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TVアニメ『甘々と稲妻』鈴木プロデューサーインタビュー

キャストの起用に幻の特典映像、アニメオリジナルの演出に迫る! TVアニメ『甘々と稲妻』鈴木常泰プロデューサーインタビュー

 2016年7月よりTVアニメが放送開始した、「good!アフタヌーン」で連載中の『甘々と稲妻』。大切な人たちと一緒にごはんを食べるありふれた日常が、原作・雨隠ギド氏の情感豊かな筆致で描き出され人気沸騰中です。そんな本作ですが、dアニメストアやニコニコ動画など、各動画配信サイトでランキング上位を獲得し、視聴者アンケートも高評価が多く見られています。

 そこで今回、人気の秘訣を伺うべく、本作のプロデューサーを務めるトムス・エンタテインメントの鈴木常泰プロデューサーにインタビューを実施! プロデューサーの役割から企画の発端、キャスティングの理由など、本作の裏話や魅力を語っていただきました!

 

■ アニメのプロデューサーの役割、そしてアニメ化に至るまでの経緯とは

――まずはじめに自己紹介をお願いします。

鈴木常泰プロデューサー(以下、鈴木):トムス・エンタテインメント鈴木常泰です。TVアニメ『甘々と稲妻』のプロデューサーを担当しています。弊社、トムス・エンタテインメントが手がける作品としては『それいけ!アンパンマン』や『ルパン三世』、『名探偵コナン』といった幅広い年代の方に見ていただけるものが有名かと思います。


――いわゆるファミリー向けの作品がメインとなるわけですね。

鈴木:最近では『弱虫ペダル』や『ReLIFE』など、深夜向けの作品も非常に多く手がけるようになりました。またアニメ制作だけではなく、アニメビジネスを含めてアニメ製作会社として事業を行っております。


――ちなみに、アニメのプロデューサーとはどのような業務を行っているのでしょうか?

鈴木:弊社は制作プロダクションとしての役割もありますので制作現場を統括する制作サイドのプロデューサーの野崎と二人三脚でアニメ制作だけではなく、二次展開ビジネスや出資営業、宣伝や契約等の業務を委員会メンバーと共に推進していく役割ですね。


――スタッフロールを見る限りプロデューサーは数名いらっしゃいますが、その中で鈴木さんはどういった役割を?

鈴木:各プロデューサーと共に連携をとりながら、アニメ製作全体の流れを把握しつつプランニング、実行、管理して責任を負うといった役割ですね。


――ありがとうございます。では『甘々と稲妻』がアニメ化に至るまでの経緯をお聞きしたいのですが……そもそも、アニメとはどのようにして企画が立ち上がるのでしょう?

鈴木:各社様々でしょうが、弊社の場合は色々な部署から企画が挙がってくる体制ですが、今回は制作本部という部門からの発案でした。先ほど話に出た野崎が、既にスタッフィングや映像イメージが見えていて「ぜひやりたい!」とのことで、私も原作を読んでいて非常に面白いと思っていたので社内で企画を立ち上げ、講談社様にご提案した次第です。

今回は制作本部から立ち上がった企画ということもありまして、あくまでもクリエイティブの主張を尊重する形で企画の方向性をまとめていきました。また同時期に弊社とシンエイ動画、JR東日本企画、住友商事、アスミック・エースの5社で「あにめのめ」というアニメ事業プロジェクトが立ち上がりました。その「あにめのめ」というのは「ノイタミナ」や「アニメイズム」には近いんですけど、枠というよりはアニメ事業プロジェクトとしての総称で、5社が主体的に作品を発信していくプロジェクトとなります。その第一弾をどの作品にするかの協議の中で、この『甘々と稲妻』に決定しました。

 
――ちなみに「あにめのめ」の由来とは?

鈴木:「あにめのめ」という名前は、台風の“目”と、芽が出るの“芽”にかけていまして、新しいところにチャレンジしようという意味が込められています。今までにない、他がやっていないようなジャンルや方向性にチャレンジしようという意味合いもあり、今に至ります。


─―先ほど仰られていましたが、複数の部署からアニメ化の企画を募るのですか?

鈴木:現在は企画を精査や分析をするセクションになってしまいましたが、前は企画を立案、推進するセクションに所属しており、色々なところからアイデアを集めるために制作部門だけではなく、商品化部門で売れる企画がないか、海外部門から海外に発信できる作品はないかと募っていました。そして各部門から作品を集めた結果、その中の一つとして『甘々と稲妻』が選ばれたわけですね。


――ちなみに、アニメ化の企画が立ち上がってからアニメ化まで、どれくらいの歳月がかかるのでしょう?

