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『FGO』塩川洋介さんらプロジェクトのキーマンたちが語るその裏側とは【CEDEC 2018】

『FGO』はユーザーのためのゲームである|塩川洋介さんらが語るその裏側とは【CEDEC 2018】

今年(2018年)で20周年を迎えた、CESAが主催するゲーム開発者向け技術交流会「CEDEC 2018」。

そのイベントにて、大人気のFate RPG『Fate/Grand Order(FGO)』に携わる3名の立役者による講義「ディライトワークス、FGO PROJECTをプロデュースする。~ Fate/Grand Order 成長の軌跡 2015-2018 ~」が実施されました。

登壇されたのは、ディライトワークス株式会社代表取締役社長の庄司顕仁さん、FGO PROJECTクリエイティブプロデューサーの塩川洋介さん、マーケティング部長の石倉正啓さんの3名!

講義は3つのテーマに別けて進行し、庄司さんが主にロンチ前の『FGO』について、塩川さんがそのロンチ後。石倉さんがゲーム外でのイベントを主に展開する現在についてを話してくれました。


 

企画立ち上げ当初のTYPE-MOONが抱いていたイメージとは

最初に塩川さんから『FGO』のプロジェクト全体についての簡単な説明と、講義のテーマが語られます。

今回は“それは、自らを知る物語。”“それは、自らを取り戻す物語”“それは、自ら届ける物語。”の3つのテーマで進行することとなり、最初のテーマとなった自らを知る物語では、庄司さんが『FGO』の企画が始まるまでのエピソードを語ることに。


知人を通してTYPE-MOONさんと出会った庄司さんは、「原作者の奈須きのこさんに負担をかけない」ものとして『FGO』以前に『Fate』シリーズのスマートフォン用ゲームの企画があったと話します。
▲庄司顕仁さん

▲庄司顕仁さん


これを受けて「当時のソーシャルゲームのトレンドは押さえてあり穴はない」「人気IPとの掛け算ならそれなりの数字はでるだろう」と率直な感想を述べたそうです。

しかし当のTYPE-MOONさんの反応は芳しくなく、そこで庄司さん自身も『Fate』シリーズを勉強。『Fate/stay night』や『Fate/EXTRA』などの作品を実際に遊んでみたり、アニメ化されている作品をチェックしたところ、「コンテンツの規模と販売実績」がアンバランスだと強烈な違和感を感じたのだとか。

そうして「もっと売れていいハズ」と感じTYPE-MOONさんに意見したところ、その自己認識を知ることになったと言うのです。



庄司さんの言によると、なんと当時のTYPE-MOONさんは「『Fate』は超ニッチでコア向け」「狭い層に刺さる深淵のタイトル」「コアファンはおそらく10万人ぐらい」と考えており、万人に受け入れられるものだという認識はなかったようでした。

そうして今一度当初の企画を見直す段階にて、“Fateファンとはどんな人なのか?”“Fateとはそもそもなんなのか”を関係者と話し合ったそうです。

ここで“奈須きのこ”さんありきの作品であると定義づけたところで、“100万人に届くゲーム”として『FGO』へと至る企画が動き出したとのことでした。



 

らしさを追求することが結果に繋がる

続いて第2のテーマである“それは、自らを取り戻す物語”では、FGOプロジェクトのクリエイティブプロデューサー・塩川さんが登場。企画が動き出してからプロジェクトに合流した塩川さんは、自身がプロデューサーとして活躍し始めた当時を回想。

▲塩川洋介さん

▲塩川洋介さん



メンテナンスの嵐でプレイできなかった期間のことなどを話題に出しつつ、当時の『FGO』は「誰もが道を見失いながらもがいていた」時期だったと話しました。

この状況を打開すべく塩川さんが行ったのが、“FGOとはを再定義する”ことだったそうです。その要素は5つあったのですが、特に重要なのは“何よりもFateらしくあることを優先するゲーム”と“FGOユーザーのためのゲーム”の部分。



まずFateらしくあるために、サーヴァントたちを全員が主役だと話すと、ゲームの都合でレアリティが設定されてはいても、高レアリティのサーヴァントと同じだけのリソースを割いて制作していることを明かしてくれました。

そして『FGO』はユーザーのためのものということで、その人たちに喜んでもらえるよう、コラボイベントの開催については『Fate』シリーズの作品を選んでいるそうです。

そのほかにも誰かと競う要素の無い『FGO』ならではの、“自分自身との戦いを楽しむ”では、自己満足を突き詰めるゲーム性に舵を切っていることがわかりました。


これらの施策を行った結果を発表したところで、最後に塩川さんは“捨てるプロデュース”が大切だと説きました。これは自分らしさ(作品らしさ)を届けるためにそれを再定義することと、それ以外を切り捨てることが必要なのだそうです。


そうして最後に石倉さんが登場。氏が語るところのマーケティングの方法こと“マ法”が明かされていくことになります。
▲石倉正啓さん

▲石倉正啓さん


 

FGOをユーザーにアピールする3つの“マ法”とは

“それは、自ら届ける物語。”とされた石倉さんの講義では、主に3つのマーケティング方法が紹介されました。ひとつがマメにTwitterなどで情報を発信すること。先日行われた「FGO Fes.2018」の後にはTwitterのトレンドを独占していたことが紹介され、その効果が如実に表れていることが判明。



ふたつめがユーザーに驚きを与えるまさかの施策。エイプリルフールに一日限定で配信された『Fate/Grand Order Gutentag Omen』や、『漫画でわかるFGO』の女性主人公の2頭身の着ぐるみたちには、毎度驚かされたことと思います。


最後にご自身がイベント等で登場する際に行っている“バスター石倉”としての活動を紹介。ファンの方々とお会いした際に“バスターシール”というものを配っているそうで、その配布数は既に7000枚を突破しているのだとか。


講義の終了が近づくと、再び塩川さんが登壇。それぞれのセッションを通して会場に集まった人たちの参考になればと述べて幕を閉じました。

今や知らぬ人はいないと言えるほどのゲームとなった『FGO』。そんな作品を作り上げた人たちの講義という事で、会場には多くに方々が詰めかけていました。人気作の裏側をぜひご確認ください。

[取材・文・撮影/胃の上心臓]
 

『Fate/Grand Order(フェイト/グランドオーダー)』作品情報

・ジャンル:FateRPG(フェイトRPG)iOS/Androidにて好評配信中
・企画・開発・運営:DELiGHTWORKSInc.(ディライトワークス株式会社)
・製作:TYPE-MOON/FGOPROJECT
・価格:基本無料(ゲーム内課金あり)

公式サイト
公式Twitte(@fgoproject)
公式ハッシュタグ:#FGO

(C)TYPE-MOON / FGO PROJECT
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