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丸井グループ  ショートアニメーション『そばへ』石井俊匡監督&福原遥インタビュー

「相合い傘に込められたメッセージ」丸井グループ ショートアニメーション『そばへ』石井俊匡監督&福原遥さんインタビュー

丸井グループのオリジナルショート アニメーション作品『そばへ』が2019年3月7日に公開された。

『そばへ』の監督は細田守監督作品『未来のミライ』で助監督を務めた石井俊匡さん。これまで「四月は君の嘘」や「僕だけがいない街」などで絵コンテ・演出などを担当してきた新鋭クリエイターにスポットライトが当たった。

そして、ナレーションには声優・女優としてマルチに活躍している福原遥さんがキャスティングされている。

今回、アニメイトタイムズでは石井俊匡さんと福原遥さんの2人にインタビューの機会を得た。

丸井グループが目指す「すべての人が“しあわせ”を感じられる インクルーシブで豊かな社会」。このコンセプトをベースに製作された『そばへ』の裏話や丸井グループについて。そして、2人の「しあわせ」について聞いた。

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『そばへ』の絵を額縁に飾りたい

――『そばへ』という作品に込めた想いについてお聞かせ下さい。

石井俊匡さん(以下、石井):“インクルージョン”というテーマを考えたときに、相互理解や相手との距離感をまず第1に考えました。

僕は今までTVシリーズで担当していた作品でも多様性を描いたものが多かったんです。面白いテーマだと思いつつ、自分がやりたい世界観を表現することで、評価いただけるモノづくりにつながると思いました。

いろいろと考えながら製作を進めたのですが、出来上がってみたら割とシンプルな作品になった印象があります。

――初監督という立場はいかがでしたか?

石井:当たり前なんですけど、絵コンテを直してくれる人がいないなって(笑)。監督という立場になると、ある種自分の書いたものが正解になる。その怖さも感じつつ、だからこそ冒険できることを知りましたね。

――ありがとうございます。福原さんは実際に声を吹き込む際、監督からどんなディレクションを受けましたか?

福原遥さん(以下、福原):監督から「自然に演じてください」と仰っていただいたので、自由に演じさせていただきました。収録の中で細かいニュアンスや雰囲気を具体的にお伝えいただいたので、とても安心して演じることができました。

『そばへ』の絵や世界観が本当に美しくて。今の自分の精一杯を出したい!って頑張ったんですけど、先程の記者発表で仕上がりを見たときに「これで大丈夫でしたか?」って監督に確認しちゃいました(笑)。

――そうなんですね(笑)。石井監督は作品を彩る福原さんの声を聞いてみていかがでしたか?

石井:まず、声が可愛いですよね(笑)。それでいて地に足が着いている印象がある。実体感がある声という印象があります。僕、『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』を学生の時に見ていたんです。だから安心できるし、耳馴染みのある声なので、多くの方が受け入れてくれると確信していました。

実際、収録してみると息遣いからすごく雰囲気ありました。福原さんの演技は、普段の会話がそのまま声として伝わってくる気がしています。

また、作中に登場する妖精の表情がコロコロ変わるのんですが、そのテンションにもしっかり合わせていただいたり。色々とパターンを収録したんですけど、やっぱりTAKE1が一番良かったんですよ。とても自然に素晴らしく演じていただいたと思っています。

福原:嬉しいです(笑)。

――『そばへ』は約2分の作品ですよね。一般的なCMと考えると少し長いのですが、実際に拝見すると一瞬で終わってしまった印象を受けました。すごく没入感があるというか。今回、石井監督はどういったインスピレーションを受けて、『そばへ』を紡いでいったのですか?

石井:方向性として「雨」の作品を作ることが決まったときに、プロデューサーを含めて色々な案を出し合ったんです。その時に丁度雨が降っていて。私がビニール傘を差しているときに、ふと思ったんですよ。

「ビニール傘越しに世界を見ると、ちょっとだけ世界が違って見える」って。

じゃあ、ガラッと世界が変わって見えたらどうなるんだろうと。ここが『そばへ』の原点です。また、長砂賀洋さんのイメージボードが大きかったですね。世界観や色使いを強く意識できたというか。

――カット割りでこだわった点についてもお聞きしたいです。

石井:実際は120秒という長さなので、色々と詰め込みすぎると伝わらないんじゃないかとも思ったんです。だからこそ、このシーンは何を伝えたいのか?という点にこだわりました。

例えば、妖精の色は派手目にして存在感が色濃く出るようにしてみたりとか。目立たせたいものは動きを大きく付けたりとか。CGのアニメーターさんとも協力しつつ、細部にも目を配りましたね。

また、キャラクターの彼女は雨が好きなので、本編にはほぼ出てこないので、よく映像を見ていただきたいのですが、実はレインブーツを履いているんですよ。

そういうところでも「雨の日に外に出てみよう」というメッセージを込めました。傘をプレゼントしているのもそういった意図だったりします。

彼氏と猫は雨が苦手。彼女と妖精は雨が好き。そうした対比で見てもらえると楽しんでいただけると思いますね。

――ありがとうございます。『そばへ』でモーションキャプチャを導入した意図についてもお聞かせ下さい。

石井:アニメーションスタジオのオレンジさんがモーションキャプチャを得意としていたことが大きかったです。

実は絵コンテを書いている段階では、普段どおりのアニメーションを想定して描いていて。いざ、アクターさんに演じてもらうとこんな動きになるんだと。僕の想定よりも動きが早い、細かいという点は調整してきましたがとても良い仕上がりになったと思います。

――個人的にはアニメの表現とモーションキャプチャならではのリアル感が融合していて、今だから誕生した作品だなと感じました。

石井:ありがとうございます。結構、実は結構色々な点にもこだわっていて。実は動きが滑らかに見えすぎないようにもしたいと思っていたんです。

後半の女の子が傘を見つけたシーン以降の動きをスムーズに魅せたい。逆にそこまでの絵を敢えて、スムーズじゃなくすることで、作品としての揺らぎを作ってみたくて。

視聴者の方って、CGアニメは滑らかなものだという印象があると思います。この点を裏切りたいなと。

敢えてCGアニメなのに滑らかじゃない絵を作って、ストーリー終盤で滑らかで細かくて繊細な雰囲気に仕上げていく。こういった仕掛けを作ることで心を動かしたいなと。

でも、自分の中では大満足できるレベルにまでは達しませんでした(笑)。

――いやいや(笑)

石井:実際、とてもチャレンジングな作品作りになったと思っています。本当にいい経験ができたと思っています。

――これは次回作にも期待ですね?

石井:チャンスがあれば嬉しいです!

――今のお話を聞いて、福原さんはいかがでしたか?

福原:うふふ。すごいなって思いました。こんなに素敵な作品に関わることができてすごく光栄です。

私、『そばへ』の空気感や色使いが大好きなんです。うん。全部が大好きです。完成した動画を保存して繰り返し見たり、BGMを繰り返し聞いたりするくらい。

長砂賀洋さんの絵を額縁に入れてお家に飾りたいくらいなんです。色々とそういう妄想ばっかりしちゃうくらい(笑)。

ラストの絵だけで“インクルージョン”が表現できている

――福原さん、石井さんはマルイに行く機会は多いですか?

福原:はい、よく行きますよ。実家の近くにマルイがあるんです。そこに家族で行ったりしています。プレゼントやコスメを買う時にも利用させていただいているんです。

石井:僕も行ってますよ。妻が甘い物好きなので、よく一緒に行っています。

――やっぱりマルイさんは人気ですね。『そばへ』はいわゆる「マルイに行ってみよう」という分かりやすい行動導線作りのものではないですよね。丸井グループが持っている“しあわせ”を映像に落とし込んだ作品であり、根幹にあるメッセージを伝えるものになったというか。

石井:そうですね。僕も最初に丸井グループさんのCMをやってみませんか?ってオファーが届いた時には、マルイに行ってみよう」みたいな感じだと思っていたんですよ。レギュレーションもたくさんありそうだなとか(笑)。ただ、全くの逆で縛りがほぼなかったんです。“インクルージョン”というテーマを実現して欲しい、と。