鈴木:企画が立ち上がったときは、二巻くらいまで出ていましたね。なので、2014年から企画が立ち上がっていたと思います。


――なるほど。それらがアニメ化までの第一歩となるわけですね。監督を始めとする制作陣はどのようにして決まるのでしょうか?

鈴木:監督は「岩崎太郎さんしかないだろう」という結論に至りました。2014年に放送された『一週間フレンズ。』という作品が、淡いタッチで繊細な作風で心に響くものがあって、原作を上手く料理されていました。そのため原作のやわらかさを、うまく映像に昇華してくれるのではと思い、監督にお願いしました。その他のスタッフィングは、監督と野崎を中心に行われていきました。


――では、アニメ化に至るまでに苦労した点やこだわったポイントを教えてください。

鈴木:監督の話を聞く限り、制作上のポイントとして料理を作る・食べるところとは別で料理を食べるリアクションも重要視されていています。また各話数料理のシーンがかなりのボリュームになっており、作画的に大変ですが逃げずに描くことを一貫されています。

監督曰く、料理の描写は単調に見えるけど、それぞれつむぎや犬塚の愛情が詰まっている行為だと。あと、つむぎの思惑や行動の理由を考えない、理解せずに表現することを心掛けております。大人視点のロジックな子どもを描くと、どうしても子どもらしさは失われるので、つむぎが如何に子どもらしくて可愛いかこだわりを持って制作しています。

 
■ アニメならではのアレンジがたっぷり詰まった本作の魅力とは

――TVアニメをきっかけに多くのファンを獲得しつつある本作ですが、一体何が視聴者の心を掴んだ理由になると思いますか?

鈴木:アニメビジネスを考えて企画を立ち上げると、どうしても似たり寄ったりな作品が乱立してしまうんです。しかし、今回はあくまでも制作部門から立ち上がった点や、弊社が制作プロダクションとしての立場もあるため、“売れる”ことより“面白い”を優先して企画がスタートしました。「ここでこのキャラクターを出せばグッズが売れる」など、まずはそういうことを考えずに立ち上がった企画だったため、逆に他の作品と差別化できて好評を博したのかと思います。


――あくまで面白さを最優先にした作品ということですね。

鈴木:また料理や家族、子育てなど、普遍的なテーマ性があることも理由の一つだと思います。今は1人で食事をする“孤食”が問題になっており、現代社会にも通ずる問題を踏まえた作品でもあるので、かなり共感を得たのかと思います。他には、多くの人に見ていただきたかったため、独占配信を避けて色々なサイトで配信したことも、配信での評価が高い要因かと。


――では親子のコミュニケーションや料理を作る・食べることが本作におけるポイントになるのでしょうか?

鈴木:先ほどと被ってしまいますが、『甘々と稲妻』に限らず小さい子どもと大人の会話シーンってすごく難しいんです。制作する上でも、少し間違えば不自然なものになると思います。でも本作では5歳くらいの子どもと話している一方通行感がリアルと言いますか。突然叫び出したり、脈絡のないことを言い出したりとか、そういった部分を大人が受け止めつつ、お互いが理解していないようで、実は理解している場面が原作では本当に上手く描かれています。

監督もそれらの描写を崩さないよう気を付けながら、作品を考えていると思います。また、監督が“子どもがいる方が良い”という点から、シリーズ構成を広田光毅さんにお願いしました。広田さんのお子さんが実際言っていた面白いセリフを要所で差し込んでアレンジしてみたりとか、かなりご自身の実体験を反映しながら描かれていると思います。

 
――アニメならではのオリジナル要素が含まれていると。

鈴木:第7話は違いましたが、基本的に1エピソード1話で完結するようになっています。1エピソードを約30分尺の中で丁寧に描いており、原作の良さを活かしつつアニメならではのセリフや膨らまし方で、広田さんや監督の個性がよどよいスパイスになっていると思います。


――第7話では原作における2話分のエピソードと、オリジナル要素がふんだんに盛り込まれていましたが、こちらも監督や広田さんがアレンジを加えられたのでしょうか?

