょう?

根岸:僕はいい意味で人を裏切ることが好きなんです。例えばNHKさんでアニメ化が決まった時に、“『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』っていうセリフがあるけど、どうなっちゃうんだろう”って不安になっていた原作ファンの方もいらっしゃったと思うんです。「セリフの改変が多くなり面白くないアニメになってしまうんじゃないか」というような、ネガティブな前評判を耳にすることもあったんですが、逆に“それを全部裏切れたら面白いと思ってもらえるんじゃないか”と。もちろん全部はできていないと思うのですが、その気持ちで臨んでいます。
 『バクマン。』って“NHKだからこそできること”をやっている部分もあるんです。この作品には切れ目が一切ないんですね。例えばアバンから始まってオープニングなんですけど、民放だとオープニング後に提供クレジットが入って、そこでブツっと切れたりするんですが、今回はそれがないので、オープニングの歌詞のこぼれをサブタイトルにしちゃって、そのまま本編に入って……と、途切れないんです。本編終わりにきっちりエンディングの前奏が食い込んできてそのまま次回予告へ……っていう、これはCMがないからこそできる作りなんですね。
 今後もアニメなのにマンガのコマを長時間で見せてみたり、サプライズ的なネタは色々仕込んでいます。そういった部分も、アニメイトTVのユーザーの方には喜んでいただけるかなと思うので、楽しみにしてもらいたいと思います。<取材・文:だーくまたお>


最新の放送情報などはコチラでチェック⇒
>>NHKアニメワールド バクマン。(アニメ公式サイト)
>>関連情報、WEBラジオ配信中!bakuman.net

キャラ設定<br>最高

キャラ設定
最高

秋人

秋人

エイジ

エイジ

亜豆

亜豆

見吉

見吉

(C)大場つぐみ・小畑健・集英社/NHK・NEP・ShoPro
おすすめタグ
あわせて読みたい

関連商品

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2024年春アニメ一覧 4月放送開始
2024年冬アニメ一覧 1月放送開始
2024年夏アニメ一覧 7月放送開始
2024年秋アニメ一覧 10月放送開始
2024春アニメ何観る
2024年春アニメ最速放送日
2024春アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング