
「DIABOLIK LOVERS」アニメ公式ノベライズ6月27日発売! 缶バッジ付き限定セットも同時発売! さらに今回は試し読み第一弾をお届け!
大人気作品「DIABOLIK LOVERS」のアニメ公式ノベライズが6月27日発売!
逆巻兄弟との甘くてちょっとキケンな生活を小説で楽しもう♪
今回は試し読み第一弾をご用意! さらに明日は試し読み第二弾をお届け予定だ!
★有償特典缶バッジ付きの限定セットも同時販売!!
アニメイト&ステラワース版と公式通販限定の2種類!
逆巻兄弟との甘い生活を堪能できる書籍と、
かわいらしいチビキャラの缶バッジをセットでゲットしよう♪
タイトル「DIABOLIK LOVERS」アニメ公式ノベライズ
著者 結来月ひろは
原作・監修/オトメイト(アイディアファクトリー・Rejet)・DIABOLIK LOVERS PROJECT
レーベル:フィリアレーベル
発行:フロンティアワークス
ドSで官能的で魅惑的なヴァンパイアに囚われて…
父親の海外転勤が決まり、高校二年生の小森ユイはこれから世話になる逆巻家へと向かった。着いた先は大きな屋敷で、そこに住む六人のイケメン兄弟と同居することに。でも彼らの性格は最悪で、その正体はヴァンパイア! 父との連絡手段を断たれ、「我々からは決して逃げられない」という宣告とともに始まったユイの新たな生活は――!
■試し読み第一弾(第二弾は明日お届け!)
その日の空はいつもと変わらず、薄く夕暮れに染まっていた。
そんな夕日に照らされた静かな森に、車のエンジン音が響く。
森の小道を走るのは、一台のタクシーだ。
(綺麗な空……)
後部座席に座る小森ユイは、そんなことを思いながら空を眺めていた。
小森ユイはごく普通の高校二年生。
神父である父と二人暮らしだったが、父の転勤に伴いこれから父の知人である逆巻家で世話になることになり、ユイは今そこへ向かっていた。
タクシーの窓から湖が見えてくる。
夕陽に輝く湖面に、ユイが窓を開けると、緑の香りを含んだ風が髪を揺らしていく。
湖とは反対側の車窓を見れば、木々の間から大きな屋敷が見え隠れしている。
(あそこが、これからお世話になる家)
次第に近づいてくる屋敷を、少女は目を丸くしながら眺めていた。
中庭を囲むように建てられた本館らしき建物の他に、離れのような建物や東屋のようなものまである。
(こんな大きなお屋敷初めて見た)
やがてタクシーは、車二台が楽に通れるくらいの幅がある門の前で停まった。
「ありがとうございました」
礼を言い、ユイが降りると、タクシーは元来た道を戻っていった。
ユイはスーツケースを手にすると、門の向こうに建つ洋館を見上げた。
それはレンガで造られた三階建てで、まるでヨーロッパの貴族の館のようだ。
しばし呆然と見とれていたユイは門を開けると、中に入っていった。
「すごい……こんな立派なお家なんて」
スーツケースを引き、珍しそうに周りを見ながら、ユイは正面玄関へと歩いていく。
しかし玄関へと行き着くまではかなりの距離があり、なかなか辿り着かない。
(噴水まであるなんて)
噴水の頂上には、この屋敷の者の趣味なのか、ガーゴイルの石像が座って、ユイを見下ろしていた。
そんな噴水の横を通り過ぎようとすると、突然石畳に雨が落ちてきた。
「雨っ!?」
驚いたユイが空を見ると、さっきまで晴れていたのにいつの間にか黒い雨雲で覆われていた。
その暗い空に稲妻が走ったかと思うと、大きな雷鳴が轟く。
雷の音に驚いたユイは小さく悲鳴を上げた。
(やだ、雷まで)
ユイは慌てて玄関の軒先へ駆け込んだ。
雨の勢いが増したのは、ちょうどその直後のことだった。
(よかった。あまり濡れなくて)
これからお世話になる人に会う前に、ずぶ濡れになってしまうわけにはいかない。
ユイは彫刻の施された大きな扉に向き合うと、古めかしいドアノッカーを使い、ノックした。
屋敷に冷たい鉄のノッカーの音が二度響くが、誰かが出て来る気配はない。
(もしかして雨の音で聞こえなかったのかな?)
「すみませーん」
ユイは声を上げると、扉を開けようと手を伸ばしかけた。
すると、目の前でひとりでに扉がギィーと音を立てて開いた。
「ひゃっ!」
驚いたユイは慌てて後ずさる。恐る恐る開いた扉から中を覗いてみるが、誰もいない。
これは中に入ってもいいということなのか。
何かに誘われるように、ユイが屋敷の中に入っていくと、後ろで扉が静かに閉まった。
真っ先にユイを出迎えるように広がっていたのは、豪華なエントランスホールだった。
正面に広がるエントランスホールは、シャンデリアに照らされてはいるものの、左右に伸びる長い廊下はどこか薄暗い。
「あの、……誰か、いますか?」
ユイの声だけが、エントランスホールの高い天井に響く。
「おかしいな。今日来ること、伝わってないのかな」
一人呟きながらも、ユイは家の人を探すためにエントランスホールを歩きだした。
赤い絨毯の敷かれた上を進むと、大きな階段が見えてきた。
階段の前に立ち、シャンデリアの明かりに照らされながら、ユイは再度声をかけた。
「すみませーん」
しかしユイの声が虚しく響くだけで、やはり誰も現れない。
(どうしよう……)
家の人を探しているとはいえ、勝手に他人の屋敷を歩き回るわけにもいかない。
その場に立ち尽くしたユイが途方にくれ、誰かいないかと周囲を見渡していた時だった。
窓から差し込んだ稲光が、窓際に置かれているソファを照らし出した。
(待って、今のは……)
一瞬の出来事だったが、何かに気づいたユイがソファへ駆け寄ると、そこには横たわる青年の姿があった。
年齢はユイと同じくらいだろうか。
学校の制服らしい服装なのだが、派手に着崩している。スニーカーを履いたままの足を伸ばし、頭の下に置いたクッションを枕がわりにして眠っている。
(まさかこんなところに人がいたなんて。でもよかった、人が見つかって)
雷の光に照らし出される寝顔はとても整っている。
起こすことに申し訳なさを覚えながらも、ユイは青年に声をかけた。
「あの……すみません」
青年を起こそうと、彼の手に触れたユイはすぐに手を引っこめた。
「冷たい!」
ユイが触れた青年の手は、驚くほど冷たかったのだ。
いくらソファで眠っていたからとはいえ、こんなに身体が冷えるはずがない。
(まるで体温が感じられない……)
「大丈夫ですか!?」
不安になったユイは慌てて青年の胸元に耳を押し当てるが、そこには本来聞こえてくるべき心臓の音がなかった。
「っ、鼓動がない? 大変! 救急車呼ばなきゃ!」
ユイは肩にかけた鞄から携帯電話を取り出し、急いで救急車を呼ぼうとするが、ふいに横から伸びてきた手が、携帯電話を奪い取った。
「あっ!」
「……るっせえ。人んちで、ギャアギャア騒ぎやがって」
奪った携帯電話を手に、ソファから起き上がり、鬱陶しそうな緑色の瞳でユイを睨んでいるのは、今まさに死んだように横たわっていた青年だった。
「い、生きてる……!?」
「はぁ?」
思わずユイが呟いた一言に、青年が苛立ちを隠そうともせずに言う。
「当たり前だろ。オレ様を何だと思ってんだよ」
平然と青年は答えるが、ユイはとても冷静ではいられなかった。
(どういうこと……)
ユイは知らず知らず、青年から距離を取っていた。
「だって……心臓、動いてなかった……」
あの時、確かに心臓の音は聞こえなかった。
(それなのに……)
どうして目の前にいる青年は、平然とした顔をしていられるのか。
恐怖を覚えたユイは逃げようとするが、立ち上がったところを彼の腕に捕らえられ、ソファに背中から押し倒された。
「きゃっ! 何!?」
起き上がろうとするが、青年にのしかかられて動けない。
「何って、決まってんだろ。オマエをいただくんだよ」
そう言い、顔を近づけてきたかと思うと、ユイの首筋を舐めた。
(何? どういうことなの)
予想もしていなかった青年の行動に驚いたユイが思わず小さく悲鳴をあげると、それを聞いた彼は楽しげに唇を歪める。そして、ユイの首筋に噛みつこうとした時だった。
「アヤト、何ですか、騒々しい」
青年は舌打ちをすると、ソファのそばに立つ人物を睨んだ。彼はアヤトという名前らしい。
「レイジか」
アヤトからレイジと呼ばれたのは眼鏡をかけた、どこか神経質そうにも見える青年だった。
落ち着いた丁寧な口調と白い手袋から、まるで執事のようにも思えるが、よく見ればアヤトと同じ制服を身につけている。
レイジは眼鏡越しに呆れたような視線を、アヤトに向けた。
「ここはエントランスホールですよ。仮にも客人を迎える場です。そういうことは自分の部屋でやりなさい」
「あーあ、つまんねぇの」
レイジに言われたアヤトは渋々ながら、起き上がった。
(この人なら、もしかすると助けてくれるかもしれない)
ユイはソファから立ち上がると、レイジの元に駆け寄った。
「た、助けてください!」
突然助けを求めてきたユイを、レイジは怪訝そうに一瞥した。
「あなたは?」
「小森ユイです。父がここにお世話になるようにって」
「聞いていませんね」
ユイの説明を聞いたレイジは、アヤトに視線を戻した。
「アヤト、どういうことですか?」
「ああ? オレが知るか」
ソファに片足を乗せて座るアヤトは不機嫌そうに答えると、ユイを見た。
「っつうか、チチナシ。オマエ、そんなこと言わなかったじゃねえか」
「それは、あなたがいきなり襲いかかってきたから……」
「ふんっ……」
あのようなことをされて、普通に話ができるわけがない。
しかし、まるで自分は悪くないというように、アヤトは顔を背けた。
(何、この人。さっきから失礼なことばかり……)
そこでユイはあることに気づいた。
「今、チチナシって……。それ、私のこと?」
「当たり前だろ、バーカ。そんなこともわかんねぇのかよ、チチナシ」
横を向いたまま、視線だけをこちらに向けてくるアヤトは、完全にユイのことを馬鹿にしていた。
あまりにも失礼な呼び名に、むっとするユイの隣で、レイジは腕を組んで考えていた。
「おかしいですね。私は何も知らされていませんが」
そうなると、自分が訪ねる屋敷を間違ったということなのだろうか。
(でも、この近くに、他に家はないはずだし)
「あ、あの、あなたたちは……」
「ここで話というのも何ですから、とりあえずこちらへ。荷物頼みます」
案内のため、先に歩きだしたレイジがそう言うと、スーツケースのそばにはいつの間にか執事の姿があった。
「えっ!」
(一体、いつの間に)
驚くユイに執事は軽く会釈をすると、ユイのスーツケースを持ち、その場を後にした。
(本当にこの屋敷って、一体どうなってるんだろう)
──ひとりでに開く扉に、音もなく現れる執事。
(それに……)
ユイがソファに座っているアヤトに視線を向けると、ふてくされた顔の彼と目が合った。
先程のこともあり、ユイは何も言わずに視線を逸らすと、レイジの後を追いかけていった。
ユイがレイジに案内されたのは、広いリビングだった。
天井から下がるシャンデリアが煌びやかな光を放ち、暖炉では薪が燃えている。
「どうぞ、こちらへ」
「ありがとうございます」
レイジに促されてユイはソファに腰を下ろした。
「アヤトも早く座りなさい。話が始められないでしょう」
「けっ、わかってるっつーの」
ユイの隣にアヤトが座ったのを見ると、レイジは口を開いた。
「まずは礼儀として、勝手に上がり込んだ貴女のことから話してください」
「あ、はい」
(勝手に上がり込んだわけじゃないんだけどな)
しかし、何も知らないレイジたちからすると、そういうことになるだろう。
(とにかく、ちゃんと謝って、誤解をとかないと)
「あの……」
話をしようと、ユイが姿勢を正した時だった。
「おやおやおや~?」
突然、笑い声が、上方から聞こえてきた。
そちらに目を向ければ、中二階からユイたちを見下ろしている、青年の姿があった。
「こーんなところに、可愛い人間の女の子だってぇ」
年齢はアヤトと同じくらいだろうか。
彼は黒い帽子をかぶっていて、その緑色の瞳をユイに向けている。
(一体いつからあそこにいたんだろう。何の気配もなかったのに)
ユイが不思議に思った瞬間、突然左の頬を誰かに舐められた。
「きゃっ!」
(い、今、舐められた!)
