オーベルシュタインはなぜ、冷徹な参謀となったのか？――今明かされる彼の物語！　『銀河英雄伝説　外伝　オーベルシュタイン篇』ゲネプロの模様をご紹介！

　2011年11月3日～11月9日まで渋谷区文化総合センター大和田・さくらホールにて上演されている舞台『銀河英雄伝説　外伝　オーベルシュタイン篇』。今回は、公開初日に行なわれたゲネプロの様子をお届けしたい。

　舞台の原作となっている『銀河英雄伝説』は、人気作家・田中芳樹氏によるSF小説。1982年に第一巻が発売されて以来、累計1500万部の売り上げを記録した大ベストセラー作品だ。銀河を舞台に繰り広げられる『銀河帝国』VS『自由惑星同盟』の戦い、そしてそこに表れる2人の英雄を中心に、壮大なスケールで歴史が綴られていく。

　そして2010年、第一巻の刊行から28年の時を経て待望の舞台化を発表。その翌年となる2011年1月には青山劇場にて『銀河英雄伝説　第一章 銀河帝国篇』が、そして2011年6月には池袋サンシャイン劇場にて『銀河英雄伝説　外伝／ミッターマイヤー・ロイエンタール篇』が上演され、多くのファンを魅了した。

　『銀河英雄伝説　外伝　オーベルシュタイン篇』は、銀河帝国軍の重要人物、パウル・フォン・オーベルシュタイン（貴水博之）の知られざる過去を描いた完全オリジナルストーリー。

　銀河帝国軍の非公式諜報機関、「Hound(ハウンド)」。"猟犬"という意味を持つこの組織は代々、オーベルシュタイン家の当主が「Fu¨hrer(フューラー)」と呼ばれる総裁の座を務めていた。そんなオーベルシュタイン家の跡継ぎ・パウルは、先天的な視力障害を持って生まれる。彼に不満を持つ厳格な父オトマール（増沢望）は、妾の子でありパウルの兄、シュテファン・ノイマン（岸祐二）を家に呼び戻すのだった。「これまで当主が一人で行なってきた、オーベルシュタイン家の裏と表」を、兄弟2人に受け継がせようとするオトマール。だが現体制を守ろうとする兄ノイマンに対し、弟パウルは本人の能力、識見に関わらず世襲で地位が決まる社会への疑問を持つようになる。やがて成長を遂げた2人は父の教えの下に協力し、オーベルシュタイン家の"裏"と"表"を分担。しかし兄弟の間にはその思想の違いから次第に亀裂が生じ、2人は対立していくのだった……。

　パウル・フォン・オーベルシュタインはなぜ、冷徹な参謀となったのか――？その過程を事細かに表現したのが、今回の作品だ。

　舞台では「現在」と「過去」を行き来しながら、オーベルシュタイン家の壮大な人間ドラマを演出。少年時代の兄ノイマン（松村泰一郎）と弟パウル（澤田怜央）の関係性や父との軋轢、また母との過去といった様々な出来事が明かされていく。キャスト陣の迫真の演技と美しい舞台の構成、そして『銀河英雄伝説』ならではのスペクタクルなストーリー性は観客をぐいぐいと引き込んでおり、1時間半という上映時間が一瞬に感じるほどだった。またカーテンコール後にはパウル・フォン・オーベルシュタインを演じる貴水博之さんが本公演のテーマソング「Etarnal Sky」を披露。舞台をよりドラマチックに、美しく彩っていた。

　2012年4月には河村隆一さんを主演に迎えたメインストーリーの続編『銀河英雄伝説　第二章 自由惑星同盟篇』の上演も決定。これまでの銀河帝国篇とは違った視点から描かれる第二章もまた、新たな感動を与えてくれるはずだ。


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