偶然にも劇団アルタイルに対する心ない言葉を耳にしてしまったタイキは……「ツキノ芸能プロダクション」所属『劇団アルタイル』ショートストーリー連載第38回！

2.5次元芸能プロダクション「ツキノ芸能プロダクション」に設立されたバラエティタレントユニット『劇団アルタイル』。歌もダンスもお芝居も……というマルチなタレント活動をする彼らの日々を、ショートストーリーと音楽でお届けする連載です。

今回は、見た目は愛され系ゆるふわ男子、中身はしたたかなセルフプロデュースの鬼、駒込タイキを中心としたストーリーです。仕事先で、アル劇に対する陰口を聞いてしまったタイキ。そこで生まれた感情や、タイキ自身も気付いていなかったメンバーへの思いにご注目ください。

■□■□■□■□■過去の連載はこちらから！■□■□■□■□■
・【第1回】ついに連載スタート！
・【第2回】ヒジリとサクヤの心境は？
・【第3回】今回の主役は東雲ユウリ！
・【第4回】霞サクヤが主人公！
・【第5回】千川リツ視点で描かれる

・【第6回】グループ結成前が語られる！
・【第7回】劇団アルタイルとの出会い
 ・【第8回】劇団アルタイルの思い出
 ・【第9回】面接官は誰だ!?
・【第10回】続・面接官は誰だ!?

・【第11回】最終審査スタート！
・【第12回】オーディションは続く！
・【第13回】三次審査直前の一幕
 ・【第14回】最終審査終了直後の物語
 ・【第15回】劇団アルタイルにようこそ

・【第16回】先輩＆後輩禁止！
・【第17回】お披露目に向けてレッスン開始！
・【第18回】ボイストレーニングをするも……
・【第19回】タツヒコから語られた言葉とは？
・【第20回】知らされたアル劇の新企画とは!?

・【第21回】19人全員でのソロ曲制作の真意とは？
・【第22回】ソロ曲の資料が送られてこない!?
・【第23回】ついにソロ楽曲配信がスタート！
・【第24回】夕焼け空を見上げるトウマの過去！
・【第25回】ユウリの手紙の内容とは？

・【第26回】千川リツが大崎イズモと出会い
 ・【第27回】同級生に再会したリンタロウは……。
・【第28回】ギャップや軋轢を感じるイズモ
 ・【第29回】自身の熱意に気付かされたミカド
 ・【第30回】朝が苦手だったサクヤ

・【第31回】音楽番組のソロ出演が決まったマキ
 ・【第32回】挑発的な態度のモデル仲間にヒジリは
 ・【第33回】ムードメーカー・ヨウスケの悩み
 ・【第34回】オーディションでアクシデント!?
・【第35回】タツヤの心境に迫る！

・【第36回】ノブアキのアル劇に対する思いとは？
・【第37回】ダイスケからの甘い差し入れ――
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劇団アルタイル『ChildDays』

【あらすじ】
ひとりで音楽番組に出演することになったタイキ。収録スタジオで、偶然にも劇団アルタイルに対する心ない言葉を耳にしてしまう。これまで自分ひとりに向けられた悪意など、意にも介さず流してきたタイキだが、今回はなぜか無性にモヤモヤしてしまい……。

【ストーリー】
　テレビ局の廊下をひとりで歩いていたタイキは、ふと、足を止めた。
（なんでこんなにイライラしてるんだろ）
　理由ならわかっているのだけど、でも、すごく納得がいかない。

　ソロ曲の出来上がったタイミングやスケジュール--その他諸々の兼ね合いで、タイキは音楽番組出演に抜擢された。
（ホント僕って、ついてる……っていうか、持ってるよね）
　だから、「がんばれよ！」とか「おめでとう！」とか、笑顔で送り出してくれたメンバーに「任せて♪」って答えながら、心の中でほんのちょっと「のんきだなぁ」なんて思ってた。
（だって、チャンスの枠はひとりぶんしかないんだよ）
　好機も幸運も、ただ待ってるだけじゃモノにできない。だから、きっかけを掴み取るための努力は惜しまないし、アピールだって欠かさない。
　なのに、目の前に来たチャンスを逃がしちゃったら、絶対に悔しい。
（僕だったらきっと、よかったね、なんて笑えない）
　そんなことを思いながらテレビ局に到着し、ほかの出演者やスタッフたちに「今日はよろしくお願いします★」って最高に可愛い挨拶をして、念入りに支度すると、あっという間にスタンバイの時間になった。
　--そんなときだった。