――抽象的な言葉でもあるので、色々な表現の可能性がありそうです。

石井:色々な人種や性別の人々が手を取り合っている。こうした表現も一つの描き方だったと思います。ただ、今回直接的なことはやらないように考えたんですよね。

『そばへ』は2カット目の傘をプレゼントするシーン以降は、ラストシーンまでずっと雨が降っているんですよね。

僕の中では雨が降った後、虹が出て街が美しく輝いている。そういった作品にはしたくないなと。自分の中で制約を作ったがために苦労もしたんですけど(笑)。

――確かにラストシーンは美しいですけど、雨が止んでいる訳ではないですね。

石井:そうなんです。実はもともと、ラストが相合い傘のシーンになる予定ではなかったんですよ。長砂賀洋さんのイメージボードからインスピレーションを受けて、相合い傘という発想が生まれました。

雨が好きな人と雨が苦手な人が、一緒の傘の下で美しい景色を見る。この一枚の絵だけで“インクルージョン”が表現できていると思ったんです。ここにたどり着くの120秒だと言っても過言ではありません。

――『そばへ』は“インクルージョン”ひいては“しあわせ”がテーマになっています。お2人にとって“しあわせ”とはどんなことでしょうか。

石井:僕は子どもですね。もちろん、子どもがいるだけじゃ駄目で、妻や家族がいるからこそ“しあわせ”なんですけど。日々、みんなでご飯を食べているだけでも“しあわせ”だなって思います。

実は、『そばへ』の絵コンテが完成したのは子どもが生まれた後だったんですよ。最近、自分でも作品を作る時に感じていることがあって。演出を考える時に、気恥ずかしい気持ちがなくなったんです。

相合い傘のシーンについても、「この演出はちょっと気恥ずかしいな」って以前なら思っていたはずなんですよ。ただ、そういった表現に対しても一歩踏み出せる勇気を持てるようになったというか。視聴者の方が見て一発で伝わるものを作りたい。そういったマインドに変化したような気がします。今はむしろ恥ずかしすぎるくらいでもいいのかなって、そう思っています。

福原:“しあわせ”...。難しいですね(笑)。私の“しあわせ”はちょっと単純なんですけど、周りも自分も心の底から笑えているときです。自分の周りが“しあわせ”であればあるほど私も“しあわせ”なんです。

――深いですね。

福原:私、大切な人を作ると“しあわせ”につながってくると思うんです。たくさんじゃなくていいんですけど、自分にとって大切な家族や友だち。そういう人たちとの時間が大切だなって思います。

自分にとって大切なモノってなんだろう?

――最後にこれから『そばへ』を見る方へメッセージをお願いします。

石井:どこかで作品を見た方が直感的に「キレイだな」って思ってもらえると嬉しいです。シンプルに作ったので、すごく単純にそう思っていただければ光栄です。

福原:『そばへ』を見たたくさんの方が「素敵な世界観」って思ってくださると思います。私もそうだったんですけど、繰り返し見ることで新しい発見があるんです。『そばへ』を見てホッとしたりとか色々考えてもらったりとか。

作品に出てくる傘を大切にしているところが本当に素敵だなって思っていて。誰か大切な人からもらったモノや自分が大切にしているモノは想い出や色んなことが込められていますよね。

『そばへ』を通じて、自分にとって大切なモノってなんだろう?とかそういう部分を考えてみると楽しいんじゃないかなって思いました。

――ありがとうございました!

文・撮影 川野優希

オリジナルショートアニメーション『そばへ』作品概要

【タイトル】『そばへ』
【声】福原遥

【監督】石井俊匡(『未来のミライ』助監督) 
【音楽】牛尾憲輔(『聲の形』『DEVILMAN crybaby』『リズと青い鳥』『モリのいる場所』) 
【キャラクターデザイン】秦綾子(『未来のミライ』作画監督) 
【コンセプトアート】長砂賀洋(『ダム・キーパー』『ムーム』) 
【制作】オレンジ(『宝石の国』) 
【制作プロデューサー】和氣澄賢(『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』) 
【プロデューサー】武井克弘  
【製作】丸井グループ

公式サイト

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