驚いて頬を押さえて隣を見れば、そこにはたった今中二階にいたはずの青年の姿があった。
中二階からユイの隣へと一瞬で移動するなんて、とてもではないが無理だ。
(え? どうやって私の隣に……)
狐につままれたような気分でユイは彼をまじまじと見た。
「う~ん。甘くていい匂いだね」
笑う青年から離れようとソファの背に身体を寄せたユイだが、ふいに後ろから声が聞こえてきた。
「僕にも舐めさせてください」
そう言って、後ろからユイの耳を舐めてきたのは、紫色の髪の小柄な青年だった。
「ひっ!」
耳のすぐそばで聞こえてきた水音に、ユイは耳を押さえ、肩を竦ませた。
「うん。甘いです」
(何なの、さっきから……)
戸惑うユイを二人は楽しそうに見つめている。
二人のユイに対する行動を見かねたのか。
レイジは口を開いた。
「二人とも。初対面の女性に対して、少し不躾なのではないですか」
「えぇー」
レイジの言葉に、ライトは不服そうに声を上げた。
「何か不満でもあるのですか、ライト」
「だって、美味しそうなものを見たらすぐに試さないと。ねえ、カナトくん」
「はい」
ライトに同意を求められたカナトは、その言葉に頷いてみせる。
「オマエら、いい加減にしろよ!」
そんな二人のやりとりに割って入ったのはアヤトだった。
「こいつは、オレ様が最初に見つけたんだ。コイツの初めては全部オレ様がいただく!」
「……だっせ」
アヤトが宣言した直後、リビングに響いた声に、アヤトは眉をひそめた。
「オレ様、オレ様って。聞き飽きたんだよ」
「ざっけんな!」
アヤトはソファから勢いよく立ち上がると、周囲を見回した。
「その声はスバルだな。出てきやがれ!」
「ここだ」
不機嫌そうな声が聞こえた先には、壁にもたれる青年・スバルの姿があった。
「やけに人間臭えと思ったら、お前か」
右目を隠すような白い髪と鮮やかなコントラストをみせる赤い瞳が、驚くユイを睨んでいる。
「貴重な睡眠時間をどうしてくれるんだ」
「ど、どこから入ってきたんですか?」
「オレが先に聞いてんだ!」
苛立った声とともに、スバルが拳を壁に叩きつけた。
壁にはひびが走り、漆喰がパラパラと床に落ちていく。
スバルの怒りを目の当たりにしたユイは言葉を失った。
壊れた壁に目を向けたレイジはため息をつき、眼鏡の位置を直すと、リビングに集まる兄弟たちを見回した。
「誰か聞いていますか? 今日からこの方が、我々と住むことを」
レイジの質問に答える者は、誰もいない。
「あ、あの、何かの手違いだと思います。お邪魔しました」
ユイは思い切ってソファから立ちあがった。
「待ちなさい」
頭を下げ、リビングを出て行こうとするユイを、レイジが呼び止める。
「私が事実確認をしているのですよ。今、出て行くとは失礼だと思いませんか」
「で、でも……」
確かにレイジの言うとおりだが、屋敷の人間が何も聞いていないという以上、いつまでもユイがここにいるわけにはいかない。
(それに、何だか恐い……)
「あんたが、あいつが言ってた女なのか?」
どこか気だるそうな声が窓の方から聞こえてきた。振り向けば、窓際にあるソファに横たわっている青年の姿があった。
他の皆と同じ学校の制服らしいが、ブレザーのかわりにベージュ色のカーディガンを着ている。音楽でも聴いているのかイヤホンをつけていた。
(また急に現れた)
「シュウ、オマエ、コイツのこと何か知ってんの?」
「……まあ」
イヤホンをつけたままでも、アヤトの言葉は聞こえているのか。
問われたシュウは、目をつぶったまま答えた。
「まあ、じゃありませんよ。きちんと説明して欲しいです」
カナトに言われ、シュウは口を開いた。
「あいつが……こないだ連絡してきて、『教会からの客人が来るので丁重にもてなせ』と」
「はあ? つうことは、チチナシは『花嫁候補』ってことか」
「えぇっ!?」
アヤトの言葉に、思わずユイは声を上げた。
教会の客人ということは、ユイが世話になる家はここで間違いはないようだ。
(けど、花嫁候補ってどういうこと?)
続きは明日の更新または書籍でお楽しみください!













