「さっき挨拶に来たの、なんだっけ？　劇団なんとか……？」
　楽屋の外で、声がした。
「劇団アルタイル。ツキプロが去年からやってるヤツ」
「あー……アレか。素人と役者とモデルがごった煮の。で、評判どうなの？」
「さあ？　話題づくりとしては悪くないかもだけど、素人抱え込んでちゃクオリティは知れてんじゃない？」
「だよな。ま、空気よりは悪目立ちしたほうがマシだろうけどさぁ」
「歌とダンスがまあまあ見られて、顔もそれなりなら、あとは若さでどうとでもなるでしょ。なんせツキプロだし」
「はー、でかい事務所はいいよな。努力しないでもプッシュしてもらえてさ」
　声と足音が遠ざかってゆくのを、ドアノブを握ったまま聞いた。
（うわぁ……ドラマみたい）
　あまりに典型的な陰口シーンに、つい、感心した。
（やっぱ、よく知りもしないでああいうこと言うヤツいるんだ。……まあ、いるか。そりゃそうだよね。しかも僕、可愛いし。今日の番組がオンエアされたら、更にねたまれちゃうよねきっと）

　完全に気配が去ったところで、扉を開き、廊下へ出た。
　ポケットからちいさなミラーを取り出して、念のため自分の顔をチェックする。
（うん、今日も最高！）
　自分でアレンジさせてもらった髪も、隠し味にこっそり仕込んだアプリコット色のチークも、ふんわり笑顔も完璧だ。
　収録スタジオに向かって廊下を歩き出して、一歩……二歩。
　ふと、立ち止まった。

「ばっかみたい」
　思っていたことが、思わず口からこぼれでた。
（僕たちのことなんにも知らないくせに、まあまあとか、それなりとか、ばっかみたい）
　だけど……納得がいかない。
（--僕、なんでこんなにイライラしてるんだろ）
　下らない連中が、下世話なことを言っただけだ。
（僕の可愛さは少しも損なわれないどころか、今日は間違いなく超ラッキーな上、いつもの三割増しで、最高に、可愛いじゃん！）
　今まで、僕に興味がないヤツや、コソコソ妬んでくるヤツらなんか、鼻で笑って無視してきた。なにを言われようとへっちゃらだった。自分ひとりが、言われるだけなら。
（……なにこれ、変なの）
　理由なら、本当はわかってる。
（メンバーなんて、みんなライバルなのに……変なの）
　バカにするなよ、って、いま、おっきな声で叫びたい。

「それじゃ、出演者のみなさん揃いましたんで、レギュラーの方から順番にひと言、挨拶お願いします」
　今日出演のタレントたちが一斉に「よろしくお願いします」と挨拶し、端からひとりずつ自己紹介をはじめる。
（あ、いまの声）
　さっき廊下で聞いた声が、ぼそぼそと挨拶をした。
（なーんだ。やっぱり顔も声も僕のほうが断然可愛いじゃん）
　それに、うちのメンバーのほうがずっと格好いい。
（うちの、だって）
　思わず笑ってしまう。
　わざわざ鏡を見なくてもわかる。きっと、僕はいま最高に可愛い笑顔だ。だから、
「劇団アルタイル所属、駒込タイキです」
　めいっぱい可愛い声と仕草で、言ってやった。
「今日は僕がみんなの代表です！　劇団アルタイルのいいところをいっぱい、みなさんに知ってもらえたらと思います★　よろしくお願いしまーす！」

今回登場した人物をご紹介！

◆駒込タイキ（CV：熊谷大樹）
天真爛漫で、誰からも愛される天使……というイメージは、完璧な計算と徹底的なセルフプロデュースによって支えられている。ゆるふわ猫かぶり系男子。

『劇団アルタイル』最新情報

●ソロシリーズを収録したフルアルバムが3月14日（水）発売決定！
「劇団アルタイルソロシリーズコレクションアルバム -a galaxy of new stars-」
アニメイトタイムズで毎週更新中のソロ曲のフルバージョン19曲と、全員集合曲1曲、さらにキャラコメントが収録された2枚組フルアルバムです。

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●最新ドラマCDが1月26日（金）発売！
・劇団アルタイルユニットドラマ「Twinkling stars RED」