鈴木:そうですね。可能であれば原作のエピソード全てを映像化したいのですが、中々そうはいかないので。その中で第7話は、どちらの話数をやろうかと考える中で、どちらもスタッフの中で人気の高いエピソードであったので、原作のよさを損なわず統一性をもたせて一緒に描くことの可能性を探っていき、結果広田さんによってアニメならではの非常によいお話が出来上がりました。

 
――展開も今までの回とは少し異なり、つむぎの小さな冒険や温厚な犬塚が激昂する場面など、非常に濃い内容だったと思います。

鈴木:個人的にも好きなエピソードなので、原作2話分ということで2倍おいしかったですね。


――小鳥の家に向かうつむぎがミュージカルチックに歌い出す場面は、見ていて驚きました。

鈴木:制作陣もあきらかに楽しんで作っていると感じさせる回だったと思います。その前の作中アニメ『マジガル』も凄かったですしね(笑)。


――たしかに……作中アニメなのに、かなり熱量が込められていると思いました(笑)。

鈴木:私も見ていて作画に気合が入っているなと思いましたね(笑)。あれは野崎が企画立ち上げ当初から、「マジガルは気合入れるから!」と何故か意気込んでましたね。実はBD/DVD映像特典にまるまる1話収録する話も挙がっており、監督もかなり乗り気でしたが諸事情により実現されませんでした(笑)。

 
■ 遠藤さんの演技に男性スタッフはメロメロ状態!?

――今回、犬塚役を中村悠一さん、つむぎ役を遠藤璃菜さん、小鳥役を早見沙織さんが担当していますが、キャスティングまでの経緯をお聞かせください。

鈴木:原作者の雨隠ギドさんのご意見も含めて、監督や音響監督を中心にキャスティング会議を行いました。その場に居たメンバーはそれぞれ原作のキャラクターの声のイメージがあったかと思いますが、中村さんも遠藤さんも早見さんも皆のイメージとピッタリでした。

作品によってはキャスティング会議で揉めることもありますが、本作ではスムーズにこちらの3名にお願いしようという流れになりました。当初監督はつむぎを子役にするか検討している中で、音響監督のたなかかずやさんは、以前子役を起用した経験があるらしく「大丈夫だよ」という後押しもあって、つむぎを子役にキャスティングすると決まりました。でも結果的にたいへん良かったなと思いますね。


――ちなみにつむぎ役のキャスティングの決め手は何だったのでしょう?

鈴木:決め手としては、自然に原作コミックでの静止画のつむぎが活き活きと動いておしゃべりしている姿をを想像できたところではないかと思います。

 
――そんなお三方ですが、アフレコでキャスト陣の演技をご覧になっていかがでしたか?

鈴木:3人がキャラクターにピッタリで良かったなと思う部分もありますが、それに加えて話数を重ねるごとに、中村さんと遠藤さんが本当の家族のように感じられることがあるんです。それはお二人の演技力でもありますし、話数を重ねるごとに息が合っていったからだとも思います。2人の徐々に変化していく関係性は、アフレコを見ていて実感しますね。


――では、実際のアフレコ現場の雰囲気を教えてください。

鈴木:遠藤さんは気遣いができ礼儀正しい方ですし、遠藤さんの妹さんもアフレコにはいらっしゃるのですが、控室ではムードメーカーでして、たまにお菓子をくれたりします(笑)。またアフレコを見ている側としても、遠藤さんの演技に皆やられると言いますか……(笑)。特に男性陣のおじさん連中は、父性を揺さぶってくる末恐ろしい演技にメロメロにされるので、そんな遠藤さんに感動しつつ、毎回楽しいアフレコ現場です。

 
――収録をしていく上で、スタッフ陣が工夫しているポイントはありますか?

鈴木:僕は制作側の人間ではないので詳しい話はできませんが、監督や音響監督はキャストの皆さんにある程度自由度を持たせた形でそれぞれに演技をゆだねている部分が大きい感じがします。収録も長時間になるわけではなく、時間通りに終わることが多くスムーズにアフレコがとりおこなわれています。そういったことからキャストの方々も作品をきちんと理解しつつ、監督のイメージ通りの演技をされているのではないかと思いますね。


――本作のOPはみみめめMIMIの「晴レ晴レファンファーレ」、EDはBrian the Sunの「Maybe」となっていますが、主題歌にまつわるエピソードをお聞かせください。

鈴木:OPを歌うみみめめMIMIさんは元々原作のファンでしたし、EDのBrian the Sunさんも非常に本作を気に入られていたので、お願いする運びになりました。監督のイメージを伝える会議も行われましたが、具体的なオーダーはもなく基本的には「自由にやってください」という話になり、あの主題歌が出来ました。本作のために書き下ろしていただいた歌詞も多種多様な解釈ができるので、見ているお客さんによって受け取る印象が変わってくると思います。


――鈴木さんにとってお気に入りの話数はありますか?

鈴木:僕は第1話がお気に入りですね。内容の純度が高いと言いますか、『甘々と稲妻』という作品の魅力が濃縮された話だと思うんです。かつ、何度見ても面白く、泣けて心が揺さぶられます。展開を知っているのについTVで見たり、DVDで見返したりする映画なんかと一緒で、本作の第1話は死ぬまで何度も見続けられますね。

他にも第3話や第4話もお気入りだったりします。ピーマンが嫌いな場面や、幼稚園のお友だちとうまくいかなかったりと、子どものネガティブな面も見方によっては愛おしく見える回なので、すごく好きですね。また、最初は料理を見ているだけのつむぎですが、徐々にお手伝いするようになりますよね。かと思えば踊って応援するシーンもありますし、本当に子供らしいなと思います。

 

■ 今後も見逃せない『甘々と稲妻』の展開とは

――本作も折り返しを迎えて、最終回直前となりますが、後半の見どころをお聞かせください。

鈴木:多くのファミリードラマの1話完結作品では、キャラクターが歳をとることはなかったりしますが、本作はそれぞれのキャラクターたちがほんの少しずつですが成長していくドラマです。最終回に向けてもう一度1話から見直すことによって彼らの成長をより感じられると思いますので、ぜひ繰り返しご覧いただく事をおすすめします。


――成長しているのはつむぎだけではなく、犬塚や小鳥もですしね。

鈴木:そうなんです。犬塚も父親として成長していますし、小鳥も料理だけでなく気持ち的にも成長しているので、つむぎ以外のキャラクターも見どころの一つです。

 
――ちなみにアニメ終了後も、本作は何か展開があるのでしょうか?

鈴木:10月5日(水)にDVD/Blu-rayの第一巻が発売されるほか、10月2日(日)~16日(日)の約2週間、お台場の東京ジョイポリスでタイアップイベントが開催されます。カフェコラボやグッズ、アトラクションなどもりだくさんの内容です。また初日には中村さん、遠藤さん、早見さんのトークショーがありますので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。


――アニメが終了しても、まだまだ展開していくわけですね。

鈴木:そうですね、これからもいくつか展開を考えております。


――では最後に、ファンの方へメッセージをお願いします。

鈴木:『甘々と稲妻』をご覧になってお腹を空かせていただき、ぜひ友だちや家族など大好きな人と一緒にご飯を食べてください!


――ありがとうございました。

[取材・文/鳥谷部宏平]

■ Blu-ray&DVD情報

甘々と稲妻 VOL.1 10月5日(水)発売/ VOL.6まで毎月発売
Blu-ray 各 6,800円+税/DVD 各5,800円+税
甘々と稲妻 Blu-ray&DVD BOX  2017年1月11日(水)発売
Blu-ray BOX 24,800円/DVD BOX 19,800円+税
発売・販売元:東映ビデオ株式会

■『甘々と稲妻』作品情報

<放送日時>
TOKYO MX 7月4日(月)より毎週月曜25:05~
読売テレビ 7月4日(月)より毎週月曜25:59~
BS11 7月5日(火)より毎週火曜25:30~
※放送時間は都合により変更になる場合がございます

<CAST>
犬塚公平:中村悠一/犬塚つむぎ:遠藤璃菜/飯田小鳥:早見沙織
小鹿しのぶ:戸松遥/八木祐介:関智一

<STAFF>
原作:雨隠ギド(講談社「good!アフタヌーン」連載)
監督:岩崎太郎「一週間フレンズ。」「薬師寺涼子の怪奇事件簿」
シリーズ構成:広田光毅「幕末Rock」「新テニスの王子様」
キャラクターデザイン:原田大基「とある飛空士の恋歌」「ささみさん@がんばらない」
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
企画協力:シンエイ動画
製作:「甘々と稲妻」製作委員会


>>TVアニメ『甘々と稲妻』公式サイト
>>TVアニメ『甘々と稲妻』公式Twitter
>>甘々と稲妻 in JOYPOLIS特設ページ

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(C)雨隠ギド・講談社/「甘々と稲妻」製作委員会
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